誰にでも生まれた日はあるもので、それがたとえ人間以外のものでも誕生日は記念日に違いない。 
まさか我が家のロボットたちにもあるとは思わなかったので、親父から誕生日の話を聞いたときは驚いた。 

「というわけなので、明日はお前さえよければお祝いしてあげてくれ」 
「あぁわかった」 
「では、こちらは研究の続きがあるからまたな」 
「おい、研究研究って言ってないでたまには・・・」 

帰ってこい、とそう言おうとしていたところで親父から電話を切られてしまった。 
息子からの話しを早々に切り上げてまでしなきゃいけない研究なんて何なんだよ。 
どうせまたロボットの研究だろと愚痴りたくもなったが、その研究のおかげで俺はユリナたちと出会えたことを思い出した。 
その中でも明日はミヤビの誕生日らしい。 
最近はコンビニでバイトも始めてお金には不自由していないし、何かプレゼント買ってあげるのがいいか。 
で、あいつは何が欲しいのかな? 

「ちょっと、  君。バイト中にぼけっとしないの。バイト代減らしちゃうよ」 
「あっ、すみませんでした」 
「どうせメイドちゃんたちのいやらしい想像してたんでしょう?」 

モモコの奴、こちらの考えていることなんて見透かしているとばかりにからかってくるな。 
いつもは遠からず近からずといったところではあるから反論できないが、今はいやらしいことではなかったぞ。 
むしろ清らかな方だ。 

「で、今日は誰といやらしいことを考えてたんでしょうねぇ〜先輩に素直に言ってみなさい」 
「何でそんなこと言わなきゃならないんだよ。いやだね。お断りだ」 
「なら、バイト代は減らしちゃいまぁ〜す。店長、  君バイト代引いていいそうです」 
「おい、こら」 

モモコめ、調子に乗りやがって!! 

1 プリプリとした尻を無償に叩きたくなったので叩く 
2 モモコは最近ミヤビと仲が良いから欲しいものが何か聞いてみる 
3 後でお仕置きしてやるからなと耳許でささやく 



キテター 
3で 


じゃあ3で 


1やったらホントに給料減らされそうだけどw 


2で 


モモコなら何やっても弄られそうだw 
2で 


1と言いたいけど3 



バイト中にも関わらず、俺はモモコ相手に怒りを抑えきれずご主人さまとして忠告したくなった。 

「ちょ、ちょっと何よ、怖い顔してこっちに近づいてきちゃって」 

俺は無言のまま、お客さんたちからは死角になる場所までモモコを追いやった。 

「ちょっとちょっと、何か言ってよ。怖いなぁ〜  君、ねぇ」 

俺に怯えた顔をして訴えかけてくるモモコをみて、そろそろいいかなと耳元に口をもっていき囁いた。 

「後でたっぷりとお仕置きしてやるからな。いいのか?」 
「えっ・・・あ、あん」 
「はぁ!?」 

俺がそう耳元で囁いた後、モモコは突然体を震わせはじめ、喘ぎ声をあげて倒れてきた。 

「お、お願い、もっと囁いて。  君、お願い」 
「な、何言ってるんだよ。お前ドMとか?」 
「いやぁ〜ん」 

こいつ、さっきまではいやらしいとか言って俺をからかってきたくせに自分の方こそいやらしいじゃないか。 

1 ようし、本人が望むならやってやるぞ 
2 ダメだ、バイトをサボってはいけない。ユリナに怒られるし悲しませる 
3 取引だ、ミヤビに今欲しいものを聞いてくれたらいいぜ 



ここで3なのか 


ミヤビちゃんメインだし 
3 


3か 


まさかの℃Mキャラw 
あえての1 



俺の肩に食い込むくらい、モモコの爪が強く刺さってくる。 
自分の足で立つのがやっとなのか全身をこちらに預けるように、モモコは荒い息で話しかけてくる。 

「  くぅん、お願い」 
「お願いって言われてもなぁ〜」 
「意地悪しないでぇ」 

意地悪しないでって言ってるわりに顔はいじめてほしそうに見える。 
こいつ、サキちゃん以上のMなのか・・・変わったロボットだな。 
うちの親父もだんだん俺を世話するって趣旨からずれたロボット作ってくるな。 

「意地悪してほしくないならこっちのいうことを聞いたらいいぞ」 
「あぁ〜ん、聞くからお願い。囁いて」 
「えぇとだな・・・」 

俺はここにきて怒りが急速に冷めていくにつれ、ミヤビの誕生日プレゼントのことで悩んでいたことを思い出した。 
そうだ、最近ミヤビと仲が良いモモコならうまく欲しいものを聞き出せるはずだ。 

「取引だ。ミヤビの欲しいものを聞いてくれたら続けてやるぞ」 
「あぁ〜ん、ミヤじゃなくてモモの欲しいもの聞いてよぉ〜意地悪ぅ〜」 
「いいから取引するのかしないのかはっきりしろ」 
「しますします、だからやめないで;;」 

こうしてモモコに泣きつかた俺は、ほどほどに満足させながらバイトを終えてプレゼントを買いにでかけた。 
しかし、ミヤビの欲しいものっていくらするんだろうとお店を覗いてみた。 
こ、これはいくらバイトしているからといって買えるものじゃないぞ。 
ミヤビが欲しがったものって 

