なんだか、あのお嬢様の前だとどうも意固地になってしまう。 
いつもそうだという訳では無いのだけど・・・大概は少し言葉遣いが荒くなってしまう。 

執事の身分でお嬢様に口答えをするなど、おこがましいにも程がある。 
もっと普通に、自然に話せたらいいのに。 

やはり完璧な人間など居はしないのだな 

さて・・・夜も更けてきた。これから夕食の時間だ。 

「おいしそ〜〜〜」 
「舞ちゃんまたつまみ食いしてるぅ」 

お嬢様が次々に集まってくるけど、あのお嬢様だけ姿が見えない 

「みや遅いね・・・」 
梨沙子お嬢様が心配そうに時計を見ている。 

1 もうしばらく待てばこちらにいらっしゃるでしょう 
2 ・・・行かなくてはならないか、執事であるなら 
3 梨沙子お嬢様と一緒に行く 



機嫌がよろしい時は普通にお話してくださるのですが、普段はあまり・・・ 
「梨沙子お嬢様、ご一緒によろしいですか?」 
「執事さんいくの?じゃあ私もいくぅ」 

例え僕は拒否されても、梨沙子お嬢様ならばお話してくださるはずです。 

「みや、なんか変だったなぁ。昨日からあまり部屋から出てこないし」 
「お体の調子が悪いのでしょうか」 
「ん〜、そうは見えなかったけど・・・」 


そうですか・・・ならばいつもの気まぐれでしょうか。 
今まで食事の時間に来なかった事など無かったのに。 
「みや〜いる?」 
雅お嬢様のお部屋をノックなさる梨沙子お嬢様。 
「ご飯食べないの?」 
もう一度ノックなさったが返事はありません・・・ 
「執事さんも心配してるよ」 

・・・参りましたね。返答がありません 

1 僕から話し掛けてみよう 
2 食事はなさらないのですかと尋ねてみる 
3 手荒な方法ですが合鍵を使いましょう 



「雅お嬢様・・・」 

僕から話し掛けてみたけれど、やはりお返事はありません。 
当然かもしれませんね、仲がよろしい梨沙子お嬢様でもダメだっ・・・ 

「ごめん。寝てた」 

え、ええっ?いまのは、雅お嬢様の?! 
「いま開けるから・・・」 
良かった。何事もやってみるものだ。鍵が開く音に続いてドアが・・・ 

「おっ、と!」 

雅お嬢様が見えたと思ったらいきなり倒れかかってきたので慌てて支えた。 
「ご・・・めん・・・ちょっとふらついただけ・・・」 
「大丈夫みや?!熱あるんじゃない?」 

ぴとっ、と雅お嬢様におでこをつける梨沙子お嬢様。 
「・・・大丈夫、寝すぎちゃっただけ。昨日一睡もできなかったから」 
「夜更かしですか?無理なさってはいけませんよ」 

雅お嬢様は一瞬だけこちらを向いて、何やらつぶやきました。 
「アンタのせいよ・・・」 


よく聞こえなかったがまた僕へのそういう言葉だろう。 


無事に全員が揃い少し遅れての夕食が始まった。 
あとはいつもの通り食堂は戦場となり、僕は忙しく立ち回る事となった。 

「うわっ辛〜〜〜〜〜?!げほけほ、何これ、わさびの塊じゃん!」 
「当たりぃ〜〜〜♪」 

まさか何かあったのではと思いましたが無事に(?)いたずら好きな雅お嬢様はいたずらを・・・ 
「ぶはっ!お、お茶が甘い・・・誰、はちみつ入れたの!」 
「知らない、私が入れたのは醤油のはずだよ」 
「だから私のが真っ黒いんだ!もう怒るよみや!」 

・・・少ししおらしくなられた方がいいかもしれませんね。 


しばらくしてようやく夕食が終わりました。はぁ・・・やっと本日の山場を乗り越えた。 
「あの、さ」 
「・・・はい?」 
お皿を洗っていると雅お嬢様が近づいてきました。何やら、少し真剣な面持ちです 
「今日の夜、さ・・・ここに来てほしいの」 
そう言って雅お嬢様は小さく折り畳まれた紙を渡してきました。 
「・・・別に、来るかこないかは自由だけど・・・」 

それだけおっしゃり、また皆様のところへと戻っていきます 

1 嫌な予感がするのでおとなしくしていましょう 
2 お嬢様のお願いとあらば行かなくては 
3 この紙にはなにが書かれているんだ 



雅お嬢様に気づかれない様にそっと渡された紙を開く。 

「・・・ここは・・・?」 

それには雅お嬢様の手書きで簡素な地図が描かれていました。 
目印になる物から推測するとここは裏庭のお花畑・・・ 
お屋敷の人は掃除の時間くらいしか立ち寄らないところだ。 

ここにいったい何の御用がおありなのだろう? 

