・・・嗣永と・・・ついに、してしまった。 
あの日、と言っても昨日だが嗣永は少し休んだあと自分の家に帰った。 
送ろうとしたが1人で帰れますと言われてそのまま帰したけど・・・ 

今日、嗣永は休んでいる。 
「どうしたんだろ桃ちゃん、電話しても出ないんだよね」 
「さぼったりしないのにね、えりかちゃんとは違って」 
梅田と徳永の何気ない会話が俺の胸をえぐる。 

なんだか教室にいづらいぜ・・・どこかにいこうかな 

1 廊下の窓を開けて風に当たろう 
2 職員室に行くか 
3 思い切って嗣永の家に行こう 



ちょっと廊下に出よう。嫌な汗をかいちまった、窓を開けて風に当たろう・・・ 

「はぁ〜〜〜〜」 

秋の数が気持ちいいぜ。だが気持ちは晴れない・・・ 
嗣永、どんな気持ちなんだろう。学校が大好きなあいつが休むなんて 
俺はあいつをどんな気持ちにさせたんだろうな、ああ・・・ 

「・・・?」 

ふと校庭に目をやると校舎の片隅で二人の生徒を見つけた。 
一人は・・・男か。んでもう一人は・・・ 
「あいつは・・・?」 

あれ、見覚えがあるぞあの女子、いや見覚えどころじゃない!あいつは・・・夏焼じゃないか。 
いったい何をしてるんだあんなところで。一緒にいる男は・・・そういう関係なのか? 

「?!」 

た、叩いた。夏焼が男子生徒を・・・何やってるんだ! 

1 すぐに現場に向かいやめさせなくては 
2 ・・・いや、様子を見よう 
3 立ち入っていいのか?今は教室に戻るか 


すぐに出ていいのかわからず様子を見る事にした。 
こんな言い方はあれだがもし痴話喧嘩なら、生徒の間に先生が立ち入るべきじゃない・・・ 

「どーしてそうなのあんた?!いっつもそうじゃない!」 
怒鳴り声が聞こえてくる。ここは二階だが、ちゃんと聞こえるのはそこそこの大きさだよな。 
「うるさいな・・・わざわざ学校で言うなよ!」 
夏焼ほどじゃないが男の声も大きかった。 
明らかに痴話喧嘩っぽいな、これは立ち入るわけにはいかない。 

「俺は行かないよ。勝手に行きゃいいだろ」 
そう言って男はそこから立ち去ろうとした・・・ 
あら、あの子の顔、よ〜く見たら誰かの面影があるぞ。 
「待ちなさいよ!!行くって言いなさい!」 
「いかねーって言ってんだろ!しつこいんだよ!」 

だんだん声が荒くなっていく。いいのか・・・?もしかしたら、これは・・・やばいかもしれない 

1 喧嘩はいかんぞ、先生がいく! 
2 他人の喧嘩は見ていて楽し・・・くはないが気になるので見続ける 
3 と言うか夏焼は俺のクラスだ、あそこで何してるかしらんが連れ戻す 



「夏焼っ!!」 
思わず叫んた俺に気付き夏焼が見上げている。いま行くぞ、だから変な真似はするな! 
「せ、先生?!」 
次の瞬間、俺は窓から飛び降りていた。なんで・・・?いやわからない、すぐに夏焼のところに行きたかったからだろう。 
ここは二階だ・・・死にはしないだろうが大ケガは免れないぞ。でももう降りちゃったし 

「うわっ?!」 

だが偶然工事業者のトラックが下にいたので積んでいた土砂がクッションになった。 
た、助かった・・・しかしいきなり飛び降りたとは、我ながら何をしてるんだ。 
「夏焼、だめだ。喧嘩はいけないぞ」 

「な・・・何してんの先生」 

俺を唖然とした顔で見ている夏焼、と男。 
「気にするな。それよりお前こそもうすぐ授業なのに何をしているんだ?」 
「・・・か、関係ないでしょ、先生には」 
「・・・・・・」 

