「うわああああミキサーが爆発したのだ!おい誰だ、炭酸なんか混ぜたのは!」
「道重さんが入れなさいって言いましたぁ〜」
「入れたら面白いかもって言っただけでしょ。本当に入れるなんてもう・・・」
・・・久住さんはいつでも騒動の種ですね。
 
相変わらず賑やかなコックさん達を尻目に、僕は黙々とある物を作っていました。
料理は一通り教わってきましたがこういう¨お菓子¨を作るのはちょっと苦手です・・・
なんとかあのお嬢様に喜んでいただきたい。いつもお手をわずらわせてしまっておりますから・・・・・・
 
まるで母さんの様な包容力のあるあのお嬢様。いつも何かと僕の世話を焼いて頂いている茉麻お嬢様。
思えばまだB館があった頃からそうだった様な。執事である僕がお嬢様に何かさせるなどとんでもないのに・・・
 
喜んで頂くにはどうしたらいいのか僕なりに考えて、お菓子を作る事に決めたのです。
さて・・・何を作ればよろしいのでしょう
 
 
1 ケーキはどうでしょうか
2 食べやすい大きさのチョコレート
3 コックさんに相談しましょう 



1人で考えていてもあまり良くありません。コックさんに相談してみましょう
「すみません、ちょっとよろしいでしょうか」
「こ、コラー!ゲホッゲホッ、待つのだ小春!」
「やですよ〜新垣さんのお説教長いから〜」
・・・新垣さんは久住さんに胡椒を浴びせられて話せる状態ではなさそうですね。
「どしたの執事さん?なんか悩み事?」
「はい、実は・・・」
そうだ、道重さんなら何かいい答えをくれるかもしれません。
 
「あ〜うん、あのお嬢様は世話焼くの好きだからね。恩返ししたいんだ」
なんで僕の頭を撫でるんですか・・・子供扱いされてるみたいでちょっと
「最初は簡単なのでもいいんじゃない?ホットケーキとか」
「お言葉ですがちょっと簡単すぎでは・・・」
「気持ちが大事だから。自分のために作ってくれた、っていうのが嬉しいのよ」
そうですか。そ、そうですよね、あまり凝ったものにこだわらなくても、気持ちが大事ですよね。
「・・・ねえ、みんなが大事なのはわかるけど、あんまり浮気しない方がいいよ。女の子は怖いからね♪」
 
うう、道重さん、なんと悪い笑顔ですか・・・
「あ、ありがとうございます」
 
 
ついでに怖い助言もしてくれた道重さんにお礼を言い、フライパンに火をかけました。
 
そうだ、凝ったものでなくてもいいんだ。
例えそれほど難しい物でなくても気持ちを込める事が大事なのだから。
 
「こんな感じかな・・・」
ただ焼くだけではないな。気を付けないと焦げてしまいます。
「出来た!」
・・・ふう、無事に綺麗に焼けました。
お皿に何枚か重ねてクリームを塗り、さくらんぼを乗せて完成です。あとはこれを茉麻お嬢様の元へ・・・
 
 
「・・・!!」
厨房を出て茉麻お嬢様を探していると、なにやら視線を感じて・・・
「いい匂いだね〜」
ま、舞お嬢様・・・!危険な方に見つかってしまいましたね。
 
 
1 あっいけません!返してください!
2 うわあああ更に友理奈お嬢様も・・・
3 舞お嬢様にも作って差し上げましょう 



「舞のために作ってくれたんでしょ?ひつじさん優しい〜」
「いえ、これは・・・舞お嬢様にも作って差し上げましょう」
「わぁ〜〜い♪」
 
茉麻お嬢様のホットケーキを置いて、もう一度フライパンに火をかけました。
「はいどうぞ」
「おいしぃ〜〜♪ひつじさんは何でもできるんだね」
いい笑顔をなさる舞お嬢様。
・・・茉麻お嬢様もこうやって喜んでいただけるだろうか?
 
「ねえ、さっきホットケーキ持ってたけどそれは誰の?」
「えっ。あ、あの、それは・・・」
・・・み、道重さんが笑っている。言わないで下さい。隠すのも変ですが、舞お嬢様が知ったら・・・
「あ〜コックさん笑ってる。あやし〜〜。愛理ちゃんのためなのかな?」
「そ!そうですよ」
「・・・・・・・・・」
うう、またあの悪い笑顔で僕を見上げています。
「・・・あっ」
すると舞お嬢様は向こうを指差しました。思わず振り向きましたが何もありません。
「あっ!ま、舞お嬢様!」
舞お嬢様はその隙にホットケーキを持ってどこかに走って・・・
「返してください!舞お嬢様〜!」
 
 
1 もう一度作り直した方がいいかもしれません
2 返してください!怒りますよ!
3 そこに茉麻お嬢様が・・・ 



舞お嬢様がそのまま厨房を立ち去ろうとなさった時、別のお嬢様が・・・
「きゃ?!し、執事さん、なんでここに?うわああやだあ////」
いつもの様に顔を赤らめて体をばたばたさせています。
「あの、実は・・・」
舞お嬢様が持つホットケーキを差し上げようとしていたのですが・・・それを言えずにどう答えようか迷っていると
「はいこれ」
「えっ?舞ちゃんが食べるんじゃないのそのケーキ」
「ううん、舞はもう食べたからね」
舞お嬢様は僕にウィンクをして厨房を後にしました。僕の反応で気付かれた様ですね
・・・おや?舞お嬢様がこちらに戻ってきました。
 
