「あなたが好き・・・胸が痛い。怖いけど・・・・はぁー・・・イマイチだわ」 
私はペンを放り出して部屋のベッドに倒れこんだ 
「なんで私こんなこと引き受けちゃったんだろう・・・・」 

あれは文化祭が終わって私と茉麻と舞美ちゃんと桃、そしてあの人と打ち上げに行った夜のことだった・・・・ 

「それじゃあお前ら気をつけて帰るんだぞー」 
「せんせぇ〜もぉ一人で怖いから一緒に帰ってぇ〜」 
「こらっ桃は私とランニングして帰るよ!もうすぐ大会あるんでしょ」 
「えぇ〜舞美ちゃーん、私足が痛くてぇ〜あーっ!ひっぱらないでぇ〜〜〜〜っ!」 

「ははは・・・あいつらは相変わらずだな。ところで須藤と夏焼は家どっちの方向だ?良かったら送っていくか?」 
「いえ、私の家は茉麻と同じ方向だから大丈夫です。ね、茉麻?」 
「・・・・・はっ!はいっ!」 
「もうー・・・茉麻ったら何ボーっとしてるの。ほら帰るわよ。それじゃあ先生おやすみなさい。」 
「・・・・おやすみなさい。」 
「おお、おやすみ」 

先生はそう言うと私たちの姿が曲がり角に入って見えなくなるまで見送ってくれた 

「なんか悪いわねー。途中から参加して商品もらったうえに夕食までご馳走になって。って・・・茉麻?話聞いてる?」 
「・・・えっ、あ・・ゴメン」 
茉麻がこんな風にうわの空な時は何か隠し事がある時。長年茉麻と付き合ってるからこうした変化はすぐ分かる 

1 もしかして好きな人でもできたの? 
2 とりあえずどこか話できるところでも寄ってく? 
3 なんか心ここにあらずなのでとりあえず茉麻を家に帰す 



茉麻がこんなに顔を真っ赤にしてるってことは・・・・きっと恋愛の話だ 
とりあえず落ち着いて話聞かなくちゃ。私と茉麻は近くのコーヒーショップに入った 

「ほら、茉麻。キャラメルマキアートのロング。これでも飲んで落ち着きなよ」 
「みやびちゃんありがとう・・・・」 
「別にいいよ。それより単刀直入に聞くけど、茉麻・・・好きな人できたでしょ?」 

茉麻はしばらく黙りこくっていたが、ゆっくりと首を縦に振った 

「やっぱり・・・ね。それで相手はどんな人?同じ学校の人?」 
「えっと・・・同じ学校っての人なんだけど・・・」 
「そう?なんかいまいちスッキリしないけど。まあいいわ。それでいつその人と知り合ったの?」 
「知り合ったって言うか・・・たまたま一緒になってその時に・・・・」 
「一目惚れね・・・・茉麻らしいって言えば茉麻らしいわね」 

茉麻は小さい頃から惚れっぽい性格だ。でも見かけによらず”おくて”だから自分の気持ちを伝えられないことがほとんどだった 

「それでみやびちゃんにお願いがあるんだけど・・・・」 

1 仕方がないな。茉麻のために一肌脱ぐ 
2 え?相手のことを詳しく知りたいから調べて? 
3 茉麻、たまには勇気を出して自分で行動しなさいよ 



「あのね・・・私その人のことよく知らないから・・・もし良ければみやびちゃんに・・・」 
「その人のことを調べてほしいわけね・・・・・しょうがないな、茉麻の頼みだもん」 

私がみやびちゃんの頼みを断れないのには理由があった 
幼稚園の頃、私が野良犬に襲われそうになった時茉麻が身を挺して守ってくれた 
その時に腕に傷を負って真っ赤な血が溢れ出したのを今でも鮮明に覚えてる 
私は茉麻の真っ赤に染まった腕を押さえながら「ごめんね。ごめんね」と泣きじゃくっていた・・・・ 
幸いにもその時の傷はほとんど目立たなくなって、茉麻も気にはしてなかったけど私の中ではあの時の贖罪は消えることは無かった・・・ 

「それじゃあその相手を教えてよ。いくら私でも誰か分からないと調べようがないじゃない」 
茉麻はそっと耳打ちをしてその人の名前を告げた 

「えぇぇぇぇーっ!マジなのっ!」 
静かな店の中にも関わらず私は思わず大声を上げてしまった。店内の客の視線が私に集中した 
私は体の火照りを冷ますために注文したアイスコーヒーを一口飲んで気分を落ち着けた 

