僕が声がして振り返ると、そこには茉麻お嬢様がいらっしゃった。 
突然のことに何もできず、僕はただ立ちすくむだけで何も出来ない。 
そんな僕をみているうちに、茉麻お嬢様が両手を口元にもっていった。 

「きゃ、きゃ、きゃ・・・」 

しまった、大声で叫ばれでもしたら大変なことになる。 
ここでみつかるわけにはいかないっていうのに、僕は逃げることが出来ずにいる。 

「きゃわいい〜。やぁん、可愛い」 
「はい?」 
「ね、ねぇ〜ぼ、僕はどこからきたの?」 

さっきまで叫ばれると思って警戒していた僕はあまりの出来事に驚いてしまった。 
どうしたっていうんだろう、茉麻お嬢様は叫ばれるどころかとても嬉しそうにしている。 
とくに僕をみる目の輝きは、いつも僕に向けられるものよりも輝き具合がすごい。 

「いいのよ、怖がらなくて。お姉さんがちゃんと面倒みてあげるからね」 

茉麻お嬢様は子供の面倒が好きなんだろうか? 
確かに僕が執事にもかかわらず、いろいろとしていただいたことがある。 
しかし、このままついていっていいのか? 

1 僕、友理奈お姉ちゃんに待ってなさいって言われたんだ 
2 や、やめて下さい。お、お許しを・・・そんなに抱きしめないで下さい 
3 こ、怖い・・・このままだと僕の貞操が・・・に、逃げなきゃ 



こちらにおいでとばかりに、茉麻お嬢様は両手を開いています。 
しかもとびっきりの笑顔で。 

「もう、大人しい子なのね。さっきからちっともしゃべってくれないんだから」 
「あ、あ、あのぉ」 
「ん?何かな。あ、怖がりで気分を落ち着けたいんじゃないかしら」 

名案が浮かんだのか、茉麻お嬢様はにっこりと微笑まれる。 

「仕方ない子。そういう子はしっかりと抱きしめて背中を撫でてあげると、落ち着くんですって」 

待ちなさい、そうは言われますが僕はちょっと身震いをしてしまいます。 
こんなにも嬉しそうな笑顔をされているのに、本能は逃げろと言っているようです。 

「・・・け、け、結構です。ぼ、僕はこれで失礼させていただきます」 
「しゃべったかと思ったら、何を言うの。待ちなさい」 

僕が背中を向けて走りだした瞬間、すでに茉麻お嬢様の手は伸びてきていました。 
あっという間に僕を捕まえると、いとも簡単に自分の方に振り向かせてしまいました。 
あぁ、何て目をしていらっしゃるのです。 

「僕、とっても可愛いわね。何だか執事さんにそっくり。可愛い〜」 
「うげぇ〜や、やめて下さい。お、お許しを・・・僕の体が壊れてしまいます」 

抱きしめてくる茉麻お嬢様の力がどんどん強くなっていき、僕はだんだん意識が薄らいでいきます。 
ここで気を失うわけにはいか・・・ない・・・のに・・・ 

1 何とかふんばって意識を保ち、僕は執事ですと告白 
2 お花畑が見えてきました。はっ、どこだ・・・気づくとお風呂場へ 
3 「あ、ミントな執事さんだ」と友理奈お嬢様の声が 



ぼ、僕にはまだお嬢様たちの成長を見届ける大切なお仕事があるのに。 
なのに、僕の意識はだんだんと薄らいでいきます。 
目の前の光景がお屋敷の廊下から、綺麗なお花畑に変わってきました。 
あぁ、これが天国なんでしょうか? 

「あ、あいり・・・おじょう・・・さ、ま」 
「僕?僕ぅ〜」 

はっ、僕は一体どうしていたと言うんだ? 
それにしても酷い夢だったな、僕が子供に戻ってしまうなんて。 
酷すぎて笑えやしない。 
ふぅ〜お仕事に戻らなくてはいけない。 
僕がゆっくりと立ち上がると、ザバァンと水が大量に漏れ出る音が聞こえてきます。 
はて、僕は水を使った仕事でもしていたのでしょうか・・・ 

「あら、ようやく起きたのね。目があんまりにも覚めないから、お風呂にでも入って起きてもらおうかと思ったの」 

どこからか茉麻お嬢様の声が反響して聞こえてきます。 
まるで僕はお風呂場にでもいるようなのですが・・・ 

「おはよう。服も大きいのを着ていて汚れていたし、ちょうどいいかなと思ったの」 
「うわぁぁぁ〜」 

僕がようやく声のする方に気づき、そちらに向いてみるとそこには裸の茉麻お嬢様が・・・ 

「もうびっくりするじゃない。大きな声を出さないで」 

まるでお母さんのような口調で茉麻お嬢様は僕を叱ってきます。 


さらに 

「さぁ、こっちへいらっしゃい。体を洗ってあげるから」 

と、椅子を叩いて、そちらへ来なさいということのようです。 
ど、どうしよう・・・ 

1 そ、そこは自分で洗えますから・・・あ・・・大きくなくなってしまう 
2 ぼ、僕は実は執事なんです。こんなところで言うのも何ですが 
3 ゆ、友理奈お嬢様までこちらにいらっしゃったのですか?あわわわ 