「B館の方にも積極的になってきたね。ひつじさんはうわきものなんだから♪」
舞お嬢様は身の毛がよだつ事を小声でおっしゃり、笑顔で走っていきました。あ、あとが怖いな・・・
 
「このケーキ、執事さんが作ったの?」
「はい。茉麻お嬢様に喜んでいただきたくて・・・」
 
 
1 茉麻お嬢様が抱きついて・・・く、苦しいです
2 いきなり茉麻お嬢様が泣きだしてしまいました
3 「わ、私も執事さんに作ってあげたい!」と 



「嬉しい!ありがとう執事さん!!」
「ま、茉麻お嬢様、ちょ・・・いわあああ!」
いきなり茉麻お嬢様が僕を抱きしめて・・・うう、痛いです。
でも嬉しいです、こんなに喜んでいただけるなんて。でも・・・痛い・・・
「やだ、やばいよ、なんか泣きそうだよ私。執事さんが私のために・・・嬉しいぃっ!」
「お、お嬢様・・・うぅ」
この体に食い込む腕は茉麻お嬢様の喜びの証なんだ。そう思えば痛みでさえ幸せに・・・
な、なるのかな。だんだん息苦しくなってきましたよ。
「わ、私も執事さんに作ってあげたい!」
「けほっけほっ。茉麻お嬢様、僕は貴女のために・・・」
「待ってて。すぐ作るから。こう見えても私お菓子は作れるのよ!」
・・・またお手をわずらわせてしまうのか。
でも、嬉しいとおっしゃっていただけたのは僕も嬉しいですよ。
 
 
「はいどうぞ。召し上がれ」
「ありがとうございます・・・!」
えと、1、2、3、4、5・・・何枚あるのでしょう?ずいぶん高さがありますね。
「どう・・・?」
「美味しいです、とても」
「やったぁ!遠慮しないでどんどん食べて」
「むぐ、ま、茉麻お嬢様、あうう」
茉麻お嬢様・・・もう大丈夫です、自分でできますから・・・
「じゃあ私も執事さんのホットケーキ食べるね」
フォークで少し削り、口に運ぶ茉麻お嬢様。
果たしてうまくできただろうか?心配です・・・
 
「・・・・・・」
「ま、茉麻お嬢様?!」
少し涙ぐんで・・・そんなに不味かったのですか?!
「ごめん。な、なんか嬉しくて、えへへ////」
「良かった。てっきり味が酷いのかと思いましたよ」
「美味しいよ執事さん。私も負けられないな」
 
 
1 口についていますよ、とほっぺの食べかすを取る
2 貴女のために今度は違うものを作ります
3 舞お嬢様が見ている気がします・・・が敢えて気付かないふりをする 



あ、茉麻お嬢様・・・口に食べかすがついてます。
「失礼します、茉麻お嬢様」
「な、なに?きゃあっ!」
ほっぺについた食べかすを取って差し上げました。
「もぉ〜〜、とるならちゃんと言ってよぉ。失礼します、だけじゃわかんない////」
茉麻お嬢様はお嬢様の中ではかなりの恥ずかしがり屋さんです。
もしかしたらいちばんの恥ずかしがり屋さんかもしれません
「じゃあお返ししちゃうもん。執事さんも食べかすついてる」
「わっ、い、痛いですよ」
ハンカチで僕の唇をごしごしふいてくる茉麻お嬢様。い、痛いですってば。
「あ、ごめん。赤くなっちゃったね。ちょっと腫れたかな」
「はい」
「・・・なんか私の唇みたいだね。おっきくなって」
「そ、そうですか?」
・・・茉麻お嬢様が笑っていらっしゃる。かわいらしいなぁ////
 
「ありがとう執事さん。嬉しかったよ」
「喜んでいただけて僕も嬉しいです」
 
¨誰かのために何かをする様になった時、そこからが新しい始まりだ¨
・・・父さんの言葉を思い出した。まだ初めて聞いた時はわからなかったけど・・・
ここでようやくまた新たなスタート地点に立ったという事なんだな。
 
僕はこれから、お嬢様のために何ができるのだろうか 


ノk|*‘−‘)<執事さんの胸ってあったかいね   (執事)<栞菜お嬢様、もう寂しさはなくなりましたか?   ノk|*‘−‘)<・・・もう少しこうしててもいい?     (*執事)<栞菜お嬢様・・・       壁|´・ v ・)<甘いわね栞菜。誰にも見られてないと思ってるのかしら 壁|*’ー’リ<せんせぇの恵方巻きをたべちゃいますよぉ♪   壁|*‘ -‘リ<お、お兄ちゃんの金棒・・・   壁|*‘ρ‘)<先生の恵方巻きハァハァ・・・   壁|*´∇`)<私の大事なものを取った責任果たしてよね     (;教師)<あちこちから視線を感じる・・・