「じゃあね愛理、また明日!」 
「うん!ばいばーい!」 

いつもと変わらない、学校から帰る代わり映えのしない日常。 
でもちょっと前までは車椅子に乗ってて・・・ 

私にとっては自分の足で歩ける事自体が奇跡で 
「執事さん・・・」 
頭に浮かぶのはあの人の顔。いつも笑っていて、ちょっと物静かなあの人。 
この間はちょっと激しかったからあれ以来口をきくのが恥ずかしい。 

どうしてあんなになっちゃったんだろう? 
あの人を見てたら興奮しちゃって・・・実はあまり部屋に入れるまでの事は覚えていない。 
そのかわり部屋で体験した事は鮮明に思い出せる・・・ 

「・・・・・・」 

もう少しで校門。いつも通り、舞美ちゃんやえりかちゃんが待っている。 
一緒に歩いて帰れる様になったのは嬉しい。それはみんなあの人のおかげ・・・ 

1 みんなと一緒に帰る 
2 電話で執事さんを呼ぶ 
3 今日は寄り道して帰ろう 



「執事さん・・・」 

胸が・・・ 
だ、だって、お話するのしばらくぶりだもん。 
「もしもし、どうされました愛理お嬢様」 
きた!で、でたよぉ・・・ 
「あ、あの、執事さん。今からね・・・迎えに来てほしいの」 
「今すぐ参ります!」 
「う・・・裏口に来て。待ってるから」 
「は、はい」 

切っちゃった。どうしよう、来ちゃうよ。電話しちゃった。 
すぐ来るよ・・・!早く裏口に行かなくちゃ。 

・・・電話したのは、お屋敷じゃない場所で会いたかったから。 
私が知ってる執事さんはお屋敷でしか見たことがない。 
二人で・・・どこかに行きたかったから。 

「お、お嬢様・・・」 
「執事さん・・・っ」 

すぐにやってきた執事さん。黒いスーツ姿も外で見ると新鮮だ 
「いったいどうなさいました?お体の具合が良くないのですか」 
「え、えっと 

1 わ、私をデートに連れ出してください!」 
2 足が痛いの・・・お、お姫様だっこしてください」 
3 一緒に走ってください」 



わ、私をデートに連れ出してください!!」 

自分でもびっくりする様な大きな声がでた。 
「は・・・?!でで、デートですか?!」 
「だ・・・だめ?」 
「とっとんでもない!はい、わかりました!」 

学校を早足で出て街の方へ歩いていく執事さん。 
「ま、まってぇ、早い〜」 
「す、すみません愛理お嬢様」 

・・・変だよね、さっきから。私も執事さんも。 
いきなり学校に呼び出して来てもらったし、執事さんも顔がやけに赤くて汗ばんでるし。 
なんだかぎこちないなぁ。せっかくのデートなのに・・・ 

二人きり。他には誰もいない 
本当の意味で私達がどういう関係なのか知ってるのは近くにいない。 
道行く人が私達の関係を知ったら驚くかもね。 
¨お嬢様¨と¨執事さん¨・・・執事という人がこの日本にいる事に違和感を感じるかもしれない 
学校の友達にきいてみたけど、執事と聞くとだいたいは外国をイメージするみたい。 

「お嬢様どちらへいかれますか?」 
「あっ、そうだね、えっと」 

1 カラオケいこっか 
2 もうちょっと歩こうよ 
3 あそこの公園で休もう 



「もうちょっと歩こうよ、執事さん」 
「はい、愛理お嬢様」 
執事さんと並んで歩く。この黒いスーツは浮くかなと思ったけど意外と溶け込んでいる。 
近くのコンビニ、遊んでる子供たち、立ち話してるお母さんたち、ゆっくり走る配達のバイク、行き交う車・・・ 

執事さんと一緒に見ると何か新しく見えるよ。 
「ねえ・・・」 
「・・・は?!なな、なんでございましょうか」 
ん・・・?執事さん、いま私をじっと見てたのかな。 
「いま見てたでしょう」 
「は、はい。失礼ながら・・・その、愛理お嬢様の制服姿を街の中で拝見するのが新鮮でして」 
「あ・・・ありがと////」 

なんか恥ずかしくなっちゃった。ずっと見られてたんだ//// 

「・・・・・・」 
「・・・・・・・・・」 

それからしばらくは会話しないで風景を見ながら歩き続けた。 
デート、っていうのかな、これ。・・・急に呼び出したししょうがないんだけど、ね。 

1 執事さんがそっと手を握ってきた 
2 私から執事さんの手を握っちゃえ 
3 ちょっとあそこのベンチに座ろうか 



だったらデートらしくしちゃえばいいんだ。 
「きゃっ?!おお、お、お嬢様?!」 
「ふふっ、執事さんつかまえちゃった////」 
きゃっ!だって。うふふ、かわいい声。執事さんってびっくりした時とか、たまに出る何気ない一言とか仕草が可笑しいんだよね。 
それにしても・・・ちょっと遅くなっちゃったけど、やっとこうやって二人で街を歩けたね。 

もう・・・二回もエッチしちゃった。 
最初は執事さんから、そして次は私から。あの時は梨沙子に悪いことしちゃったな。 

「ああ愛理おじょお嬢様ぁ、こここれはいったい」 
「恥ずかしいの?手を握られるのが」 
「いっいえそうではないですよぉ・・・そうではなくてぇ」 
「純潔を奪ってから手を握るのは変だって思ってない?」 
「じゅ、純潔?!いっいけません、その様なお言葉を貴女がお使いになられてはぁ・・・」 

うふふ、エッチに限らず執事さんて何かされると慌てちゃうんだ 

1 いきなり全速力で走っちゃえ! 
2 ほっぺにキス 
3 じゃあ手を離すけどいいの? 



閃いた。もっと驚かせちゃえ 
「お・・・お嬢様?!お待ちくださ・・・うわあああっ!」 
手を握ったまま思い切り全速力で走った。 
思った通り執事さんは私がいきなり変な行動をとったからついていけず派手に転んだ。 
「いたたた・・・愛理お嬢様・・・なにを・・・」 
「あはははは、びっくりした?やっぱり転んだね」 
「それよりお怪我はないですか?お嬢様」 
「あ、うん、平気」 

ちょっと怒られるって思ってた。でも自分より私の心配してくれてる。 


なんだかまた手を握るのが恥ずかしくて、あとはそのまま帰ることにした。 
「もうすぐ秋だね、木が赤くなりだしてるよ」 
「そうですね。お屋敷の木もきっと綺麗に染まるでしょう」 

これが初めての執事さんとのデート・・・ 
いきなり呼び出したり、エッチよりも後になっちゃったけど・・・やっとできた。 

私、幸せだよ。執事さんを好きになれて良かった。 

「わぁ〜もう暗くなっちゃいそう。夕飯までに帰らなきゃ怒られちゃうよ」 
「早く戻りましょう愛理お嬢様!」 

恥ずかしかったけど 
でも、もういちどその手を握った。 

「お嬢様・・・」 
「うん、急ごう」 

お屋敷についても絶対この手は離さないから。 

・・・えへへっ////