ここまできては逃げようがないので、僕は茉麻お嬢様の隣の椅子に座ることにした。 
いや、もう裸にされてしまった時点で大事なところまでみられているわけですしね。 
それでも大事な部分をみせたままは嫌で、しっかりと手で隠して歩いていきます。 

「背中をみせて。しっかりと洗ってあげますからね」 
「お、お願いします」 
「ふふっ、素直になったみたいね。あなたって不思議な子ね。執事さんとしか思えないの」 
「そ、それは・・・」 

茉麻お嬢様に今、僕がその執事ですと言えたら、どんなに楽だろうか。 
かといって、黙ったまま裸のお付き合いをするのも悪い気がします。 
言いだすタイミングを完全に逃してしまいましたね。 

「いいのよ。無理に言いたくないことは言わなくて。あなたは執事さんじゃないものね」 

ダメだ、僕は言ってあげなくてはならない。 

「あ、あのぉ・・・僕は・・・」 

そこで突然、あのお嬢様の声が響き渡りました。 

「やっほ〜ミントに茉麻」 
「ゆ、友理奈お嬢様。何でここに?」 
「何でも何もあなたはどうして熊井ちゃんを知ってるの?あれ、知りあい?」 

茉麻お嬢様が驚かれるのも無理はありません。 


小さい僕が友理奈お嬢様と知りあいのはずはないですからね。 
しかし、ここはどう切り抜けたものでしょう。 

1 ミントは私の弟なんだよ、と友理奈お嬢様が言いだすのであわせる 
2 いえ、あ、あのぉ・・・それは・・・すみません、僕は執事なんです 
3 き、綺麗だ・・・友理奈お嬢様・・・はっ、見惚れている場合じゃない 



僕はとても邪な考えをもった執事であることは否めません。 
愛理お嬢様、えりかお嬢様、ついには早貴お嬢様とまで契りを結んでしまいました。 
どのお嬢様もとても魅力的で可愛らしく、ときに美しいお嬢様たちです。 
が、しかし、このお嬢様の完璧なまでの美の前では、いえ、こんなことを言うのはよくないですね。 
とはいえ、何てお美しいお身体をしておられるのでしょう。 

「こぉら、女性の裸をそんなにじっとみないの。いけない子ね」と、茉麻お嬢様に頭をこつんと叩かれてしまった。 
「す、すみません。ごめんなさい、友理奈お嬢様」 

僕は慌てて友理奈お嬢様に謝ります。 
いくら綺麗だからといって見惚れてしまうのはよくないです。 

「もぉ〜スケベなんだから。こんなことならタオルでちゃんと前を隠しておくんだった」 

頬を膨れさせ、友理奈お嬢様が反対の椅子にお座りになられた。 

「執事さんがスケベなのは嫌っ。私のタイプだったんだよ。面白くて、かっこよくて、スポーツも万能そうだったのに」 
「すみません。本当に申し訳ありません」 
「いいもん。(クマの)まあさにしっかりと叱ってもらうから」 
「そ、それだけは勘弁を。僕が死んでしまいます」 

友理奈お嬢様は奔放でおられるかわりに、まだまだ大きな体には不釣り合いなくらいに子供っぽい。 
そこがまた魅力的なのですが、少々潔癖なところがあります。 
僕がスケベなのは仕方ありませんが、くまさんに叱られるのは勘弁してほしいです。 

1 二人だけで話を進めないでと、茉麻お嬢様が荒っぽく背中を洗いだす 
2 友理奈お嬢様、すみません・・・こうしている今もあなたの裸に見惚れてしまっています 
3 何を話しているの?と茉麻お嬢様が乗り出してきて、胸が・・・ 



「どうしようかな。執事さん次第でまあさには言わないでおいてあげる」 
「どうか、どうか、それだけはご勘弁を・・・」 

くまさんが普通に接しているだけなら可愛いのですが、怒るとかなり怖そうです。 
友理奈お嬢様にそれだけは勘弁して下さい、とお願いし続けるしかありません。 

「ん?呼んだ?」 
「ひゃあ」 

まあさはまあさですが、あなたではありません。 
反応はされるのでしたら、どうか、どうか、背中にあたる感触をやめていただきたい。 
あなたの豊満な胸が僕の背中にあたるのです。 