・・・僕の頭の中に良くない考えが浮かんできた。 
どうせまた僕に悪戯をなさるおつもりなのだろう。 
こうしてわざわざ呼び出して期待を煽って・・・ 

だまされてはいけない。今まで何度も痛い目に会ってきたじゃないか 

1 いかない方がいい 
2 ・・・また信じてみるのも悪くないかもしれない 



僕の中の卑屈な部分が膨らんでいるのに気付いた。 
いけない、こういう事は考えれば考えるほど深みにはまってしまう。 

雅お嬢様はそういう御方じゃないか。 
それが良いのか悪いのか今は置いておこう、執事としてお嬢様の命令には従わねばならない。 

とにかく・・・夜が更けるのを待とう 


・・・やがてお嬢様達は皆寝静まり、間もなく日付が変わる頃になった。 
「よし・・・いこう」 
お嬢様にお会いするんだ。ちゃんと正装していこう、と言っても普段と変わらないスーツ姿だけど 

「・・・寒い」 

まだ冬ではないけれどやはり今の季節は寒い。 
み、雅お嬢様はどこだ? 


夜の外は薄気味が悪い・・・ 
ましてここは普段から仕事以外であまり人の出入りがないところだ。 
果たしてこんなところにお呼びして雅お嬢様は何をなさるおつもりだろう? 


「・・・うわっ?!」 

急に目の前がまぶしくなった。これは、懐中電灯か? 
「ちょっと遅くない?寒いのに待たせないで」 
「も・・・もうしわけありません。雅お嬢様」 

僕のいる場所から大分離れた場所に立っている雅お嬢様。 
「早く来なさい。これ以上待たせたら怒るわよ」 

1 今すぐ参りますので機嫌を直してください 
2 直進するのは危ない、と僕の勘。迂回しよう 
3 ・・・な、なんですかその言い方は 



「今すぐ参ります!」 
お聞きしなければならない、なぜわざわざこの時間に人のいない場所にお呼びしたのか。 
「そのまままっすぐ来てね、そうよ」 
「雅お嬢様!いったい僕に何の御用ですか?」 

どれくらい走っただろう。 
不意に、足が深く地面にめりこんだ気がし・・・ 

「うっ、わぁああぁああ?!」 

ああ・・・これはあれか。初めての体験ではない。 
雅お嬢様が得意とするイタズラのひとつ、落とし穴だ。 

あ・・・れ、おかしいぞ、やけに落ちる時間が長く感じ・・・ 
「くはっ!!」 
やっと底に落ちた。う、な、なんだこの深さは?! 
高さだけでも軽く大人一人を越しているぞ、いや一人や二人ではきかない。 
そして広さも相当なものだ。お屋敷の部屋より少し狭いくらいはある。 

「ひっかかったぁ〜」 

遥か高くから嬉しそうに見下ろしている雅お嬢様。 
・・・いったいどうやってこんな巨大な落とし穴を作ったのかは置いておこう。 
・・・こんなの、イタズラにしては度がすぎている。 

1 早く出してください! 
2 なぜこんな事を?!答えなさい! 
3 パンツ見えてますよとからかう 



「早く出してください!」 
「だめ。あんたはいつかお仕置きしたかったの」 
雅お嬢様の声が少し小さく聞こえる。まずい・・・こんなに地面深くに落ちてしまったのか。 
それに・・・お仕置きとは? 
「もうこれ以上好きにはさせないから。あんた、何人とエッチしたか私が知らないと思った?」 
「そ・・・それは・・・」 

お仕置きとは・・・つまり、罪を犯した僕への罰・・・ 

「どういういきさつとか関係ないの、やったらもう悪いことでしょ!」 
「・・・・・・」 
何も反論できません。僕がお嬢様達を汚したのは消し様のない事実なのだから 

「許せない、表じゃそうやって人の良さそうな顔して、裏でそんな事してたんだから」 

雅お嬢様の怒りがひしひしと伝わってきます・・・ 
・・・この穴は、罪人を閉じ込めるための牢獄なんだ。 

「黙ってないでなんとか言いなさいよ!」 

1 返す言葉がありません・・・ 
2 ・・・わかりました。罰を受けます 
3 おや?雅お嬢様の足元が・・・ 



「わかりました。罰を・・・受けます」 
「あんたなんかここから追い出してやる!」 

・・・これでも、雅お嬢様のお気持ちが晴れやかにはならない。 
しかしこれ以外に僕がすべき事はなんなのだろうか。 

僕がしてきた事はお嬢様を不幸にしてしまったかもしれない 
・・・だめだ、悪く考えるのは深みにはまれば抜け出せない。 
「・・・?」 
頭に何か落ちてきた。暗くてよく見えないが、これは・・・土か?なぜ土が 
「きゃぁ、やだ、ちょっと!」 

