『この前のメンテナンスでミヤビに私でも気づかなかった変化を発見した』 

定期的に送られてくる親父からのメールも、いつもは流してしまう俺だったがこの文面は流すことが出来なかった。 

『ユリナたちにも同じ感情システムを使用しているのだが、ミヤビのものだけが異様に成長していた。 
 それも”嫉妬”の感情が、だ。どうやらユリナに対してらしい。他の子には見られない変化だけに今後も気をつけるつもりだ。 
 お前からも気づいたことがあれば、連絡してほしい』 

”嫉妬”か・・・人間誰しもが一度くらいは抱いたことのある感情だが、それがロボットに芽生えるだなんて想像していなかった。 
ミヤビがユリナに嫉妬か。 
ここのところ、ミヤビとは仲良くなってきたいたから、特に気にしてはいなかったがユリナに嫉妬とはな。 
何でこうあの二人は一見仲がよさそうにみえて、複雑な間柄なのだろう。 
考えれば考えるほど、頭が痛くなってくる。 

「よっす、考える人の像の物まね?」 
「ん?なんだ、チナミか。物まねじゃなくて本当に考え事なの。ちょっとあっちいってろよ」 
「あははは、そうやってチナミさんを邪魔もの扱いしようってんなら、こっちはとことん邪魔ものになってやる」 

どうして考え事しようと自分の部屋にこもっても意味をなさないのだろうか。 
ちゃんと勝手に入るなの札をドアにかけておいたっていうのに、それを無視してまで入ってくるなんて、こいつ頭にくるな。 
ちょっと怒ってやろうかな。 

1 こら、お前には目はついてないのか。このたれパンダ 
2 怒ってやろうと近づくと突然おーどんシステムで透明になってしまう 
3 チナミはミヤビと仲がいいから最近のミヤビについて聞いてチャラにしてやる 



2で 


1w 


1でからかう 



腹を抱えて笑い、俺をからかってやろうと調子に乗っているチナミをみていたら、つい頭にきてしまった。 
普段なら絶対に流す自信があるのに、今だけはそうもいかないみたいだ。 
腹の底から湧き立つ怒りに、俺はとうとう思っていたことを口にしてしまった。 

「こら、お前には勝手に入るなの札が見えなかったのか。目はちゃんとついてるんだよな、このたれパンダ」 
「たれパンダ?おおっとそれはさすがに聞き流せない言葉だね」 
「お前みたいにな、メイドロボならぬダメイドロボにはあの人気キャラクターは相応しくないんだけどな」 
「ふふ〜ん、私の目をみて皆は優しそうだね、可愛いねって言ってくれるもん」 

強がりを精一杯言っていろ、ダメイドロボが。 
もうこれ以上、お前につきあっていたら時間の無駄そうだからな。 

1 はいはい、優しいね〜 
2 チナミが地団駄を踏んで床が抜け、下の桃子の部屋に落下する 
3 ダメイドロボにようやく反応し、本気で怒ったチナミに追いかけ回される 



2で巻き添えのモモコ 


これで本題にいけるのか? 
2を 


2 



真剣に悩んでいたところに、チナミにからかわれたのも大きかったんだと思う。 
俺はついつい言わなくてもいいことまで言ってしまった。 

「そんな社交辞令を信じるなんて、お前子供だね。そこがダメイドロボだって言うんだ」 
「チナミはダメイドロボなんかじゃないもん。メイドロボだもん」 
「料理はダメ、掃除はダメ、買い物に行けばお菓子にお金使い切るとかダメイドロボじゃんか」 
「チナミはチナミなのぉ〜!!」 

そう、いくら姿形が人の形をしていようとも、この子たちはロボットなのだ。 
それもとびきりの性能をもったロボットで、力なんか大の大人でも敵わない力の持ち主。 
そんなロボットがひとたび、地団駄を踏もうものならどんな家でも床があっさりと抜け落ちるだろう。 
ほら、こんな感じで・・・ 

「ば、馬鹿、やめろ、床がヒビ入っただろうが。下に抜けちゃうって。ごめん、チナミ」 
「むぅ〜今更謝っても許さないもんに〜」 
「う、うおぉぉぉぉ」 

俺の部屋の床、3〜4メートル範囲がごっそりと下にある桃子の部屋へと落下していく。 
激しい音をたて、落下した床は大きな破片となって桃子の部屋のあちらこちらへ飛び散る。 
俺はというと、うまく対応できず、そのまま床へダイビングし、気絶してしまった。 
起きたとき、俺の視界にはユリナが心配そうに覗きこむ顔がみえた。 

