ご主人様よりたまには裏にあるお庭のお手入れをしなさいとの事で、今日は裏庭のお掃除をしています。 ここは普段は決まった人しかやらないので基本は放置されています。 ですがたまにはこうして綺麗にしなくては・・・ 「・・・はぁ」 見たとたんため息をついてしまいました。やる前からこんなで大丈夫かな? 本当に当番の人が掃除をしているのだろうか。草木は伸び放題、あちこちに雲の巣だらけです。 まずは余分な草は葉っぱを切り落とさなくてはいけないみたいですね・・・ 使い慣れない枝切り鋏で切り落としていき、それから形を整えて・・・ 一人じゃ大変だな。これじゃみんながやりたがらないのも分かる気がします。 ただの掃除ではなくこうして植木を切りそろえなくてはならないのだから・・・ 「わぁっ?!」 いきなり葉っぱの壁の中から顔が出てきました。この方は 「きゃ?!ああびっくりしたなぁ、もぉいるならいるってゆってくださいよぅ♪」 「も、桃子お嬢様?!なぜその様な場所にいらっしゃるのですか?!」 「ウフフフフ、教えてほしい?」 1 いいえ結構です・・・ 2 もう一人お嬢様がお顔を出してきました 3 「教えてほしいならついてきなさい」とおっしゃる桃子お嬢様 「ねえ、桃ちゃん誰としゃべってるの?」 するともう一人のお嬢様がお顔を出してきました。あ、このお嬢様は!! 「きゃあ?!しっ執事さん!」 「愛理お嬢様?!なぜこの様な場所にいらっしゃるのですか!」 「一緒に遊んでたの。そうだ!執事さんも来なよ」 待ってください、まだ僕はお掃除をしなくてはならないのです。愛理お嬢様・・・! 「大好きな愛理のお願いだよ。ほらほらおいで執事さん」 桃子お嬢様も愛理お嬢様とご一緒に僕の手をひっぱってきます。さすがにお二人にひっぱられては逆らえません。 果たしてこの緑の壁の向こうにはなにがあるのでしょうか? 「こ、ここは・・・?!」 森の中でした。なんだか久々に来た様な感じで懐かしいです。 大きな切り株にいくつかお皿が並べられていました。まるでテーブルみたいです 絵本に描かれた場面をそのまま切り抜いて持ってきた様な幻想的な景色でした・・・ 1 ここで何をなさっていたのですか 2 なにやらいい匂いがしてきました 3 おや?もう一人別のお嬢様のお声が・・・ そういえばまだB館があった頃は森によく訪れていたな。つい先日の事なのに懐かしいです 「さあさあ執事さんすわってぇ♪ウフフフフ」 「大事なお客様だからね。執事さん////」 椅子はどうやら無い様なので直に座りました。 「桃〜、愛理〜、できたよ〜。味見してくれる?」 ・・・一瞬、僕の心臓が強ばってしまいました。ここ、このお声はまさか・・・?! 「はぁ〜い」「できたの?やったぁ食べた〜い」 桃子お嬢様と愛理お嬢様の向かった先を見られません。べ、別に怖いわけではないです・・・ 「わぁ〜〜♪すご〜い、おいしいよ」「これどうやって作ったの?私も作れる様になりたい」 どうやらお料理をなさっているみたいですね。振り向けないので声で判断するしか・・・ 「執事さんもおいでよ!すっごいおいしいよ!」 あぁあああお呼びしないでください桃子お嬢様ぁああ。なんとご無代な 「何してるの執事さん。こっち向いてよぉ〜」 愛理お嬢様まで・・・そんなぁ・・・ 1 お腹が痛いと言ってこの場を乗り切りましょう 2 男なら勇気を出さなくちゃ 3 急用を思い出しましたと言うしかありません 勇気を出さなくちゃ、ここで逃げるわけには参りません。男として、一人の人間として! 勢い良く立ち上がりお二人のいらっしゃる場所を見据えると、あのお嬢様がご一緒でした。 「なっなんであんたがいるのよ!この変態!」 「まあその・・・色々ございまして・・・」 雅お嬢様はお料理をなさっており、焚き火の上に鍋が乗せてありました。とても美味しそうな匂いが立ちこめています。 「ほらみや、食べてもらおうよ。自信作でしょ?」「絶対おいしいって!」 「う〜〜やだぁ////なんかやだぁ////」 失礼して、木のスプーンで鍋から一口すくいました。 鍋の中ではキノコや山菜など、おそらく森で採れたであろう具材が煮込まれています。 「いただきます・・・」 こ、これは・・・・・・ 「どう?みやの料理」「ねえねえおいしいでしょ?」 はい、とても美味しいです。美味しいのですが・・・ ちょっと味が薄い様な気がいたします。僕の味覚が変なのでしょうか? 桃子お嬢様と愛理お嬢様は美味しいとおっしゃったのに。