・・・ここはさっきも通ったかな? 
いや、初めてのはずだ。あの木は見覚えがある。 
・・・本当に?いいえ分かりません、ああもう! 

すっかり迷ってしまいました。 
なんで僕は森に居るんだろう?この間も大変な目にあったというのに・・・ 
いつから居るんだろう、分からない。そもそも僕は何をしに来たのか・・・ 
「圏外か・・・」 
当然といえるかもしれないけど携帯はつながりません。 
ここはC館とB館どちらの森なのだろうか? 

「・・・・・・・〜〜♪」 

なんだ?どこからか音が聞こえてくる・・・ 

1 音がする方に行ってみよう 
2 疲れた。ちょっと休もう 
3 何かの気配が! 



いってみましょう。もしかしたら誰かいるかもしれません。 

「・・・・・・〜〜♪♪」 

近づいているのでしょうか。 
だんだんその音がはっきりと聞こえてきた様な・・・ 
これは・・・音は音でも歌声だったんだ! 
「ラ〜〜ラ〜〜♪ラララ〜〜♪」 

おや?あちらの岩に座っている人がいます。 
よく見ると・・・どうやら女性の方の様です。 
長い黒髪で白いワンピースをお召しになっているその女性 
「・・・!」 
僕に気づいたのかにっこり微笑んで手を振っています 

1 いきなり近づくのは危険だ 
2 行ってみましょう 
3 そ、それより、今の歌、正直申しますとあまり・・・ 



・・・行ってみましょう。危険な感じは見受けられません。 
「こんにちは」 
「こ、こんにちは・・・」 

この方はいったいいつからここにいるのだろう? 
「遅かったね。呼んでからずいぶんかかったよ」 
「・・・え?!あ、貴女が僕を呼んだのですか?」 
「うん。覚えてないの?」 
「は、はい、いつからここにいるのか自分でもわからないのです」 
腕組みをして首をかしげているその女性。 
「そっかぁ・・・せっかく声が聞こえたから呼んだんだけど。覚えてないっていうのはおかしいなぁ」 
「すみません。あいまいな言葉ばかりで」 
「いいの。そのうち思い出すから。それより、聞いてほしいんだ、私の歌」 

どうも状況がよく飲み込めませんが・・・ 
僕はこの方に呼ばれたらしい、何とも不思議な体験だ。 

1 はい。お聞きしましょう 
2 もう少し詳しいお話を・・・ 
3 こういう体験は以前もしたはず、姿は違うけどこの人はめぐ・・・! 



こういうどこかあいまいな中で誰かとお話するのは、以前にもありました。 
ということはこの方はあのお嬢様にちがいありません。 
「今度は何の御用ですか?愛お嬢様」 
「めぐみ?違うわよ、ホントに覚えてないんだ」 
「・・・・?!」 
「私は¨恵里菜¨だよ。さっき言ったじゃない」 

失礼ですがまったく記憶に御座いません・・・ごめんなさい。 
「ああ、きっと森を歩いてるうちに記憶があいまいになっちゃったのかもね。 
 ここは普通の人だとそうなるみたいだね」 
・・・よく分かりませんが、そういうものなんでしょうか。 
「え、と、恵里菜お嬢様、なぜ僕をお呼びに?」 
「それも忘れ、いやいい。えっと、歌を聴いて欲しくて呼んだんだ」 

1 わかりました。お聞かせください 
2 ここはどこなんですか?よく見ると見覚えが無いのですが 
3 本当に愛お嬢様ではないのですか? 



「ここはどこなんですか?」 
よく見ると・・・見覚えのある森ではありません。 
なんだか少しぼやけていたのでよく見えないせいもあったのか、 
いままでそれに気がつきませんでした。しばらく歩いていたのに 

「そっかぁ、思い出した。ここは人間にとってはあいまいなんだった」 
「あの、そろそろ教えてください、ここがどこなのか」 
「人間の言葉で言うと¨夢¨っていう場所だね」 

なんだか納得した様な、少し肩透かしの様な複雑な気持ちになりました。 
だいたいそうではないかと予想もしていましたし・・・ 
「時々、呼びかけるの。ただ歌うだけじゃつまらないから誰かに聞いて欲しくて」 

