あいつの墓参りをしたその翌朝、俺は誰かの気配を感じて目が覚めた。 「誰だ・・・?」 眠い目をこすり、そっとあけるとそこにはあいつがいた。 ¨あ、ごめんなさい。起こしちゃいました?¨ 「石村!久しぶりだな・・・」 ・・・あれ?いつもと格好が違うじゃないか。 確か半袖、というか夏服だったはずだが長袖になっている。 ¨ああこれ?衣替えしてみたの。もう冬だし¨ 「そ、そうなのか」 幽霊も衣替えするんだな、知らなかったぞ。できるとも思わなかったよ。 「しばらく来なかったな。最初に会ったとこにもいなかったし、どこ行ってたんだ?」 ¨うん、色々なところに行ってたの¨ 幽霊は出歩くのか。まあ、俺の家に来るぐらいだから不思議ではないよな。 ・・・あれ?なんかよく見ると体が透けてない様な・・・気のせいか? それにちゃんと影があるぞ。俺のを目の錯覚か? 1 石村の体に触れてみる 2 き、気のせいだよな・・・ 3 おや来客か。このノックの仕方は・・・嗣永?! 「石村ちょっとすまん」 ¨へっ、何先生・・・¨ 俺はそっと石村の小さな手に触れてみた ・・・ふにっ さ、さ、触れた?いやそんなはずはない。石村の体に触れるなんて・・・ ¨きゃあっ?!先生私の体に触れるの?¨ だが石村は驚いている。も、もう一回触ってみよう。 ふにっ、ふにゅ 今度は触ってからさらに少し突いてみたが、指には柔らかい肌の感触がある。 ¨うううそぉ?!ほ、本当に体ができてるぅ!さっきはいつもと同じでドア擦り抜けたのに¨ 間違いない、ここにいる石村は実体がある。ちゃんと影があるし何より触れる事ができた。 しかし何故だろう・・・今言った通り入ってきた時はいつもと変わらなかったらしいのに。 ¨お願い通じたのかな。体が元に戻る様にって¨ 石村はここに来る前に寺に寄ってお願いしたらしい。 かなり前からやっていたが戻らなかったので半ばあきらめかけてたそうだが・・・ ¨やり続ければ叶うんだね¨ 「そ、そうだな」 不謹慎ながら、俺は石村の膨らみばかりを見ていた。 いかんぞ、普通なら元に戻れたのを祝福してやらなくちゃいけないのに でも体は正直というか・・・ 1 胸を見ているのを気づかれ怒られる 2 よかったな、と言葉をかけよう 3 何かしてみたい事はあるか? ¨う、うれしい、本当に元に戻れるなんて¨ 「よかったな石村」 そうだ、ちゃんと祝ってあげなくちゃ。うれしいだろうからな。 ¨わっ////¨ 俺に頭を撫でられて甲高い声をあげた。びっくりしたんだろうか ¨せ、先生の手っておっきいですね¨ はにかんで浮き出た笑窪が可愛らしかった。なにが起こったのかは分からないが無事に戻れて良かった。 ¨わぁあっ、本当に戻ったんだぁ!わぁあー¨ 子供みたいにぴょんぴょん飛び跳ねている。ふふ、かわいいな。 でもそんなに跳ねたら下の階から苦情が来ちゃうよ。それに転ぶから危ないぞ。 ¨きゃぁあっ?!¨ 「お、おいっ!」 ほら言わんこっちゃ無い。大丈夫か石む・・・・・・! 「う・・・わぁっ!」 なんだぁ、急に目の前が真っ暗になった、うわっ倒れる! ¨いたたたたた¨ や、や、やわらかいものが顔に乗っかっている、これはまさか・・・!? 1 確かめるために触ってみる 2 敢えて何も言わないで静かにしてよう 3 えっ電話?!勘弁してくれこんなときに こ、こ、これはまさかその、あれじゃないよな? た、確かめるために触ってみるか。あくまで確かめるだけだぞ。うん ¨きゃっ////¨ や、やわらかい!これは間違いない、人の肌だ。そしてこの部分はおそらく・・・ 急に目の前が明るくなったと思ったら、顔に乗っかっていた重みも無くなった。 ¨・・・先生いま触ったでしょ。えっち////¨ 「そ、そんなつもりじゃない!信じてくれ!」 ¨・・・・・・・・・・・・¨ そんな目で見ないでくれ石村ぁ。俺は・・・俺は・・・ 『ピンポーーン♪』 だ、誰だ?こんな時間に来客なんて 「せんせぇ〜〜〜♪おはよぉございまぁ〜〜〜〜す♪」 ・・・まずい。よりにもよって嗣永が訪ねてくるとは。石村を見たらびっくりして気絶しそうだ ¨せっ先生どうしよう、私、どうしたらいいの¨ 弱気になるな石村、俺がどうにかしてやるから。 1 ・・・会ってみたらどうだ? 2 とりあえずトイレに隠れてるんだ 3 鍵を開ける音がする!なぜだ?!あー入ってくるな〜 「ウフフフフフ♪返事が無いから開けちゃいますよぉ」 ばかな事を言うな、お前が家の鍵を開けられるはずがないじゃないか。 ・・・いや、ちょっと待て。この音は鍵を開ける音か?!そんなばかな!そんなはずは 「せんせぇ〜〜〜〜〜♪♪」 あ〜〜〜〜だめだ〜〜〜!入ってくるなぁあ〜〜〜!! 「・・・・・・・・・?!」 ¨あ・・・ああ・・・っ¨ 嗣永の足が止まった。視線は石村の方を向いて固まっている。 石村も嗣永を見て固まっていた。ちょうどベッドから立ち上がって下りたところで・・・ 「ま、ま、まい・・・えっ?!ちょ、ちょっと、え?!どどどういう事?!」 ¨も、桃子ちゃん、これは・・・その・・・¨ 突然の事に嗣永も石村もどうしていいのかわからない様だ。 1 石村、落ち着いて事情を説明してやるんだ 2 俺から説明してやるか。石村は話せないだろうし 3 突然嗣永が石村に抱きついた どうしていいのか様子を見ていたら、いきなり嗣永が石村に抱きついた。 「あ、あの、桃子ちゃ・・・」 「う、うう・・・うぇえん、舞波ぁっ」 そうだよな。泣いちゃうよな・・・会えない人にまた会えたんだ。普通ならありえない事のはずだから・・・ 嗣永は耳まで赤くして泣き腫らしていた。石村は嗣永をぎゅっと抱き締めている。 「石村、落ち着いてるか?」 ¨・・・は、はい、なんとか¨ 「俺から説明しようか?」 ¨大丈夫です。私からちゃんと言います¨ 嗣永が泣き止んだのを見計らい石村は自分に起きた事の説明を始めた。 事故に会ってから起きた事や、体が元に戻ったいきさつ・・・ 嗣永はしっかりと石村の話を聞いていた。目を逸らさずに時々頷いたりしながら。 「そっか・・・ずっともぉを心配しててくれたんだ」 ¨し、心配なんて大げさだなぁ。ただ気になってただけだよ¨ 「ありがと、舞波」 ¨桃子ちゃん・・・¨ 見つめ合い再び抱き合う嗣永と石村。 良かったな・・・嗣永。お前は幸せだぜ、もう会えない親友とまた会えたんだ。 ・・・・・・羨ましい。俺ももう一度、大切な人に会えたらいいのに・・・ 1 しばらく見ていよう 2 ちょっと席を外すか。二人にしてやろう 3 石村が呼んでる、なんだろ ¨桃子ちゃん。ごめんね、もうそろそろ時間みたい¨ 「え・・・?ま、舞波、やだ、行かないで。もぉを置いてかないで!」 時間・・・?お、おい石村、嘘だろ。その時間っていうのはどういう意味だよ ¨先生、お願いがあるんですけどいいですか?¨ 「いいよ。何でもきくよ石村」 ¨写るかどうかわからないですけど、携帯かデジカメで私の姿を撮ってほしいんです¨ 「わかった。いっぱい撮ってやるからな」 時間というのが気になったが意味は聞けなかった。 聞きたかったが、それを聞いて嗣永がどう思うのかと想像したらできなかったよ ¨桃子ちゃん笑って¨ 「う、うん、こう?」 ¨泣いてるよ¨ 「しょうがないじゃん・・・」 ・・・石村は言葉にはしなかったが、想いは伝わってきた。 体が戻った自分の姿をデータという形で残しておきたいんだろう いつまでもこのままではいられないから、 いつまでも嗣永のそばにはいてあげられないから・・・だから・・・ やがて石村の体がだんだん薄くなっていった。 ¨ごめん、もう行かなきゃ¨ 「舞波ぁ!!」 嗣永は石村に抱きついた。 ・・・まだ大丈夫、ちゃんと抱き締められる。 しかしもう足は消えていた。もう時間がない・・・ ¨桃子ちゃん、また会えて良かった¨ 「舞波ぁあ〜〜」 石村は笑顔で消えた。泣かないでずっと笑顔だった 「うわあああん・・・舞波ぁ・・・」 「嗣永・・・」 体を震わせて泣いている嗣永を後ろから抱き締める。俺にはこれくらいしかできないけど・・・ 「せんせぇ・・・」 「・・・泣いていいぞ。俺が抱いてるから」 「だいじょぶ、もうじゅうぶん泣いたから」 すぐに笑顔になれるなんてお前は強いな。俺は・・・ もし俺がまた大切な人に会えてすぐ離ればなれになったらこんなに笑えるだろうか。 無理だな・・・俺は強くなんかない、きっと引きずってしまう。 「せん、せぇ・・・」 「・・・嗣永・・・」 それから俺たちは二人でデジカメや携帯のデータに残った石村の姿を見た。 ・・・石村はあっちに行ったんだな。もう心残りは無くなったのかもしれない。 気が付けばもう外はすっかり暗くなっていた。 1 嗣永・・・今日は帰した方がいいかもな 2 もうしばらくこのままでもいい?と嗣永が聞いてきた 3 ・・・なんだ?気配が 今日は帰した方がいいかもしれないな・・・ 「嗣永、あの」 「うん。ごめんせんせぇ、今日はもう帰るね。ありがと、また今度遊ぼうね」 もうまたあの笑顔に戻ってはいたが目は赤く腫れていた。 「だいじょぶ、1人で帰れるから。ばいばいせんせぇっ」 「ああ、気を付けてな」 ・・・今は一人になりたいだろうな。 それにしても石村・・・いくのが早すぎたんじゃないか。 嗣永を見送った後家に戻り落ち着こうと座ったら・・・ 「・・・・・・?」 誰かの気配がした。気のせいかな?そんなはずはないんだが ¨先生・・・¨ 「うわっ?!い、石村?!なんでここに!」 体が透けてる、ってことはまた幽霊に戻ったのか。 ¨さっき言い忘れたの。時間っていうのはもうすぐこうなるって事で・・・¨ な、なんだって?そういう意味だったのか。良かった。てっきり成仏しちまったのかと・・・ ¨ねえ、また時々遊びに来てもいい?¨ 「いいけど、たまには嗣永にも会ってやれよ」 ¨は、恥ずかしい////さっきたくさん写真撮ったし////¨ よ、良かった。とりあえずまた嗣永と石村は会えそうだな。 俺にも・・・石村に起きた様な奇跡は起きるんだろうか? どうなるかわからないけど、それを信じてみてもいいよな