い、痛い・・・ 
良かった。本当に良かった、文化祭の翌々日が休みで。 
普通なら翌日が休みかと思ったが後片付けの翌日が休みなのはこういうわけか。先生たちが筋肉痛になるから・・・ 
俺の筋肉痛はあいつらのせいだ、あいつらが走らせたからだ。 
うう、嗣永、梅田、徳永、覚えてやがれ。このお礼は必ずさせてもらう・・・ 

しかし三人ともあのメイド服はなかなか似合ってたなぁ。 
やけに着慣れてなかったか?まさかあいつら学校に内緒で、秋葉のメイド喫茶でバイトしてるんじゃ・・・ 
んなわけないだろ。ああ、痛い。湿布だらけでまるでミイラみたいだぜ 

¨先生・・・¨ 

ん・・・?なんだ、客か? 

¨大丈夫?つらそうだね¨ 

声がするが姿は無いぞ。空耳・・・にしては大きい 

1 二度寝しよう。疲れてるにちがいない 
2 一応返事はしとこうか 
3 よ〜〜〜く目を凝らして前方を見つめる 



前の方から聞こえたよな? 
目をよ〜〜く凝らして見てみようか・・・ 

¨先生私だよ、見えるでしょ?ねえ¨ 
「うっ、わぁあっ?!」 
うっすらと人間が見えたので思わずのけぞってしまった。 
¨そんなにびっくりしなくても・・・¨ 

お、お、驚くわ。だだだって、朝起きたら自分の部屋に 
ゆ、幽霊がいるんだぞ?!驚かない人間がいるかよ! 

「い、石村・・・だよな」 
¨あれ?私名前言ったっけ¨ 
「あの後調べたんだよ。大変だったな、事故に遭って」 
¨・・・うん。痛かった¨ 
「あっごめん。思い出させちゃったか?」 

ベッドの上にしゃがんで俺を見ている石村。 
・・・しゃ、しゃがんでるという事は・・・ 

見えてる。 

へぇ、幽霊もちゃんとパンツはいてるんだなぁ 

¨先生どこ見てるの?¨ 

やば!気付かれた?! 

1 あわてて石村の目を見る 
2 うん、白いね 
3 じゃあ俺もパンツ見せる、これでおあいこ 



「うん、白いね」 
¨・・・・・・ばか////¨ 
手でパンツを隠す石村。 
「悪いな・・・つい。これ男の子の性だよ」 
¨ばかっ、先生のばか////¨ 

パンツが見えないように女の子座りしてしまった石村。 
「朝から刺激的だぜ。あまり先生を困らせちゃだめだよ」 
¨そんなつもりじゃないもんっ!¨ 

あーあ怒らせちゃった。 
「・・・ところでさ、石村はなんでここにいるんだ?あの路地裏から動けるのか」 
¨うん。ずっとあそこにいるわけじゃないし、別にあそこから動けないわけでもないから¨ 
「そっかぁ。初めて知ったぜ」 

そうだな。考えてみたらひとつの場所から動けないっていうのも変な話だな。 
¨先生にお願いがあって来たんだ¨ 

・・・俺に?何の願いだろう 

1 どこか行きたい場所でもあるのか? 
2 誰か会いたい人がいるとか 
3 は、初体験か・・・?悪いがそれはできないよ 



どこか連れてってほしい場所があるのかと思ったが、いま言ってた様に自分で行けるはずだ。 

¨・・・先生、私と初めて会った日の昼間に女の子といたでしょ?¨ 
えーと・・・確かあの日は嗣永と一緒だったな。 
¨桃子ちゃんといたよね¨ 
「知ってるのか?」 
¨うん。私の・・・ともだちだから¨ 

そ、そうだったのか。 
嗣永から石村の話は聞いたこと無かったから 
・・・したくは無いよな、友達を交通事故で亡くしたっていう話は。 
¨何度も桃子ちゃんに話し掛けたんだけど気付いてもらえなくて・・・¨ 

話すうちに石村はうつむいてしまった。 
「わかった。俺で良ければ力になるよ」 
¨ありがと先生¨ 

1 電話で嗣永を呼び出す 
2 直接嗣永の家に行こう 
3 もうちょっと話がしたい 



いつ石村が交通事故に遭ったのかは書いてなかったな。 
当時の新聞も探したが見つからなかった。 

「もうちょっと話を聞いてもいいか?」 
¨いいよ¨ 
「いったいいつ交通事故に遭ったんだ?」 
¨・・・もう三年前かな。桃子ちゃんの家に急いでたら、あの路地裏にさしかかった所で・・・事故に・・・ 
桃子ちゃんがそれを知ったのは次の日になってからだったみたい。私の携帯も一緒に壊れちゃって、家に電話してもわからないって・・・¨ 

