・・・嗣永、梨沙子、有原 三人の顔が頭から離れない。それも普段の顔ではなく、あの時の顔ばかりが・・・ ・・・何やってんだ俺。生徒とあんなことをするために教師になった訳じゃないぞ。 ¨あいつ¨にあわせる顔がない。いまの姿を見たらまちがいなく取りつかれそうだぜ・・・ 石村と嗣永の再会を見た時は会いたいと思ったが、やっぱりやめといた方が良さそうだ。 ・・・早くテストの点数つけなくちゃ。もう暗くなってきたぞ、集中するんだ。 予定より多少遅れたが無事に点数をつけ終わった。今日は走って帰ろう。 増えた体重が多少落ちたがまだまだ目標までは長い道のりだ。怠んでたらすぐ元に戻るだろうな。 「先生!」 職員室を出て下駄箱に着いたあたりで声をかけられた。ああ、この声は 「熊井。今日は部活か」 「はい、あの・・・一緒に帰りません?」 1 いいよ 2 そうだ、一緒に走ろうか 3 ・・・あ、嗣永が走ってくる 「そうだ、一緒に走ろうか。ちょっと正月に怠けちゃってな、体重が増えたんだ」 「先輩言ってましたよ、先生ちょっと太ったって」 くすくす笑いながら言う熊井。嗣永、あいつ・・・俺のいないとこじゃ何を言ってるかわかんないな。 「どこまで走るんですか?」 「とりあえず家まで。いくぞ」 校門を出て一緒にスタートした。お手柔らかに頼むぜ・・・っておい、ちょっと! 「く、熊井、待ってくれ!速いじゃないか」 「いつも部活の練習だとこれくらいですよ」 そんなばかな。まるでついていけない、いくら年齢のせいとはいえ・・・ 「大丈夫ですか?もうちょっとゆっくり走りますよ」 ・・・いや、生徒に気をつかわせちゃいかん。頑張れば走れるはずだ。 「気にするな、ちょっとびっくりしただけだ。そのまま走ってくれ」 髪を後ろに束ねて走るその姿は男の子みたいだった。 まだ嗣永や中島は熊井を男の子だと思ってるな。と言うか・・・女の子だという事を知ってるのはおそらく俺だけだろう。 確か昔から好きになるのは女の子ばかりだって言ってたよな 1 熊井が転んだ。大丈夫か? 2 考え事をしてたら自転車が向かってきた、やばい、よけられない 3 黙って走ろう 最初は速いと思ったが意外とついていけてるな。俺もまだまだ捨てたもんじゃ・・・ 「うわっ!」 熊井がいきなり石につまづいてそのまま転んでしまった。 「熊井!大丈夫か?!」 ・・・熊井のきれいな膝から赤い血が流れてきた。こりゃ、思ったより深いぞ。 「だ、大丈夫です、これくらいなんともありません」 「菌が入るかもしれない。ちょっと待ってろ」 良かった、運良く消毒液と絆創膏を持ってた。 「ちょっと染みるぞ・・・」 ティッシュに消毒液を浸して、そっと傷口に触れた。 「痛いっ!」 「すぐ終わる、もう少しだけ我慢しろ」 ・・・目が潤む顔を見て思わずどきっとしてしまった。意外と泣きやすいんだな・・・ 「もう痛まないか?」 「は、はい」 熊井は傷口をふさいでいる絆創膏をじっと見ている。 「ごめんなさい、転んじゃいました」 「いや、いいんだ。本当に大丈夫か?」 ・・・熊井、まだちょっと目が潤んでる。見た目で気が強そうだと思ってたが意外と繊細なのか? 1 「・・・先生、おんぶしてください」って・・・ 2 ちょっと休んだ方がいいか、近くの公園で 3 いきなり「・・・僕、やっぱり男の子みたいですか?」と聞かれた 走れない事はないだろうが無理するのは良くない、ちょっと休ませた方がいいな。 「近くに公園あるからそこで休んでいこう」 「いいんですか?僕走れますよ、大丈夫です」 「無理はするな。ちょっと休もう」 肩を支えるほど大げさじゃないがゆっくり歩いて、ベンチに腰掛けた。 「・・・あの、先生」 「なんだ?まだ痛むか」 「ぼ、僕って、やっぱり男の子みたいですか?」 おいおいいきなりだな。どうしてそんな事を聞くんだ。 「・・・・・・・・・」 熊井は黙って俺を見つめている。そんなにじっと見つめられては・・・照れるよ 「何かあったのか?」 「・・・・・・・・・」 また悩みを抱えてるのか。俺でよければ相談に乗ってやりたい 1 男の子みたいに見えるよ 2 ・・・最近女の子らしくなってきたんじゃないか? 3 嗣永のことで悩んでるのか ・・・なんか・・・ 熊井の顔立ち、というか雰囲気、というべきか。 前はもっと男の子っぽかったんだが今はちょっと変わった様に見える。 「最近女の子らしくなってきたんじゃないか」 熊井の表情がぴくっ、となった。かすかに顔が赤くなっている。 「本当にそう思います?あの・・・なんか、僕も自分でちょっと変わったかな、って思ってて」 熊井自身も自分の変化に気が付いてるみたいだ。 ・・・前より雰囲気が変わったよな。こないだ会った時はまだ凛々しかった。 それなりにいろんな生徒を見てきたが、こういう変化があった生徒は・・・ だいたい誰か想う相手がいた。全員ってわけじゃないが、ほぼ好きな子がいたんだ。 男子はあまり見た目は変わらないが、女子は見た目が少し変わる でも熊井・・・嗣永が好きなんじゃないのか。いったい誰だ? 