痴話喧嘩か、確かに関係ないな。だが見過ごす訳にはいかないんだよ 

1 痴話喧嘩は学校でやるなよ 
2 その男の子、お前に似てない? 
3 殴るなら俺を殴れ、ほら早く 



「君・・・夏焼に似てないか?ちょっと顔を見せてくれ」 
「ちょ、なんだよ」 
・・・うん。似ている。目もと以外が似てないが、この強い眼差しは夏焼に似てる。 
思い出したぞ、以前弟とうまくいってないっていう相談を受けた。って事はこの男の子はつまり 
「君は夏焼の弟か。なるほど」 
「な、なんなんだよあんた。いきなり二階から飛び降りたし、やべーんじゃないか?」 
引いてるな、明らかに俺とかかわりたくなさそうだ。 
「さっきどこかに行く行かないでもめてなかったか」 
「・・・だから関係ないじゃん。どうせこないだみたいにろくに相談しても聞いてくれないでしょ?」 
た、確かにこないだはそうだったけど・・・ 
今はちゃんと聞きたい。きっとそう思ったから二階から飛び降りたにちがいない。 

1 ここでお互いに不満を洗い浚いぶちまけるんだ 
2 まったく関係ないが君はなかなかのイケメンだな 
3 夏焼がどこかに俺を連れていこうとしている 



決して穏やかじゃないな。姉弟がわざわざ学校でこうして言い合いをするのは・・・ 
「余計なお世話かもしれない、二人の問題であっても俺は先生だから聞かなくちゃ」 
「・・・・・・来て、先生」 
すると夏焼が俺を引っ張ってきた、どこかに連れていこうとしてるのか? 
「ま、待てよ、ここじゃ話せないのか?」 
「続きは家でやるから。もう戻っていいよ」 
「やだ。今日帰らないから」 
捨て台詞の様な言葉を吐いて、夏焼の弟は立ち去っていった。 
「・・・来て」 
「おいどこに連れていくつもりだ、ちょっと」 

しばらく歩いて夏焼は立ち止まった。ここは・・・校舎の裏か。 
「先生のせいで話が中断しちゃったじゃん」 
腕を組んで不機嫌そうに俺を見ている夏焼・・・ 

1 邪魔してすまない、今度はちゃんと相談に乗るよ 
2 どこに行くつもりだったんだ、弟とデートか? 
3 放課後時間あるか?今はちゃんと授業を受けるんだ 



「邪魔してすまない。でも・・・この間は相談を聞いてやれなかっただろ?次はちゃんと聞きたいんだ」 
「・・・・・・本当に聞いてくれるの?」 
「ああ、約束だ」 
「わかった。じゃあ・・・言うね、私」 
やっと聞けた、夏焼の相談。先生なのに生徒の相談を真面目に聞かないなんてだめだ。 
「明日は学校休みだから弟と映画見ようと思って。月曜日から何見ようか聞いてたのに真面目に話してくれないの」 
「そうか、映画か」 
「昔は仲良かったんだけど私が高校生になってからあまり話さなくなったの・・・」 

・・・そういう生徒は過去にもいたな。 
俺が見てきたのは男同士は大概仲が悪く、女同士は極端。口もきかないか仲睦まじいか 
そして異性の兄弟は大体は仲が良好だがたまに仲が悪い場合がある。 
夏焼みたいなケースは特にめずらしくない、こういう年頃は色々と難しいんだ。 
高校生になると多少気持ちが安定してくるが中学生はまだ情緒不安定で多感な時期だからな・・・ 

1 何か原因はあるのか? 
2 そういう時期はお互い距離を取った方がいいかもな 
3 昔はどんな感じだったんだ 



「昔はどんな感じだった?」 
「仲良しだったよ。どこに行くのも一緒でまあさに冷やかされたくらいだし」 
血が繋がった姉弟か、うらやましいな。梨沙子とは血が繋がってないもんな・・・ 
「最近はもう話さない。最低限の事と挨拶くらいかな」 
「ちょっと距離を取った方がいいかもな、今くらいの時期は」 
「そうなのかな。他の先生にも聞いたらそう言ってたけど・・・でも・・・」 
夏焼は不満そうにため息を吐いている。 
「何か原因はあるのか?」 
「・・・わかんない。今まで弟に冷たくした事なんてない。でも・・・さっきも叩いちゃった」 