「ちょっと茉麻・・・・マジなの?相手は先生だよ?どういうことか分かってる?」 
「うん・・・・それがどんなことか分かるよ。でも今度は違うの・・・今でも心臓が張り裂けそうなの・・・」 

私は話を聞いてしまったことを少し後悔した。でも他ならぬ茉麻の頼み、茉麻の望みをかなえてあげたい・・・ 

「言っておくけど、茉麻の望む展開にならないかもしれないんだよ。それでも気持ちを打ち明ける?」 
「うん・・・・」 
「分かった。私協力するよ」 

さてと・・・どうしようかな・・・・ 

1 ここはベタに本人からさりげなく好みのタイプとか聞いてみる 
2 先生のクラスの人から聞いてみる 
3 ストーカーしちゃう?w 



ここはさりげなく本人から聞いた方がいいわね 
翌日私が先生を探していると・・・・ 

「鬼さんこちら、手の鳴るほうへ!」  
「先生おそーい」  
「早くしないと逃げちゃうよ〜〜」  
「待ておまえら!!はあ、はあっ」  

一瞬私の頭の中が真っ白になった・・・・出来ればこの瞬間の記憶を消してしまいたかった 
私は呆然として廊下をふらふらと歩いていた 
「何よ、あの先生頭おかしいんじゃない・・・・」 

「・・・・そんなことないデスよ」 
どこからか声がしたトイレの方? 
「えっ?誰?どこにいるの?」 
「驚かせてごめんなさい。なんか先生のこと言ってたみたいだから・・・・」 

この人は・・・・・高等部の清水先輩だっけ? 
「清水先輩、先輩は先生のこと知ってるんですか?」 
「もちろんデス。先生はこんな私にも優しくしてくれます」 

それから清水先輩は先生についてのエピソード(おもらしのことも)を話してくれた 
「先生は見かけによらず優しいデス。先生を好きな生徒はたくさんいると思いますよ。もしかしてあなたも?」 
「ち、違います!私は・・・・ありがとうございましたっ!」 
私は清水先輩に一礼してその場を立ち去った 

「ふぅ〜ん・・・先生って結構優しいんだね・・・・茉麻が好きになるのも納得だわ」 
なぜか私の足取りは軽くなっていた 





私は清水先輩の話を(おもらしの件は隠して)茉麻に話した 
「良かった・・・私の想像通りで・・・優しい人で」 

茉麻は満面の笑みで私に微笑んだ 

「それじゃあさっそく手紙を書く?それとも直接告っちゃう?」 

茉麻は首を横にぶんぶんと振った 

「分かった!私が手紙を代筆するから。それで呼び出してあとは茉麻が気持ちを打ち明ける。それでいい?」 
「ありがとう・・・みやびちゃん・・・・」 

〜1週間後〜 

「先生さようなら〜」 
「おう、気をつけて帰るんだぞ」 

文化祭での名誉の負傷と屈辱のメイド祭も落ち着き、俺はいつものように日々の仕事を淡々とこなしていた 

「さて、俺もそろそろ帰るか」 

俺は職員玄関の自分の下駄箱を開けた。中にはピンクの便箋にリボンの付いた手紙が入っていた 

「突然すみません。お話がしたいので噴水広場まで来てください」 

1 とりあえず噴水広場まで行ってみる 
2 また梅田たちのいたずらか?無視 
3 あれ?生徒がこっちに向かってくる・・・・ 



一瞬梅田のいたずらかと思ったが、よく見るとあまり見慣れない筆跡だった 
そして手紙の中の「あなたが好き・・・胸が痛い」という言葉を見て、答えを出してあげなければいけないと思った 
俺はとりあえず噴水広場へと向かった 

夕暮れの噴水広場は学生や社会人などのカップルで賑わっていた。その中で俺一人だけ浮いていた 
「いったい誰なんだろうな・・・・」 
俺は悶々とした気持ちの中、その相手を待っていた 

いつしか夕陽も完全に沈み、噴水広場が闇に包まれて噴水のライトアップが始まっていた 
「もうかれこれ2時間近くか・・・・もう来ないのか・・・・仕方が無いな」 

ベンチから立ち上がって帰ろうとした時、制服姿の女生徒がこっちに向かって走ってきた 

「君は・・・須藤?この前文化祭で一緒になった。まさか・・・・この手紙」 

長い沈黙が俺たちを包み、須藤の息遣いだけが聞こえてきた 

「せ、先生・・・突然ごめん・・・な、さい・・・初めて会った時から先生のことが・・・す、好きになって・・・・心が裂けるくらい痛くて・・・ 
」 

最後は涙混じりになりほとんど聞き取れなかった。でも須藤の真っ直ぐで潤んだ瞳を見れば何を言いたいのか理解できた 
「須藤・・・・」 

愚直な須藤の告白がまるで鋭い刃物のように俺の心を突き刺していた 
こんな真剣な告白を中途半端な気持ちで返すわけにはいかない 
そしてまた長い沈黙が二人を包んだ 

1 須藤の気持ちは嬉しい。でも、須藤のことをあまり知らないのに簡単に答えを出すわけにはいかない 
2 実は他に思ってる人がいるんだ 
3 何も言わずに須藤を抱きしめる 