「  さん、大丈夫ですか?」 
「ユ、ユリナ・・・ごめん、心配かけちゃってさ」 
「そうですよ、あんまり私を心配させないで下さい。心配で私、胸が苦しかったんですから」 

ユリナは今にも涙をこぼしそうな表情で俺から視線を離さない。 
その視線がまた俺にはとても辛くて、思わず視線を外してしまいたくなる。 
でも、そうすると今度は何も言わずにユリナに膝枕してもらってる俺に何か言いたげなアイツの視線がある。 

1 ユリナから逃げちゃダメだ 
2 気になるアイツと目をあわせてみる 
3 あぁ〜ご主人さま〜モモったらお部屋を壊しちゃいました〜お仕置きしてくださぁ〜い 



色んな意味で3で逃げよう 


3を選ぶ 


本題にたどりつきそうにないから2で 


2! 
主役に登場して頂かなくては 



居心地が悪いにも程があるから、こういう時に空気読めない子が助けてくれるとちょっと助かる。 
あくまでちょっとだけだ。 
俺はどちらとも視線を合わせたくないと辛い思いでいると、聞こえてきたあの声が。 
今日も俺に叱られようと嘘をついてまでも、お尻を向けてくるあの子が。 

「あぁ〜ご主人さま〜モモったらお部屋を壊しちゃったんです。これって修理費高いですよね」 
「モモ、  さんは今は大変なの。あっち行ってて」 
「そうだよ、モモ。  は誰かさんのムチムチの太ももの上で鼻の下伸ばすのに忙しいの」 
「あぁ〜意地悪ぅ〜モモを焦らすにも程がありますよぉ〜ここまで焦らすんだから、お仕置きは相当酷いんですよね。キャッ」 

空気が和むかと期待していたのに、全然よくなる気配がない。 
むしろ、二人のイライラを募らせているだけのような気さえする。 
ミヤビはモモコがいなくてもイライラしているだろうから、こればかりはモモコのせいとも言えない。 

「そうそう、  さん、お部屋が大変なことになっちゃいましたね」 
「うん」 

ユリナに言われてはっと気がついたが、俺の部屋誰かさんのせいで床抜けて安心して休めないんだったな。 
床が抜けるとき、確か近くにあったものも一緒になって落下した気がする。 
その中にあの大事なものもなければいいんだけどな・・・ 

「ユリナ、ちょっとモモコの部屋行ってみていい?大事なものまで落ちてないか心配でさ」 
「え、え、ご主人さまがモモの部屋きて直接お仕置きですかぁ?」 
「ちょっとあんたは黙ってて。  、もしかして大事なものってこれ?」 

今日、はじめてミヤビの方へ俺は視線を向け、彼女が手にしていたものをみて驚愕した。 

1 あのギターがボロボロになっていた 
2 ヒィちゃんが足を怪我して本当にヒィと泣き声をあげていた 
3 死んだお母さんとの思い出の写真がぐしゃぐしゃになっていた 



どれもつらいが1・・・ 


可哀想だが1かな 


2も 



俺の思い出の詰まったギター・・・ 
親父とは違う分野で一番になりたいと始めたギターが、見るも無残な姿になってミヤビに抱かれていた。 
本当に悲しいとき、人は声もあげらず、涙さえ出ないというが本当なんだな。 
俺は言葉を失いながらも体を引きずって、ミヤビの抱えるギターを受け取りに近づいていった。 
近づくたび、ミヤビは下唇を噛み締め、辛そうな表情をこれ以上苦しそうには見せないよう頑張っているようだ。 
そのけなげな姿に、俺はミヤビとも思い出が詰まっていたことを思い出し、受け取った瞬間崩れ落ちた。 
ミヤビの歌声を聴かせてもらえたあの夜。 
逆にミヤビに俺の下手くそな歌を聴かせてあげたこともあった。 
いいことも辛いことも味わったギターの思い出が一気にあふれだし、俺はギターを抱え途方にくれた。 
そんな時・・・ 

1 ユリナが後ろから抱き締めてくれた 
2 ミヤビが正面から抱き締めてくれた 
3 モモコがプリンとしたお尻で窒息させようとしてきた 



1と2 
  
3もだけど二人シカトw 


2で 


2で 


2! 