途切れ途切れに事故のことを話す石村。 
聞いている俺の頭のなかにもその様子が浮かんできた。知らないはずなのにどうして・・・? 
「嗣永は路地裏が事故の場所だって知ってるのか?」 
¨・・・たぶん。だから来てくれないのかもしれない¨ 

・・・あの日、無理矢理通ったのは俺だ。 
嗣永は石村が事故に遭った事は一切言わなかった、いや言えなかったんだろう。 
なんて無神経なんだよ俺は 

1 いこう!今すぐに! 
2 泣いてる石村をなぐさめてからにしよう 
3 抱き締めてやる、おいで 



「行こう!今すぐに」 
¨先生、うん。わかった¨ 

石村が見えたのが俺で、しかも友達は俺の教え子。きっとただの偶然じゃない。 
俺は寝起きのままアパートを飛び出し嗣永の家へと急いだ。 
「もしもし嗣永?お前今から俺と一緒に出かけられるか?」 

・・・よし、そうか。わかった 

「今から迎えに行く。すぐ行くから」 
筋肉痛なのも忘れてひたすら走った。なに、そんなに距離はないはずだ・・・! 

「せんせぇ?!ど、どしたのこんな朝早くから。それにそんなカッコで」 
寝起きのまま来たからな。Tシャツにジャージだ。だけど今はどうだっていい。 

¨も、桃子ちゃん・・・¨ 

石村は嗣永を見て声が震えている。 
「・・・せんせぇ、何か用?」 

しかし嗣永に石村は見えていない。 
仕方ないかもしれないけど、運命は残酷だな。 

1 嗣永に石村の顔を触らせてみる 
2 よ〜〜〜く目を凝らしてみろ。見えるかもしれない 
3 しばらく石村に任せてみる 



「実は・・・お前に会いたいっていう子がいるんだ」 
「え・・・?で、でもせんせぇしかいませんよぉ」 
「うん。嗣永・・・ちょっとだけ時間をくれ」 
「??」 

首をかしげている嗣永の顔を撫でる石村。 
しかしその小さな手は擦り抜けて虚しく空をつかむだけだった。 
・・・嗣永には見えないのが悔しい、そして悲しい。 

死んでしまったらもう生きている人とは触れ合えないのか。 
¨桃子ちゃん・・・遭いたかったよ。ずっと、ずっと・・・¨ 
「・・・・・・」 

嗣永が見つめる先に石村、そしてその先には俺。 
「せんせぇ・・・もういいですかぁ」 
「すまない、もう少しだけそこにいてやってほしい」 
「・・・?」 

石村。 
ちょっとだけ、君の気持ちは軽くなったかな・・・? 

1 嗣永に交通事故の事を尋ねてみる 
2 石村、そろそろ帰ろう 
3 突然嗣永が目を丸くしてしりもちをついた 



¨桃子ちゃん、よくこうやってしてたよね¨ 
自分のほっぺを嗣永にそっとくっつける石村・・・ 

「ひゃあぁあっ?!」 
「つ、嗣永?」 
¨・・・?!¨ 

嗣永が急に目を丸くしてその場にしりもちをついてしまった。 
「な、何?!いま急にほっぺがむにゅってなりましたぁ!」 
「・・・え?」 
石村はもう一度嗣永のほっぺに触れているが、今度は何も感じていないみたいだった。 
「なんだったんですかぁ今のは・・・でも、びっくりしたけどなんか懐かしかったみたいな」 
¨桃子ちゃんのほっぺ、やっぱりふにふにしてるぅ¨ 

ようやく石村に笑顔が戻った。その笑窪が可愛いよ。 
・・・それから石村は何度か触れていたが、もう嗣永には触れられなかった。 

「なんだか今日のせんせぇ、ちょっと雰囲気違う」 
「そうか?」 
「ん〜〜、学校で誰かが一緒に遊んでるのを見てる時みたいな顔してるね」 
よく見てるな嗣永は。石村が嗣永は気づかいしてくれて優しいって言ってたよ。 

「せんせぇ・・・昨日はごめんなさい」 
「いいよ。嗣永は許す。梅田と徳永はだめだな」 
「えぇ〜!二人のぶんも謝りますから許してくださぁい」 
「・・・・・・」 
¨先生、何をされたかわからないけど許してあげて。桃子ちゃんが謝ってるでしょ¨ 

「わかったよ。許す」 
「ホントですかぁ?!ありがとうございまぁあす!」 
「・・・石村に感謝しろよ」 
「せんせぇ、何か言いましたか?」 
「いや・・・」 

最後はつぶやいただけだから聞こえなかったみたいだな。 
嗣永・・・その友達への優しさ、いつまでも忘れるなよ。 

優しさを忘れないでくれ。 
例え大人になって色々なものを見て、その気持ちが揺らいでしまいそうでも・・・ 
「いまからせんせぇのうちにいきますよぉ」 
「だめだな」