果たしてこれを言うべきだろうか 1 とても美味しいです雅お嬢様 2 美味しいのですが少々味が薄い様な気がいたします・・・ 3 「何よその顔!まずいんでしょ」と雅お嬢様がご機嫌を損ねてしまいました もしかしたら無意識に少し眉間にしわを寄せてしまったのかもしれません。 「何よその顔!まずいんでしょ、私の料理」 「違いますよ!とても美味しいです」 「そんな顔して嘘つかないでよ、あんたなんか嫌い!」 はぁ・・・また怒らせてしまいました。どうして雅お嬢様とはうまくいかないのでしょう 「みや、さっき執事さんの話してたじゃん」 「も、桃っ!」 「いたぁ〜い。もぉ〜みやったらお尻叩かないでよぅ」 え・・・?桃子お嬢様いまなんとおっしゃったのですか。とても大事な内容な気がします。 「これだけじゃ寂しいね。何かもう少し作りたいなぁ」 「じゃあもぉもつくるぅ!ウフフフフ」 「では僕もお手伝いを・・・」 しようとしたら桃子お嬢様が僕の鼻を人差し指で押さえて 「待ってて。執事さんはお客様だから。もぉの料理楽しみにしててね」 「し、執事さん、私の料理楽しみにしてて!」 すると愛理お嬢様も僕に近寄ってきました。 ど、どうやら桃子お嬢様に対抗心を燃やしていらっしゃる様です 「負けないよ愛理!」「私だって桃ちゃんに負けないもん」 「・・・・・・・・・」 お二人をよそに雅お嬢様は僕の方にちらちら目線を向けていました。 もしかしてまだ僕に何か御用なのでしょうか? 1 あえて気付かない素振りをしましょう。気まずいですから 2 もう一度勇気を出して話し掛けてみる 3 このスープは味が薄いですとお伝えした方がいいかもしれません 料理の準備に取り掛かるお二人をよそに、僕はもう一度雅お嬢様にお声をかける事にしました。 勇気を出してもう一度話してみましょう、きっと次はうまくいくはずだから・・・ 「雅お嬢様」 「なっ、何よ、私は別にあんたと話したくないけど」 「・・・スープ、とても美味しかったですよ」 「嘘だ。だって眉間にシワ寄せてたじゃん。美味しかったらあんな顔しないよ」 なぜそんな顔をしてしまったのかは分かりませんでしたが、僕はさっき思った事を素直に打ち明けました。 僕は味が薄いと感じた事を・・・素直に雅お嬢様にお伝えしたのです。 「・・・・・・・・・」 やはり、嬉しくはないですよね。自分で作った物にたいしてそんな事を言われるなど 「・・・やっぱり?実は私もそう思ってたんだ」 しかし雅お嬢様は意外なお返事でした。 「桃や愛理は美味しいって言ってたけど、私はなんか味が足りないって・・・」 ・・・やはり素直にお伝えした方が良かったのですね。 このスープには果たしてなにが足りないのでしょうか? 1 もう少し煮込んでみてはいかがでしょうか 2 ご一緒に考えましょう、雅お嬢様 3 桃子お嬢様と愛理お嬢様からいい方法がお聞きできるかもしれません 「あと何が足りないんだろ・・・」 「ご一緒に考えましょう、雅お嬢様。あと少しで完成です」 ・・・雅お嬢様、そんなに不機嫌なお顔をなさらなくても・・・ 「え〜〜。頼りにならなそうだな〜」 「そんな事はございませんよ。お力にはなれるはずです」 「やだ。なんかとんでもないもの入れそうだし」 僕から離れようとなさる雅お嬢様。でも、心なしか楽しそうに見えますよ。 ・・・さっきよりは多少僕に心を開いていただいたでしょうか。相変わらずつんとなさっていますけど・・・ 「お砂糖はどうです?」 「だめよ。甘いのは違う」 「ではお塩はどうです?」 「ん〜〜、これ以上入れたらくどくなりそう」 「ならばお味噌はいかがでしょうか」 「味噌汁になっちゃうよ。も〜、やっぱ頼りにならないなぁ」 み、雅お嬢様が・・・笑った。なんだかこういうの、嬉しいものですね。 お褒めの言葉をいただいた訳ではないのに、なんだか嬉しいですよ。 1 では雅お嬢様は何を入れたらいいとお思いですか? 2 何か入れたら変になるというのは、むしろこれで完成だからなのではないでしょうか 3 お醤油を入れてみますか 4 エビフライ 僕が意見を言うばかりでなく、雅お嬢様のご意見もお聞きしたいです。 「雅お嬢様は何を入れたらよろしいとお思いですか」 「えっ?!きゅ、急に振らないでよぉ」 「もしかして何もお考えではなかったのでは・・・」 「そんなわけないでしょ!ちゃんと考えてるわよ」 あたふたなさるそのお姿が可愛らしいです。初めて拝見するかもしれません 「エビフライ!」 「え、エビフライ?調味料ではなく具材をですか」 「冗談よ!