ミヤビがそっと包み込むように抱きしめてくれた。 

「辛いよね、大事にしてたもんね。私がね、気づいたときにはもうそんな状態でさ」 
「俺、こいつを始めてようやく自分にも特技ができたって気がして嬉しかった。馬鹿みたいに一日中弾いてたこともあるんだ」 
「うん」 
「大事にしてても壊れるときはあっさり壊れるんだな」 
「ごめんね・・・」 

ミヤビは自分が謝らなくてもいいのに、寂しそうな声でそう呟いた。 

「ミヤビのせいじゃないよ。だから謝らないでくれ。俺が大事にしてたものに気づいてくれただけでも有難いくらいなんだ」 
「だって、私たちの思い出が詰まったものだよ?忘れるわけないじゃん。私にとっても大事なものだもん」 
「あぁ、そうだったな。俺だけのものじゃないんだ。俺とミヤビとの思い出の詰まったものなんだ」 

ミヤビはこれ以上ないってくらい、俺のことをわかってくれている。 
そんな子に”嫉妬”なんて感情を抱かせてしまうなんて、俺も酷い男だ。 
せめて今だけでもそんな感情を忘れてほしい。 

1 俺からも抱き締める 
2 さっきから聞いていれば、私なんかどうでもいいみたいと今度はユリナに”嫉妬”が? 
3 このまま時が止まってしまえばいいなんて思ってませんか?とモモコの声がする 



ここは1だね 


1でお願いします 


1 


3も気になるが1だね 


2が気になる 


3だとモモコの特種能力が発動するとか… 


1+2 



俺はユリナたちがいる前だというのに、ミヤビを抱きしめていた。 
ミヤビの苦しさは俺にはちっともわかってあげられないのに、ミヤビは俺の苦しさをわかってくれる。 
それがどんなに嬉しくも悲しいことか。 

「俺の方こそごめんな、ミヤビ。お前がユリナに嫉妬していたなんて気付けなくて」 
「・・・え、何でそれを!?」 
「親父がさ、ミヤビの調子がおかしいから気をつけてみてくれって言ってたんだ。毎日同じ家で生活してるのに気づけない馬鹿じゃいけないよな」 
「ううん、  はそんなの気にしなくたっていいの。私が勝手にユリナに妬いてるだけだからさ」 
「勝手にって。俺もお前に嫉妬の感情を芽生えさせる行動取ってるのもいけないんだよな。俺たちってそのぉ・・・えぇと・・・恋人じゃん」 
「くすっ。恋人って言うのためらったね。あはは、ったく、そういうのもいけないんだぞ」 

俺はユリナたちには聞かれまいとして、小声で話していたのだが、ユリナたちについてまだ誤解があるようだ。 
そう、ユリナたちはロボットなのだ。 
であるからして、小声で話したのだとしても同じ部屋の中では簡単にその声も拾えてしまう。 
俺が目の前でミヤビと抱き合ってるだけでも不愉快なのに、小声で二人だけの話されてはさらに不愉快であろう。 
ユリナは怒りで顔を引きつらせながら、俺たちの元へとやってきた。 

「さっきから聞いていれば、何だか私なんかどうでもいいみたい。  さんにはミヤがいればいいんだ」 
「ユ、ユリナ・・・いや、これはそのぉ〜」 
「いいですよぉ〜だ。どうせ私なんてメイドロボで恋人じゃないですから」 

あれれ、何だかユリナにも”嫉妬”の感情が芽生えだしたって言うのか? 
うちのメイドロボがここまで他のロボット相手にライバル意識を燃やしてるのってないよな。 
って、分析してる場合じゃないな。 

1 ユリナ、誤解だよ。これはミヤビを慰めてるんだ 
2 あっ、ごめん、ちょっとくっつきすぎちゃったと舌を出して苦笑いして離れるミヤビ 
3 ミヤ、代わって。今度は私が  さんとくっつく番と腕を引っ張りだす 



1で平和にいけるか 


1かなあ 


3かなぁ 
1なんか危険な気が 


3だと思う 


3だね1は両方怒らせそう 



俺が二人の間に立って穏便に済ませたいところなのだが、そううまくいくかな。 
前にも喧嘩寸前までいってる二人だけに、今回もおかしなことにならなきゃいいのだが・・・ 

「ユ、ユリナ、あのぉ〜ミヤビを怒らないでくれるかな。これには深いわけが」 
「えぇとっぉ〜私に原因があるんだから、怒るなら私だけにしてよね。  は怒らないであげて」 