雅お嬢様、どうかなさったのか?! 
ふと見上げると雅お嬢様の足元が崩れているのが見えた。 
穴のふちにいたせいか体重がかかって崩れたのかもしれ・・・ 

「きゃあぁあぁああっ?!」 

う、うそ・・・お嬢様が落ちてくる!早く受けとめなくては!! 

間もなく僕の腕に落下の衝撃と重みが・・・い、痛い、だが離したら雅お嬢様がケガをしてしまう!! 
離さないぞ、何があっても 


「・・・・・・」 
「・・・ご、ご無事でしたか、雅お嬢様」 
「・・・・・・大丈夫よ」 

そっと僕から下りる雅お嬢様。 
暗くてお顔がよく見えないが、きっとかなり怒っているだろうな 
「・・・何よ、笑いたければ笑えば?!」 
「なぜですか?」 
「自分の掘った落とし穴に落ちた私がおかしいでしょ。ほら、笑いこらえてる!」 
「この暗さで顔が見えるのですか?」 
「そういうとこがキライなのよ!ばか!」 

い、言われてみたら・・・ 
雅お嬢様はご自分の掘った落とし穴に落ちた。そ、それは・・・ 

「ぷ・・・」 
「笑った?いま笑ったでしょ?!また笑ったらうめるわよ!」 
「笑っていません」 

・・・笑っている状況ではない。こんな時間ではもはや助けは期待できない。 
どうしましょう。携帯も置いてきてしまいました 

1 雅お嬢様、携帯お持ちではないですか? 
2 自力で登ってみる 
3 それより・・・笑いを堪えるのが大変だ 



助けが期待できないのなら自力でなんとかします! 
「ちょ、どこにいくつもりよ!!」 
「ここを登ってみます」 
「む、無理よ、できるわけないじゃない」 
「・・・諦めるならまずやってからにしませんか」 
「な・・・何よ、偉そうに!」 

壁はほぼ直角・・・か。何か足場になるものがあればなんとか登れそうだな。 
「・・・・・・」 
土をまさぐっては見たが体重をかけられそうな物は無かった。 
せめて木の根があればなんとかなったのに・・・ 

「どうなの?」 
「登れませんでした。自力では無理ですね」 
「簡単に言わないでよ!」 
「・・・・・・」 

・・・そもそも、穴に僕を落としたのは貴女ですよ。 
なのにそんな言い方は・・・ 

1 お嬢様に口答えなどとんでもない 
2 雅お嬢様だって不安なんだ。ここは落ち着きましょう 
3 あんたがイタズラしたからこうなったんだ!!という意味合いの言葉を丁寧に丁寧にオブラートに包んで言う 



声が震えています。 
きっと雅お嬢様だって不安なんだ。だから・・・ここで言い争いをしたら、ますます雅お嬢様を苦しませてしまう。 
「お嬢様・・・座りましょう。少し落ち着きましょう」 
「命令しないで・・・」 
僕が座ってから少しして雅お嬢様も腰を落とした。 
「・・・落ちちゃいましたね」 
「そうね、見事にね」 
「夜空って意外と明るいですね。星が綺麗なおかげかな」 
「・・・・・・・・・」 

・・・そうだ、落ち着くんだ。 
今すぐにというわけにはいかないけど、朝になれば必ずこの近くを通る人がいるはず。 
誰も知らない場所ではないんだ、そうだ、何も不安になる理由はない。 
それを雅お嬢様にお伝えしたら 

「・・・能天気ねぇ。あんた」 
「前向きなのは大事ですよ」 
「また偉そうに・・・」 

・・・安心していただけたかな?それが一番だ 

1 ・・・雅お嬢様が口を開いた 
2 寒いな・・・雅お嬢様は大丈夫かな 
3 お腹の虫が鳴ったぞ。僕じゃない 



¨グゥ〜〜〜〜¨ 

・・・お腹の音だ。僕じゃない、という事は。 
「なに見てんのよ////い、いいでしょ、鳴っても」 
「お嬢様、夕食は召し上がったはずでは」 
「・・・イタズラばかりしててあまり食べなかった」 
・・・今日に限ってですか。 