「執事さん、顔あかぁ〜い。また、私をみてエッチなこと考えた?」 
「ちょっと、熊井ちゃん。さっきから何の話?執事さんだとか私の名前だとか」 

大きくなってしまった僕の股間にあるもの。 
これだけはどうにも言うことを聞いてくれず、茉麻お嬢様の胸に反応してしまった。 

「ん〜とね、あのね」 

いけない、この状態で茉麻お嬢様に僕の正体を明かすなんて 

1 おやめください、と身を乗り出すも友理奈お嬢様の胸に・・・ 
2 股間の大きくなったものをみつめ、友理奈お嬢様が叫ぶ 
3 焦らしながら話す友理奈お嬢様に、茉麻お嬢様は身体を動かして反応する 



「うふふ、茉麻は知らないだろうけど、実は・・・」 
「お、おやめください。友理奈お嬢様。ぼ、僕が自分で・・・」 

完全に僕で遊ばれている友理奈お嬢様を止めようと、僕が身を乗り出したときです。 
僕は自分の股間のものが大きくなっていたことをすっかり忘れていました。 
当然です、緊急事態とあっては股間になど注意などしていられますか。 

「あのね〜実はぁ〜・・・きゃ、きゃああああ!!!」 

お風呂場全体を突き抜けるように友理奈お嬢様の声が響き渡りました。 
友理奈お嬢様が僕の股間のものをしっかりとみつめ、指をさしてわなわなと震えています。 

「ど、どうしたの、熊井ちゃん」 
「あ、あれ・・・執事さんのお、お、執事さんなんて大嫌い」 

し、しまった、僕の股間のものをしっかりとみられてしまったのか。 
うわぁ〜執事としてはこの上なくみせてはいけないものをみせてしまった。 
やってしまった。 

「ちょっと、あなたは熊井ちゃんに何をしたって言うの?」 
「いえ、ですから。これはその・・・」 
「いいからこっちを向きなさい」 

いけない、友理奈お嬢様に続いて茉麻お嬢様にまでみられるわけにはいかない。 

1 断固として向きません 
2 早く友理奈お嬢様を追いかけねば 
3 ここで突然体も大きくなってしまう 



「ダメです。僕はあなたの方に向くわけにはいきません」 
「いい加減にしなさい」 

な、何て力なんでしょうか。 
僕をいとも簡単にご自分の方に向かせてしまいました。 
抵抗していた時間、たったの10秒でした。 

「ほら、何で熊井ちゃんがあんなに大嫌いってあなたに言ったのか話しなさい」 
「そ、それは・・・」 
「言えないの?こればかりは言えないからって見過ごすわけにはいかないわね」 

じっと僕の眼を離さずにみつめてくる茉麻お嬢様。 
僕は目があわせられず、下を向くばかりで何も答えられません。 
ごめんなさい、僕が今ここで執事と言えたらどんなに楽なことか。 

「言えないのね。じっと下ばかり向いて。前を向きなさい」 

茉麻お嬢様の頭がゆっくりと下がっていき、僕と顔をあわせようとしてくる。 
ダメです、下を向かれては。 

「何、この上を向いたものは・・・きゃ、きゃああああ!!!馬鹿」 
「ぐふっ」 

僕は一瞬のことで一体何が起きたのかさっぱりわかりませんでした。 
ただ、覚えていることは顔を赤らめた茉麻お嬢様が走り去っていく場面だけでした。 
そして、僕は気絶していたところを掃除にきていたメイドさんに助けられたのです。 

「いててて・・・とんでもないパンチだったな」 

僕の頬にしっかりと残ったパンチの痕。 
それは僕が小さくなったことが夢ではないと、自分にも教えてくれているようです。 


「ねぇ、執事さん。その頬のけが大丈夫?」 

僕が小さくなった時のこと、それは茉麻お嬢様には内緒です。 
ご本人も誰がけがをさせたのかわからないのですから、それでいいのです。 

「ご心配には及びません。転んだだけですので」 
「なら、いいのだけど。でも、無理はしないでね」 
「はい」 

茉麻お嬢様はそれでよかったのですが、友理奈お嬢様には怒られてしまいました。 
最初は僕に口さえも聞いてはくれませんでしたからね。 

「執事さん、絶対にエッチなことはこれからは禁止だよ。いい?」 
「はい。以降、気をつけますので」 
「よろしい。まあさからの罰はなしにしてあげます。そのかわり、今度一緒にキノコ狩りにいこうね」 

その可愛らしい笑顔とあのバランスのとれたお身体。 
あれを思い出すだけで僕は・・・もう・・・ 
ただ、もうキノコはこりごりです。 


「はぁはぁ、友理奈お嬢様。お許しを〜うぅ・・・」 

僕のこのキノコだけはシーズンに関係なく元気ですが。 
はぁ、また罪悪感を増してしまった・・・