先ほども恵里菜お嬢様は僕に呼びかけたとおっしゃった。 
記憶は無いけど、夢なら記憶がはっきりしないのも不思議ではない。 

1 歌を・・・聞かせてください 
2 失礼ですがあなたは何者なのですか? 
3 誰かが僕を呼んでいる・・・行かなくちゃ 



「失礼ですが貴女は何者なのですか?」 

「・・・・・・」 

恵里菜お嬢様は口をつぐんでしまいました。僕の二つ目の質問には答えていただけそうにありません。 
ですが気になります。愛お嬢様と同じ様な存在なのか、あるいはまったく別の・・・ 
「お願いです、答えてください。貴女は・・・もしや¨悪魔¨なのですか?」 
「ちがうよ。う〜〜んと、あなたたちの言葉で言うと・・・何ていうんだろう、ごめん、答えたいけどわからない」 

・・・口をつぐんだのは答えたくないのではなかったのか。良かった。 
恵里菜お嬢様の気分を害してしまったかと思いました。 

「あ・・・ごめん、せっかく呼び掛けたのに、あなたはもうここにいられないみたい」 

それはどういう意味なんだ? 

1 さっきからわかりづらい事ばかり・・・はっきりおっしゃって下さい 
2 夢にいられない、つまり目覚めるという事? 
3 ま、待ってください、まだ貴女の事を何も知りません 



「待ってください、まだ貴女の事を何も知りません」 
すると、体がふわりと浮かぶ様な感覚が・・・ 

「時間がきたみたい。まもなくあなたこの¨夢¨から¨現実¨に戻るの。目が覚めるのよ」 
「え、恵里菜お嬢様・・・待ってください!まだ・・・お聞きしたい事が・・・!」 

地面から足が離れようとしている。だめだ、まだ、いっちゃだめなんだ。 
「無理よ。人間は夢を見たらいつか必ず目が覚めるの、誰も逆らえないの」 
「貴女を知りたいんです。どんな些細な事でも!」 

長くて黒い髪、大きな瞳。 
歌っていて白いワンピースを着ていて・・・ 

これだけじゃ何も知った事にはならない。 
だから、僕は 

「・・・無理よ。夢から覚めたら大体の人間は記憶から体験した出来事が消えちゃうから」 

1 ではなぜ僕をお呼びしたのですか 
2 ああ、だめだ、夢が終わる 



記憶が消えるとわかっていて僕をお呼びしたのですか? 
確か・・・歌を聴いてほしくてお呼びしたと先程おっしゃっていた様な・・・ 

だめだ、どんどん体が浮いていく。もはや僕の力では下りられそうにない。 

「・・・ばいばい」 

「恵里菜お嬢様!お嬢様ぁあ〜〜〜!」 


・・・嫌だ。 

呼ばれたのに何もできずに帰るなんて・・・! 

嫌だ・・・嫌だ・・・! 



・・・まだ外は暗い。早く目が覚めたか。 


夢を見ていた。いや、あれは夢なんかじゃない。 
ただの夢なら自分の知らない人が出るのはおかしいはずだ。 

あのお嬢様はご自分を¨恵里菜¨と名乗った。 
その様なお名前は記憶にない。なぜか聞いただけなのに漢字も浮かんでくる。 

また会いたいと願えば会えるだろうか? 
それともあの方は愛お嬢様の様な常識とはちがう場所の存在なのだろうか? 
もしそうなら深く関わるのは危険かもしれない・・・ 

僕はどうするべきなんだ? 

1 また会えると信じよう 
2 ・・・忘れた方がいい。少し眠れば綺麗に記憶が無くなるだろう 
3 どちらにすべきか決められない 



決めた。 

忘れよう、それがいい。 


ただの夢なんだ。 
変わった夢を見た、それだけのこと。 

朝までまだある。 

再び目が覚めた時は・・・もう綺麗に忘れているはずだ。 

信じようにもあいまいすぎる。あの方はご自分が何者なのか言えなかった 

はっきり言って愛お嬢様よりもその正体がはっきりしない。 
それでは・・・どうしようもない・・・ 

信じようにも、はっきりと見えないのでは・・・ 

やがて睡魔は僕を再び夢へと誘い、意識を運んでいった。 


またお会いできるのか? 

・・・・・・