正直驚いたけど、こんなに真剣に想ってくれることは嬉しかった 
でも何もまだ知らない子に対して結論を出すのはあまりにも早すぎる 
この答えはその場しのぎの逃げかもしれないが・・・・ 

「須藤、正直言ってびっくりした。須藤の真剣な気持ちすごく嬉しいよ」 
「先生・・・」 
「でも須藤のことをよく知らないのに、今すぐに答えを出すのは失礼だと思うんだ。須藤のことをもっと知りたい。それからじゃダメかな?」 

半分正直な気持ち、半分嘘だった 
一瞬嗣永や梨沙子、有原の顔が頭を過ぎった。もし一時の感情に流されて須藤を受け入れたら歯止めが利かなくなる 
俺は自分の曖昧な気持ちを立派な言葉で誤魔化してるのかもしれない 

「・・・・そうですよね。私ったらなに先走ってるんだろう・・・・ごめんなさい。こんなこといきなり言われたら迷惑ですよね」 
「須藤・・・ゴメン」 
「せん・・・せい・・・あやまらないで・・・くださいよぉ・・・ぐすっ・・・本当に先生は優しいんですね。みやびちゃんの言うとおりだ。良かった・・・」 

俺はこれ以上須藤に何も言えなかった 

「あっ、もうこんな時間だ。もう門限ですから帰りますね。それじゃあ先生ありがとうございました」 
「須藤、送っていこうか?」 
「大丈夫ですよ。私こう見えても強いんですから。それじゃあおやすみなさい!」 

私は先生に頭を深く下げると噴水広場から走っていった 
ずっとずっと、先生から私が見えなくなるまでずっとずっと・・・・私の涙が溢れるまでずっとずっと・・・・ 
どれくらい走ったんだろう・・・・私はその場にしゃがみこんで思い切り声を上げて泣きじゃくった 


泣きじゃくっている私のそばに・・・・みやびちゃんだ 

「ゴメンね。力になれなくて。でも茉麻すごい頑張ったね」 
「みや・・びちゃぁーん・・・慰めないでよぉ・・・優しくされると余計泣きたくなっちゃうよぉ・・ぐしゅっ・・・」 

みやびちゃんはそんな私をそっと抱き寄せて優しく頭をなでてくれた。まるでお母さんのように 

「みやびちゃん、私自分の思いを伝えられて良かったって思ってるの」 
「茉麻・・・・」 
「なんかいつも自信が無くて引っ込み思案だったけど、今度のことで自信がついたみたいなの」 
「良かった。茉麻がそう言ってくれて。私も頑張った甲斐があったよ」 
「あとね、私先生にもう一度告白しようって思うんだ。今は答えが出せないって言ってたし」 
「あら〜もうさっそくリベンジするわけ〜?茉麻ったらずいぶんポジティブになったわね〜」 
「うんっ!いつまでもみやびちゃんに頼ってばかりじゃいられないもん」 
「もうっ、茉麻ったら調子いいんだから〜。よし分かった!これから茉麻のひとり立ちをお祝いしてご馳走しちゃう。茉麻何でも頼んでいいよ」 
「え〜っとね〜・・・・いつものコーヒーショップのキャラメルマキアートとベーグルエッグベーコンサンド!」 
「茉麻ぁ〜もうちょっと贅沢してもいいのに・・・本当に好きなんだね」 
「ほらみやびちゃん早く行こうよぉ〜、お腹すいちゃった〜」 
「あーっ!茉麻待ちなさいよぉ〜!」 

私の本気の告白はあえなく散った。でも、まだチャンスはあるんだよね 
あの人が私に振り向いてくれるまで・・・・私は頑張ろうと思う 
(おわり) 


リl|*´∀`l|<先生モテモテじゃないッスか (;教師)<・・・ リl|*´∀`l|<この梅田えりかも彼女に立候補しちゃおう☆カナ (;教師)<バカいうな リl|*´∀`l|<せふれでもよろしくってよ、うふん