もう、あんた執事ならこういう時に愛想笑いくらいしたらどうなの」 「愛想笑いしたらしたでまた怒るじゃないですか・・・」 「うっさいわねもう!生意気よあんた!」 本当に何もお考えでは無かったのですね。もう・・・雅お嬢様ったら・・・ 「ではお醤油を入れてみましょうか」 「もういいわそれで・・・」 あまり入れたら味を壊してしまいます。少し、本当に少しだけ入れて・・・ 1 エビフライをお屋敷から持ってきましょうかと訪ねる 2 まだ足りないかもしれない、さらにご一緒に考えましょう 3 桃子お嬢様と愛理お嬢様はどうなったでしょうか 「美味しいじゃん。へぇ、あんたやるね」 雅お嬢様からお褒めの言葉をいただきました、あ、ありがとうございます。 「・・・・・・・・・」 「また難しい顔して。まだ何か足りないの?」 「はい・・・まだ薄い気がします」 「・・・そうかもね。ちょっと足りないか」 果たしてあと何が足りないのでしょうか。これでも十分ですが、何か・・・ 「ん〜〜、難しいね。料理するのは好きだけど」 ・・・いつしか僕は雅お嬢様の横顔に見入っていました。 なんとお美しい横顔だろう。そうして口元に手を当てているそのお姿・・・ 「塩は・・・違うかな。やっぱりしつこくなりそう」 そしてこうやって真剣に向き合っているその姿勢にもひかれてしまいます。 な、何を考えているんだ僕は。愛理お嬢様がすぐ近くにいらっしゃるのに・・・! 「砂糖は・・・・・・あっ、これかも。ねえ食べてみて」 急にこちらを振り向いた雅お嬢様。あ、目が合いました! 「どしたの、ぼけっとして。しっかりしなよ、ちゃんと考えてたの?」 「・・・・・・は、はい」 嘘をついてしまいました。何も考えていませんでしたよ。貴女に見とれていました。 ようやく完成した雅お嬢様のお料理。良かった、本当に良かったです。 「もぉもできましたよぉ♪ウフフフフ」「やっと出来た〜、食べて執事さん!」 森のキッチンで作った雅お嬢様と桃子お嬢様、そして愛理お嬢様のお料理。 切り株のテーブルに並ぶそれぞれのお料理。 雅お嬢様のスープと、愛理お嬢様のパスタ、それに桃子お嬢様の・・・この緑の物体はなんだろうか? 「じゃあみんなで食べてみよっか」 「いただきまぁす!」 なぜか、緑の物体だけは誰も手をつけませんでした。 「美味し〜♪さすがみや」 「執事さんのおかげでもっとおいしくなったよ」 「すご〜い執事さん!」 なんだかいい雰囲気です。このままずっとこの時間が止まればいいのに 「・・・ねぇ、誰か食べて。もぉの料理」 「・・・・・・・・・」「・・・・・・・・・」 愛理お嬢様と雅お嬢様は顔を見合わせてから僕を見つめてきました。 ま、まさか僕に・・・?!そそそれだけは!なんとご無代な! いやそれはさすがに桃子お嬢様に失礼だろう。しかし・・・ 1 三度勇気を出すときが来ました! 2 雅お嬢様が無理やり僕の口に・・・アッー?! 3 あ、愛理お嬢様と雅お嬢様が僕を押さえ付けて、やめてください! 「執事さぁ〜〜ん食べてよぅ。もぉのこと嫌いぃ?」 うう・・・桃子お嬢様が瞳を潤ませている。これは最早覚悟を決めなくてはならないのか し、しかしこの物体は・・・果たしてなんだろう。よくみると細かい粒々が見える、三角の形をしてるからおにぎりだろうか? なぜこんな色なんだろう。どうしてお米が緑色に染まっているのだろう。 「今だよ桃!」「早く口に入れちゃえ!」 はっ・・・な、何をなさるのですか?!雅お嬢様、愛理お嬢様、お止めください!! 腕を押さえ付けられてしまい身動きがとれません。このままではまずいです・・・ひぃいいぃ 「いくよ執事さん。もぉのスッペシャルなおにぎり食べてねぇ」 ああ・・・やめて、やめてください。そんな・・・ああ、近づいてくる あっ ・・・ああ、あっ、あっ 「アッ〜〜〜〜〜?!」 「おいしい執事さん?ねえおいしい?」 「・・・は、はい・・・口の中に・・・森の匂いが・・・満ち・・・て・・・ガク」 「あら?寝ちゃったよ執事さん・・・」 「桃、やっぱりなんか変なの入れたでしょ」 「変なのじゃないよぅ。美味しそうな草が生えてたから入れただけだもん」 最後はこうなってしまいましたがとても有意義な時間を過ごす事ができました。 あ、ありがとうございます、愛理お嬢様、雅お嬢様、桃子お嬢様 特に雅お嬢様・・・貴女と親密になれたのは嬉しいですよ 「笑顔で倒れてるよ執事さん」 「どんだけ変態なんだろ・・・ほんといい笑顔」 「ウフフフフ、もっと食べてねぇ。ほらほ〜ら」