何か無いかな?僕のポケットの中に何かあれば・・・ 

「あの、これで良かったらどうぞ」 
「なにこれ?」 
愛理お嬢様から頂いた、チョコで包まれた香ばしいビスケットです。 
「チョコレートはカロリーが高いですからお腹の足しになるはずです」 
「いらない」 
間髪入れずにお答えなさる雅お嬢様。そうくると思いました。 
「そうおっしゃらずにどうぞ。せめて朝まで何も召し上がらないよりは・・・」 
「いいってば。そういう、上っ面だけ優しいのは嫌い」 
・・・上っ面・・・? 
雅お嬢様には僕がそう見えるのだろうか。 
僕の優しさは、ただの偽善なのだろうか・・・? 
「上っ面に決まってる。さっきも言ったけど、裏じゃもう何人もエッチしてるくせに」 

そんな・・・僕は・・・ 

1 貴女のおっしゃる通り、僕はいかがわしい行為をしました。しかし・・・ 
2 ちょっと静かにしよう、下手に話さない方がいい 
3 雅お嬢様がくしゃみをした 



「あ、貴女のおっしゃる通り、僕はもう何人ものお嬢様と、い、いかがわしい行為をしました」 
「恥ずかしくないの?ねえ、そういうことして」 
「・・・し、しかし・・・僕は・・・僕は・・・」 

なんと言えばいいのだろう。 
お嬢様からの命令、と言うのは人として違うと思う。 
たとえそれが事実だとしても 
「なんであんたなんかと・・・梨沙子が・・・」 
・・・梨沙子お嬢様・・・? 
「あの・・・梨沙子お嬢様は何かおっしゃってましたか?」 
「な、何に対してよ」 
「僕と契りを交わした事についてです」 

雅お嬢様の目が丸くなった、気がする。 

「あ、あんたには関係ないでしょ。梨沙子が何を言おうが」 

雅お嬢様・・・僕に何か隠していいらっしゃるのか? 

1 お願いです、教えてください。梨沙子お嬢様がなんとおっしゃっていたか 
2 言いたくないのでしたらお聞きしません 
3 急に雅お嬢様がくしゃみをした。あれ、もう一回・・・ 



「お願いです、教えてください。梨沙子お嬢様が何をおっしゃっていたのか」 
「うるさい!関係ないでしょ!!」 
「・・・何か隠してますね?不都合な事ですか?」 
「・・・・・・むかつくのよ」 
「は・・・?」 

きっ、と僕を見据えていきなり大きな声で畳み掛ける様に 
「梨沙子がさ!あんたとエッチして幸せだったって!してる時も優しかったって!!」 
その勢いに圧倒されてしまい、僕は聞くことしかできませんでした。 
「他の子だってそうよ!えりかちゃんも、愛理も、あと早貴ちゃんも!ま・・・舞ちゃんも、みんな優しかったって!!」 
不謹慎だが・・・良かった、お嬢様が幸せならば。それが何よりも嬉しいです 

「むかつく。ホントむかつく!あんたが裏表のある嫌な奴なら良かったのに」 
「・・・・・・・・・」 
「それなら思い切りひっぱたけたのに・・・なんで、優しいのよ・・・」 

しばらく沈黙のあと、雅お嬢様がくしゃみをした。 
「・・・はっ、くしゅ、くしゅ、くしゅんっ!」 
何回もくしゃみを・・・これは寒さからくるくしゃみか? 

1 これをお使いください、と上着をかける 
2 暖めあいましょう、恥ずかしがっている場合ではありません! 
3 さっきのお菓子を食べれば少しは暖まるはずだ 



迷わず僕は上着を脱いで雅お嬢様に差し出した。 
「使ってください、少しは暖かくなります」 
「いや。あ、あんたに借りはつくりたく・・・くしゅんっ!」 
「そんな事言ってる場合ですか!さあ早く!」 

半ば無理矢理雅お嬢様に僕の上着を着せました。 

「・・・・・・」 
「どう、ですか?まだ寒いですか?」 
「・・・あったかくない。けど、寒く、ない」 
良かった。これで安心できます 

「くしゅんっ!」 
今度は僕がくしゃみをしてしまった。早速うつってしまったな。 

・・・ぽつ、と顔に何かが当たった。ま、まさか?! 
雨か・・・なんとタイミングの悪い。 
「やば、雨だ」 

1 雅お嬢様、後ろで座っていてください。僕が・・・貴女の屋根になります 
2 まいったなどうしよう 



「ご心配には及びません」 
「な、なんの心配よ?」 
「後ろで座っていてください。僕が雅お嬢様に雨がかからない様に立っていますから」 
「・・・・・・あんたさ」 
「なんですか?」 
「・・・ちょっと、あれなの?そう言える自分がかっこいいとか思ってるでしょ」 

