C館及びB館のお嬢様はお外で遊ばれるのがお好きです。 
しかし中にはお外で遊ばれるよりお屋敷の中で遊ばれるのが好きなお嬢様もいらっしゃいます。 

「あ、執事さん。こんばんは」 
「今晩は栞菜お嬢様」 

¨書庫¨と呼ばれるさまざまな種類の本が保管されているこのお部屋。 
栞菜お嬢様はよくこの書庫にて読書をなさっています。 
「ふにゃ〜〜〜お」 
ああやって膝に猫ちゃんを座らせて窓際に座り読書する姿、画になりますね・・・ 
「どうぞ」 
「ありがと」 

お持ちした珈琲を置いた。 
「ねえ執事さん。執事さんは本は好き?」 
栞菜お嬢様が本から目を離し僕に尋ねてきた。 

1 あまり読みません 
2 はい、好きですよ 
3 栞菜お嬢様はどんな本がお好きですか? 



「はい、好きですよ。たまに眠れない時に読んだりするくらいですが」 
「私はいつも読んでるよ。一日に一冊くらいかな」 
「お嬢様はどんな本がお好きですか?」 
「・・・笑わない?」 
ちょっと上目遣い気味に聞いてくる栞菜お嬢様。 
「笑ったりしませんよ」 
「・・・・・・恋愛もの・・・あっほら笑った!もぉ〜」 
「笑っていませんよ。素敵なご趣味じゃないですか」 

きゃあきゃあ言いながら足をばたばたさせるお嬢様。 
「猫ちゃんが起きてしまいますよ」 
「う〜〜〜////」 

恥ずかしそうに珈琲をすするお嬢様。 
「し、執事さんはどんな本が好きなの?聞かせて」 

1 僕も恋愛小説が好きです 
2 家族の話が好きです 
3 栞菜お嬢様はどうして恋愛小説がお好きなんですか? 



「僕は家族の話が好きです」 
「そ、そうなんだ。私とは違うんだね。家族っていってもいろいろあるけどどんなのがいいの?」 
「・・・笑いませんよね」 
「笑わない。うん、絶対」 
「母親との話が好きです、ママです・・・」 
「ま、ママ。し・・・執事さんってお母さん好きなの?へぇ・・・く、くくっ」 
「笑いましたね。笑わないっておっしゃったのに」 
「笑わせようとしてママって言ったでしょ!あははは、ごめん、執事さんの口からママって言葉が出たから」 

笑わせるつもりはなかったのですが・・・ 
「ふぅん、執事さんはマザコンさんなんだね」 
「そ、そんな言い方なさらなくてもいいじゃないですか」 
「執事さんはママが好き〜」 

もう栞菜お嬢様、からかわないでください! 

1 か、栞菜お嬢様はお母さんが好きじゃないんですか 
2 なぜ恋愛小説がお好きなんですか? 
3 失礼します、おじゃまいたしました 



「か、栞菜お嬢様はお母さんはお好きじゃないんですか」 
「・・・ごめん、わかんないんだ。私・・・親がいないから」 
「え・・・」 
寂しそうにうつむく栞菜お嬢様 
「だからこのお屋敷に来てから楽しいんだ。寂しくないもん」 

そう言えば・・・ 
栞菜お嬢様に限らず、僕はお嬢様の御家族や生い立ちは殆ど知らない。 
僕自身の事についても殆どお話した事はなかった。 

「執事さんはお母さんが好きなんだ。いいなぁ家族の記憶があるって。ねぇ、聞いてもいい?執事さんの事」 
「はい。どんな事をお聞きになりたいのでしょう」 
「えっとねぇ・・・じゃあ 

1 そのお母さんの事が聞きたいな」 
2 兄弟とかいるの?」 
3 初恋っていつだった?」 



初めて誰か好きになったのっていつだった?」 
「初めて・・・ですか。そうですねぇ、あれは確か・・・」 
「いつ?聞きたいな」 
栞菜お嬢様の目がきらきらと輝きだした。 
「本当に初めてだと・・・ええと、幼稚園の時ですね。年長組の娘に恋をしました」 
「初恋が年上の人か〜。へぇ、なんか素敵だね。なんて名前だった?」 

その言葉で鮮明に思い出した。初めて好きになった人の名前を 
「・・・ごめんなさい、そこまでは覚えていません」 
ああ・・・こうして嘘がうまくなっていくんだな。 
前の僕ならたまらず本当に名前を言ってしまうはずなのに。 
「え〜〜。執事さん冷たいね、初めて好きになった人の名前は忘れないはずなのに」 

言えませんでした。初恋の人の名前は。 
「栞菜お嬢様の初恋はいつですか?」 
「えへへ・・・聞きたい?」 
「はい、是非」 

栞菜お嬢様はふふっと笑って僕を指差した。 
って・・・えぇ?! 



「私、ここに来るまでずっと寂しかったんだ。誰かを好きになった事は無かった」 
栞菜お嬢様は曇りのない眼差しを向けてくる。 
「執事さんは優しいから・・・気になっちゃうの」 
「栞菜お嬢様・・・」 
膝に抱いた黒猫を抱き抱えて立ち上がった。 

どうして僕は栞菜お嬢様が抱えた寂しさを理解できなかったんだろう。 
「こんな事誰かに話したの初めてだよ。私と執事さんだけの秘密だからね」 
「は、はい」 

聞いてみたら、家族がいない事は一部のお嬢様しかご存知ないらしいです。 
自分から話した事はないと今おっしゃったし、他のお嬢様もお聞きしないので話さなかったとか。 

「でも私も知っちゃった、執事さんの初恋の相手」 
「そ・・・そうですね」 
「あ、もうこんな時間。じゃあまた明日ね、おやすみなさい」 

黒猫を抱いたままお部屋に戻る栞菜お嬢様。 

・・・月の光に照らされたあの笑顔は、なぜか寂しそうに見えました 



从゜ー゜o从<早く先生と…ゴニョゴニョゴニョ… 从゜∀゜o从<イヒヒヒヒヒ… ノノ|;∂_∂'ル<…