自分の手を見て、つらそうな顔をしていた。 
「難しいな・・・」 
「やっぱりわかんないよね。家族の問題だから他人にはわからないかも」 
「いやそんな事はない、必ず突破する方法はある」 
「いいよ。聞いてくれてありがと、ちょっと気持ちが楽になりました」 

ぺこりとお辞儀をする夏焼。そのまま立ち去ろうとしている 

1 ・・・また放課後に話をしようか 
2 力になれなくてすまない 
3 必ずまた仲良くなれるよ 



・・・何か、夏焼にアドバイスをしたい。このままじゃ帰れない 
「また放課後話をしたい。時間はあるか?」 
「・・・え、でも・・・分かりました、先生が言うなら」 
「ありがとう」 

・・・無事に授業を終えて、待ち合わせの場所へと向かう。 
「待たせたな」 
「いえ、いま来たところですから」 
なんだか変な感じだ。いまからするのは悩みの相談なのに、こうして待ち合わせて違う場所に向かうのは・・・まるで・・・ 

「先生どうしたの?」 
「あ、いや何でもない。話すのはあそこでいいか?」 
たまたま空いていた近くのコーヒーショップで相談に乗る事にした。 
「あ・・・それ」 
「なんだ?」 
俺が頼んだキャラメルマキアートを見ている。これがよかったのか? 
「好きなの?」 
「ああ。それがどうした」 
「・・・いえ、今はやめときます」 

なんだろう。何か言いたそうだが、今は悩みの相談だからやめたのだろうか 


夏焼の話を聞いているうちに・・・ 
「よく走り回って転んでばかりで、いつも絆創膏だらけだったんです」 
弟に対する愛情がひしひしと伝わってきた。 
ああ・・・わかる、それを梨沙子に置き換えるとその気持ちがよく分かるぞ。 
「なんでこうなっちゃったんだろうなぁ・・・ちょっとべたべたしすぎたかな」 
「そうかもしれないぞ」 
「・・・え?」 
「弟はもしかしたら夏焼がくっつきすぎてちょっとそれが重荷になってるのかもしれない」 
「そんなぁ・・・やっぱり弟に嫌な思いさせちゃってるのかな」 
「だからさ、さっきも言ったが一度距離を置いてみたらどうかな。話し掛けられるのは弟にとってつらいのかもしれないぞ」 

う〜〜〜ん、と夏焼はうなっている。その選択はまだ納得がいかないかもしれないけど・・・ 
時には距離を置かなきゃうまくいかない事だってあるんだ。 
そう説得したら、うなずいてくれた。 
「わかった、ちょっと話すの我慢してみる。つらいけど」 
「ずっと我慢するな、たまには話してやらなきゃな」 
「ありがとう先生、その方法試してみるね」 

良かった、これでアドバイスできたぞ 


さっきまでの曇った表情より少し明るい表情になった。 
「私・・・先生に相談して良かった!ありかとね」 
まっすぐに見つめられて言われたからしどろもどろになってしまう。 
「そそ、そうか?良かった。困ったらまたいつでも相談しろよ」 
勝手なイメージだけど夏焼はもう少し不器用だと思っていた。 
あまり自分の感情をうまく伝えられないと思っていたからこのまっすぐなありがとうは不意を突かれたぜ。 

「コーヒーごちそうさまでした。あ・・・さっき言いたかったんだけどそれね、まあさの好きなやつなんだ」 
「そ、そうなのか?」 
「うん。まあさの顔を思い浮べながら飲んでね。じゃあまた」 

・・・ああいう笑顔を見た時、先生を選んで良かったと思える。 
また困ったらいつでも俺は待ってるから、相談してほしい 


執事さん…私のこと忘れてないよね…? http://hellokids.info/cgi-bin/greentea/img/kids3_0349.jpg (;執事)<忘れたくても忘れられません リ|*‘ヮ‘)|<うそつき!寂しい思いばかりさせるくせに