こんな時でもまだそういうお言葉で・・・良かった、貴女は貴女で安心です。 
「・・・だんだんひどくなってきたね」 
「雅お嬢様、雨がかかってないですか?」 
「うん。¨かっこいい¨執事さんのおかげで大丈夫」 


・・・僕は・・・正直に言いますと、少々頭がぼやけてきた気がします。 
雨はまだ続くのかな?いつまで・・・もつかな・・・ 

だが、倒れませんよ。 
雅お嬢様が不安になりますから・・・ 

だか・・・ら・・・ 


僕は一晩立ち続けていた。 
幸い雨は途中で弱くなったけど、それでも降り続いていた。 

「・・・あれ?!執事さん何してんの〜〜〜?」 

ああ・・・天の助けが。この声は舞美お嬢様・・・! 
「すみません舞美お嬢様、どなたか助けを呼んでください」 
「は〜〜〜〜い」 

・・・良かった。助かったんだ、嬉しい・・・! 

「早くあがってきて!」 
垂らされたロープ。これにつかまっていけば・・・助かる 

「さあ雅お嬢様、これで上まで登ってください」 
「・・・え?!あ、あんたが先に行きなよ。もう疲れてるでしょ、早く」 
「いいのです。雅お嬢様、先に行ってください。また落ちても受けとめますから」 
「うわ////あんた、そういう事よく平気で、い、言えるよね。絶対落ちないから」 

さすがはB館のお嬢様だ。その運動神経は見事です 

さあ・・・あ、とは、僕が・・・登れ・・・ば・・・・・・ 


情けないが、どうやら意識をなくしてしまった様だ。 
先に雅お嬢様が穴から出られて気が抜けてしまったのか・・・ 

今日は休んでいいとご主人様よりお許しが出たが、そういうわけにはいかない。 

休んでる場合じゃない!今はもう何時だ?! 
み、雅お嬢様はどうなったんだ、無事なのか?! 

1 今すぐ雅お嬢様のもとへ 
2 おや、メール・・・? 
3 なんだ、ドアが開いたぞ 

あ、ドアが・・・おそらく雅お嬢様だろう。 
あの雅お嬢様がわざわざ訪ねてくるとは思えないけど今ならありえなくはない。 

だが、僕のもとにいらっしゃったのは雅お嬢様ではなかった。 

「良かった、平気そうだね」 
「あ・・・愛理お嬢様?!」 

なぜここに愛理お嬢様が・・・ 

「心配したんだよ、穴に落ちたって聞いたから」 
「・・・はい・・・」 
嬉しいはずなのに、なぜか今は・・・ 
「雅ちゃんなら寝てるよ」 
「えっ?!」 
そんな・・・やはり体調を崩してしまったのでは 
「一晩寝てなかったからだって。すやすや寝てるよ」 
なんだ・・・良かった。怪我がないのが一番です。 

「ねえ執事さん、聞きたいんだけど・・・なんで穴の中に雅ちゃんといたの?」 

あ・・・愛理お嬢様・・・笑顔ですが、目が笑っていませんよ 

1 包み隠さずにすべてをお話します 
2 さ、さあ・・・なぜでしょうね・・・ 
3 あ、愛理お嬢様、今日もかわいらしいですね 



包み隠さずに全てをお話します。いまさらもう隠すことなどありません。 

「・・・そっか、だから雅ちゃん、私にエッチの事聞いてたんだね」 
「は、はい////」 
「執事さんは裏表のある人じゃないよ。私信じてるから」 
「ありがとうございます!」 
「ちょっと八方美人なところがあるだけだよね」 

胸に、深く刺さった愛理お嬢様の言葉。 

「・・・雅ちゃん、きっと執事さんに感謝してるよ」 
「そうでしょうか・・・なんだか、自信が無くなってしまいそうです。偽善と言われたのは初めてですから」 
「そんな事言わないで。執事さんは本当に優しいから」 

こんな僕をぎゅ、と抱き締めてくれた愛理お嬢様。 

「・・・ところで、今ので知ったよ。私以外の人とエッチしてるとか」 
は、あ、愛理お嬢様・・・さ、殺気が!! 

「気をつけてね。あなたのおかげで私、大分活動的になったから♪あまり悪ふざけしてると・・・!」 

あぁあ痛い、そんなにぎゅうぎゅう締め付けられては・・・! 


州´・ v ・)<この痛みを覚えておきなさい 

州´・ ∀ ・) 

そ、その笑顔・・・忘れません、二度と!