ミヤビはユリナに懇願するように目を真赤にして訴えかけた。 
そんな姿をみせられたら、俺はますますミヤビを好きになってしまいそうで怖くもあった。 
自分を犠牲にしてでも俺を守るなんて、本来なら俺がしなくてはならないのにミヤビにしてもらうなんて情けない。 
俺とミヤビは今にも雷を落としてきそうなユリナを見上げ、じっと審判が下るのを冷や汗をかいて待った。 
そして、ついにユリナから審判が下る。 

「むぅ〜ミヤ〜  は今度は私とくっつくんだから。だって、だって、私も  の恋人だもん」 
「えっ?」 

ミヤビが掴んでいたのとは反対の腕を掴み、ユリナは俺を力いっぱい引っ張った。 
ユリナの力でいとも簡単に持ち上げられた俺は、ぬいぐるみのようにユリナに抱きしめられた。 

「  さん、ギター壊れて悲しかったんですよね。私だって恋人なんだからもっと甘えて下さい」 
「う、うん・・・(さっきは自分なんかただのメイドロボって言ってたような)」 
「私は  さんのことなら誰よりも知ってるんですから」 

ユリナはユリナでまだまだ子供っぽいところがあるけれど、それでも大人になりつつある。 
やっぱりユリナはユリナで嫉妬する心を覚えてしまったんだと思う。 
ミヤビとは仲が悪くなったわけじゃないけれど、どこかライバル意識がある。 
弱虫な自分には負けないと言い聞かせ、今日もユリナは俺の為にと頑張る。 
誰よりもけなげで可愛い俺だけのメイドであり、恋人?でもあるユリナ。 
誰よりも優しくて色っぽい俺だけのメイドであり、恋人?でもあるミヤビ。 
二人とも大事にしたいと思いつつ、またもや嫉妬の嵐が巻き起こりそうな予感・・・ 

「  さん、じゃあお部屋はこんな状態ですし、今晩からよかったら私の部屋で寝ましょう」 

ユリナはよかったらと言いつつ、服の裾はしっかりと掴み、言葉にはしないものの行かなければならなそうな雰囲気を醸し出す。 
ただ、彼女のけなげさがあったからこそ、楽しくやってこられたんだ。 
そうだな、今晩からユリナの部屋にお世話になるか。 

「うん、よろしく。今晩からユリナの部屋に泊まるよ」 
「やった〜  さん、大好きぃ。よかった、断られたらどうしようかドキドキしちゃった」 
「断るわけないじゃん。部屋を壊してくれたどっかの誰かさんの部屋なんか頼まれても行きたくないですけどぉ〜」 
「むぅ〜私だってあんたなんかに泊まってほしくないもん。べぇ〜だ」 
「こら、チナミ、あんたが  さんの部屋壊したのがいけないんでしょうが。あんたはまず謝る」 

気づけば、あっという間に己のポジションを掴んでなじんでしまったマアサ。 
彼女を見るとちょっぴりと甘酸っぱい思い出がよみがえったりもする。 
うぅ〜ん、まだ話し足りてないのかもな、彼女を母さんとダブらせているわけだし、そろそろそれも卒業したいところだ。 

「そうだ、  さ、今日から一日交代で皆の部屋に泊まりなよ。そうすれば平等じゃん。ね?」 
「賛成ですぅ〜モモもお部屋壊しちゃったのでお仕置きまだかなって・・・ううん、期待してるわけじゃないんですよ」 
「うっわぁ〜  が部屋に来るなんて聞いてない。チナミさんは断固お断りです」 

部屋の修理が済むまでしばらく俺はメイドたちの部屋を交代で泊まることになりそうだ。 
やれやれ、どうなることやら・・・ 


これより新型のラブアンドロイドたちの偵察任務に入る 報告: 懸念ノ新型ラブアンドロイドヲ発見セリ 情報デハ6体ダッタガ1体ハ確認デキズ 胸部ニミサイルヲ収納セシモノトオボシキ・・・ あれ急に部屋が熱k <情報は守らなくてはならないものなんです <キュフフフ