1 誰が好きか聞いてみる 2 もう少し詳しく聞きたいな 3 「先、生・・・僕と・・・キスしてください」と言われて・・・ 俺の経験だけで決めるのもよくない。もう少し詳しく話を聞きたいな。 「なんか・・・胸が苦しいっていうか・・・ずっと何かのしかかってる様な感じなんです」 ・・・これは間違いない。熊井には好きな人がいる。たぶん嗣永とは別の相手かもしれない。 「あ、あの・・・それも、せ、先生に、む、胸を触られてからなんです////」 ほう、そうか。俺に胸をむにゅっと触られてからか。 ・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・え? 「せ、先生の事がだんだん頭から離れなくなっちゃって」 な、なな、なんだって!お前いま衝撃の告白を! 「これ・・・今まで誰かを好きになった時と同じ様な感じなんです・・・」 そ、それはまさか・・・う、うう・・・お、俺を・・・! まさか熊井から告白されるとは。意外と大胆なんだな 1 熊井が近づいてきた。そんなに近づいたら顔が触れる 2 熊井が顔を真っ赤にして倒れてしまった 3 何も聞かなかったことに・・・ く、熊井が・・・女の子じゃなくて男を好きになったのか? よくわからないがいったいどうしてなんだ。 「・・・・・・・・・」 熊井はじっと俺を見つめていたが、急に顔が真っ赤になって 「く、熊井?!」 なんとその場に倒れてしまった。ベンチの背もたれにぐったりとして・・・ 「大丈夫か?!しっかりしろ、熊井!おい!」 信じられない、女の子を好きになってしまうのに男に対しても同じ感情が沸き上がるとは。 き、聞かなかった事に・・・いやいやだめだろ。熊井の、生徒の想いを聞かなかった事にするのは 「・・・熊井」 起きないな。気絶しちまったのか? そういや友達の中島も前に気絶したことがあった。あれは暑さのせいだったが・・・ 「起きろ熊井、おい」 体を揺すっても起きてくれない。・・・待てよ、息してないんじゃないか? 1 叩き起こす! 2 耳元で俺も熊井が好きだと言う 3 人工呼吸しかない! 4 いきなり熊井が目覚めた 大変だ。もはや一刻の猶予も残されてはいない。至急熊井を助けなくては! そ・・・それには人工呼吸しかない。中島もそうやって助けたんだ、今度は熊井を! 「・・・・・・」 そっと熊井をベンチに仰向けに寝かせて顔を押さえた。 ・・・きれいな顔立ちだな。少年の様にも少女の様にも見える。 唇・・・艶々じゃないか。触ったらきっと柔らかいだろうな。果たしてキスだけで我慢できるか 違う!キスじゃなくて人工呼吸だ、何をヨコシマな事を考えてるんだ俺は。 「熊井、いま助けるぞ」 ・・・どきどきする。いまからこの唇を汚してしまうけど・・・ごめんな 鼻と鼻が触れそうになったその時・・・ 「・・・ん・・・」 熊井の目が開いた。うわ、めちゃくちゃ近いぞ。 「きゃあああああああ!!」 「はうううっ?!」 体を突き飛ばされて思い切り仰け反り、今度は俺が仰向けになりそうになった。 「せ、せ、先生、いま何しようとしたんですか」 1 誤解だ、お前が目を覚まさないから人工呼吸を 2 キスしようとしたとふざけてみる 3 きれいな顔だからもっと近くで見たかったんだ 779 :名無し募集中。。。:2009/01/13(火) 22:01:11 同じく34w 「誤解だ!お前がいきなり倒れて目を覚まさないから人工呼吸しようと」 「・・・先生ってえっちですよね。いきなり胸触ったり、今みたいに唇を・・・」 「本当だよ。信じられないだろうけど、熊井を助けたくて」 「・・・・・・・・・」 果たして信じてもらえるだろうか。熊井が言った通りやらしい姿ばかり見せてるからな・・・ 「・・・さっきの話ですけど、僕、先生の事が頭から・・・」 また顔が赤くなってきた。倒れないでくれよ。 「もう、恥ずかしくなっちゃいました!走りますよ!」 急に立ち上がり、俺から逃げる様に走っていく。 「おい待てよ、怪我は大丈夫なのか?熊井!」 く、くそ、さっきより速いじゃないか。待て、今度は俺を気絶させるつもりか。 やっとの思いでアパートまで着いた時はへとへとになっていた。 「く、くま、はぁはぁ、ぜぇ・・・少しは加減しろ」 「遅いですね先生。ちゃんと普段から鍛えないとだめですよ」 熊井はさっきまでの恥ずかしさ全開な顔ではなく、明るい顔だった。 「じゃあ僕はこれで失礼します。また明日!」 茶ぐらい出してやろうとしたが熊井はそのまま帰ってしまった。たぶん・・・恥ずかしいんだろうな。 ・・・熊井の心境に変化の兆しが見えた。今度会う時は・・・俺はどんな気持ちなんだろう <Yurina's Side> ちゃんと告白できたかわからないけど、先生に伝えられた。 僕・・・どうしたんだろう。先輩が好きじゃなくなったわけじゃないのに 先生には誰にも言えなかった秘密を言えたし、もともと話しやすいと思ってたけど・・・ やっぱり僕は女の子なのかな。 男の人に対して、女の子と同じ感情を抱いたのは初めてかもしれない。 もう・・・¨僕¨って言うのはおかしいのかな?