1 子犬 
2 ブランド物の洋服 
3 モモコより『ごめんごめん、ミヤからは何も聞けなかったの。だからさっきのは嘘です』とメールが 



2にしてみる 


1かなぁ 


1かな 
今度モモコと店内でまた続きしてほしいなw 



お金には余裕があるなんて言ってみたものの、甘かったなと思い改め直さねばならなくなった。 
高いなんてものじゃない。 
子犬なんて安いだろうと高をくくっていた俺はその値段に愕然とした。 
これはさすがに俺が何時間バイトしようとすぐに手が出せるものじゃない。 
ショーウィンドウの中の子犬たちに別れを告げ、俺はとぼとぼと帰路についた。 
結局プレゼントが用意できないまま、当日を迎えるのかと思うと何だか足取りも重い。 
そんな俺を黙っていることなんて出来なかったのか、後から誰かが小突いてきた。 

「いてっ・・・だ、誰だ?」 

1 ミヤビ 
2 チナミ 
3 エリカ 



なんとなくご無沙汰な気がする2 


とりあえず1で登場させたい 


今日はメインだから1にする 


1だろうよ 



「よっす、元気なさそうじゃん」 
「ミ、ミヤビ・・・」 
「なぁに、人の顔見て悲しそうな顔するのやめてよ。そんな痛くした覚えないんだけど」 

お前のせいじゃないって強く否定できない俺は、とりあえず何故か逃げてしまった。 
妙な罪悪感というかかっこつけたかったのに出来なかった恥ずかしさもあったんだと思う。 
とにかく走った。 
だけど、走れば走った分遅くなる俺を走って走っても疲れないミヤビが追いつくのは時間の問題だった。 
偶然か必然か、俺たちはいつか親子をみたあの公園まできていた。 

「捕まえた!!」 
「うわっ」 

砂場に押し倒され、顔から足まで砂だらけになった俺はミヤビに馬乗りされた。 

「さぁ何で逃げたか教えてもらいましょうか。  君」 
「そ、それは・・・」 

1 鬼ごっこがしたかったからだよと話をそらす 
2 何でもないってただ走りたかったから 
3 ごめん、理由は言えない 



1だね 
  


うんミヤビに余計な心配をかけさせちゃいけないね 
1で 


3 



顔をあげて鬼ごっこを楽しむ子供たちをみかけた俺は、思いつきで「鬼ごっこ」と口にした。 

「鬼ごっこ?」 
「うん、ミヤビに前驚かされたからこっちもいきなり鬼ごっこして驚かしてやろうって」 
「嘘つけ。そこにいる子供みて思いついただけじゃん。本当はそんな理由じゃないんだろう?」 

ほら言ってみろなんてつっかかってくるミヤビは、俺の脇をくすぐりはじめた。 
その指の動きは人間の何倍も早く正確である為、笑いのツボを絶対に外さずにくすぐったくて息が苦しくなってきた。 
笑い転げて息も絶え絶えになってきた俺は、早くも降参したくてたまらない。 
が、ここは踏ん張りどころだ。 

1 ダメだ、我慢できん・・・ 
2 た、誕生日ぷ、ぷれぜんとが・・・あはははは 
3 踏ん張っていたらオナラをしてしまい・・・ 



2でいい感じに 


3ww 

はダメだから2w 


3で軽蔑されるw 



耐えよう、耐えよう、そう力んでも結局笑いのツボの前ではすべてが無意味だ。 
俺がどんなに腹筋に力を入れようとも、笑いのツボを外さないミヤビにくすぐられとうとう吐き出してしまった。 
誕生日プレゼントなんて言葉を・・・ 

「あはははは、た、誕生日ぷ、ぷれぜんとが・・・あははは」 
「誕生日プレゼント?」 
「し、しまった・・・くそっ、な、何でもないって」 
「何でもないってことはないだろう。こいつ、全部言わせちゃうから」 

というわけで、この後も延々と続いたミヤビの拷問に耐えられなくなった俺は、全部言ってしまった。 
もう何もかもがぱぁ〜というわけだ。 
ベンチにもたれかかり、俺はため息をつくしかなかった。 
こういうのは昔からサプライズといって相手には突然教えるものだろうから、知られてはサプライズになりはしない。 
がっかりした俺は、隣のミヤビの異変に気づいていなかった。 
そう、ラブストーリーは突然やってくるものなのだ。 

『Dモード起動承認。Dモード起動承認』 

顔がほんのりと火照っていたミヤビから聞こえてきた謎の音声。 
これはまさか噂に聞いていたDモードか・・・ 

「  、あんた、私をついにやっちゃったね・・・」 
「えっ?」 
「し、知らないから〜えぇ〜ん」 

ベンチから立ち上がるとミヤビはそのまま我が家まで一気に走り去って行った。 
これが一体どういうことになるかも知らずにいた俺は家に帰り、その衝撃度の大きさにおののくことになる。 

「何だ、これは」 

俺が玄関を開けた途端、むっとした表情のユリナがお出迎えをしてくれた。 

「ただいま」 
「  さんってとんだ浮気者だったんですね。私はあなただけなのに」 
「えっ?」 
「ミヤが言ってました。『  のこと本気で好きになったからもらっちゃうね』って」 
「えぇ〜!?」 

ミヤビは宣言した通り、本気で好きになってくれたみたいだが、これはやりすぎだろう。 

「あ〜んして。ほら、  口開けてったら」 
「恥ずかしいからやめろって。大丈夫だからさ」 
「いいから早く。もぉ〜頑固な奴だな」 

Dモードは本当に危険だな、うん、危険だ。 
ミヤビからの誘惑をいつまで振り切れるか知らないが、何にせよ仲は深まってよかった。 

”警告しておく。ミヤビは一度Dモードになったからといって安心はできん。だが一度でもDモードになれば後は切り替えは早くなる。 
 色気なんて言葉をロボットに使っていいか知らんがミヤビの色気は尋常じゃないぞ” 

親父からの警告メールなんてどうにでもなってしまえ。 
俺もミヤビに本気になりそうだ。