「あー桃子また私のお皿から取ったでしょ!」 
「え?あ、ごめん。これ舞美ちゃんのだったんだ。たくさんあるからわからなかった」 
「うわっ、辛ー!!誰?なんか辛いの入れたでしょ!」 
「引っ掛かったね梨沙子。気付くと思ったけど」 

B館のお嬢様がC館に引っ越されてから賑やかになりました。前から賑やかでしたけどね。 
特にお食事中の騒がしさといったら、まるで嵐の様です。 

この騒ぎの原因はB館の桃子お嬢様や雅お嬢様がほとんどですが・・・ 

しかし中にはあまり騒がずにお食事をなさるお嬢様もいらっしゃいます 

「おいし〜い♪」 

ゆっくりと噛み締める様に料理を味わう早貴お嬢様。 
同じ場所に暮らしていらっしゃるのになぜこうも行動が違うのでしょうか? 

「取れない・・・」 

奥にある料理のお皿を取ろうとなさっている様子。 
しかしちょっと早貴お嬢様の場所からは届かないみたいです 

1 様子を伺う 
2 すぐに取って差し上げる 
3 僕にどなたか話し掛けてきました 



僕は立ち上がり、早貴お嬢様にそのお皿を手渡した。 
「どうぞ」 
「あ・・・」 

早貴お嬢様は上目遣いで僕を見つめて 
「あ、ありがと」 

どこかぎこちないそのお返事。やけによそよそしいな・・・ 
「他に何か召し上がりたいものはありませんか?」 
「う、ううん。これだけでいいの。ありがと」 

早貴お嬢様との間に隔たりを感じる。僕は・・・ 
「執事さん取って〜」 
「あっ、はい!」 
えりかお嬢様からお呼びがかかりました。いったい何をご希望なのでしょう 
「これ、取って♪」 
「ちょ・・・お食事中ですよ」 
「早く〜♪」 

上半身だけ下着姿になり、ブラジャーの肩紐を親指で上げて挑発してきます 

1 ご命令とあらば仕方ありません 
2 軽く受け流す 
3 早貴お嬢様のもとへ 



あの御方は僕が戸惑うを見て愉しむ方だ。 
「執事さぁ〜ん待ちきれないの早くしてぇ〜」 

適当に愛想笑いを作りながら早貴お嬢様のもとへ。 
「なんかつれないなー、普段ならもっといいリアクションするのに」 
「どんなふうに?」 
「ここがこうなってね、あとかうなってぇ」 
なにかとんでもない事を他のお嬢様に伝えていますが今はそれが大事ではありません。 
「・・・どうしたの?何かまだ私に用事?」 
「あ、いえ・・・その」 

気になってしまいついこうやって早貴お嬢様のもとへ来てしまったわけです。 
さて・・・なんと切り出したらよいものでしょうか 

1 特に用事はないので戻る 
2 無理矢理でもいいからお話をしてみましょう 
3 えりかお嬢様しつこいですよ! 



「長かった夏休みもおしまいですね」 
「うん」 
「楽しかったですか?」 
「うん。今年も色んなとこに行ったから」 

かわいらしい笑顔だ。それにこの独特な笑い声・・・早貴お嬢様らしく、可愛くて特徴的です。 
「執事さんは大変だったでしょ。お休みがないから」 
「いいえ、そんな事はございませんよ」 
「ホント〜?疲れたって顔に書いてあるよ」 

良かった。 
話し掛けたときはどうなるかなと思いましたが、なんとか会話が弾みました。 

「・・・・・・あ、そうだ。まだ宿題やってなかった」 

ぽつりとつぶやく早貴お嬢様。それは大変ではないですか! 

1 僕で良ければお手伝いいたします 
2 頑張ってください 
3 みなさんで手分けすれば早く終わりますよ 



「僕で良ければお手伝いいたします!」 
「・・・ホントに?」 
「はい。明日は始業式です、しかし今からならまだ間に合うかもしれません」 
「・・・じゃあ私の部屋まで来てほしい・・・」 

顔を赤らめているのが気になりましたが今は宿題を終わらせるのが先です。 

「こっちだよ」 
「は、はい」 

僕の手をしっかりと握り、ご自分のお部屋へと足早に向かう早貴お嬢様。 
「・・・ここ・・・」 

毎朝目覚めのご挨拶で入ってるとはいえこの時間に入るのは新鮮な・・・ 

¨・・・かちゃっ¨ 

「えっ?」 
「・・・・・・」 
今の音は、鍵をかける音でしょうか?おそらくそのはず。 
「・・・やっと、二人になれたね」 
「さ、早貴お嬢様・・・?」 

先ほどとは雰囲気が違います。何かを思い詰めていらっしゃる様な・・・ 

1 しゅ、宿題をしましょうかと切り出す 
2 これは何のおつもりですか 
3 嫌な予感、窓から脱出! 



後ろ手にドアノブを握ったまま僕を見つめています・・・ 

「宿題をしましょうか?早貴お嬢様」 
震え気味になったけどなんとか声を出した。 
「・・・びっくりした?」 

思い詰めていらっしゃる様な顔ではなくなり、いつもの早貴お嬢様に戻りました。 
「いきなり鍵かけられたらびっくりしちゃうよね?キュフフフ」 
「お、お嬢様、お言葉ですが真面目に・・・!明日はもう二学期なのですよ」 
「はーい」 

なんだったのですか。先ほどのあの真剣な表情は・・・ 
本当に閉じ込められてしまうかと思いましたよ。 

「ココ教えて執事さん」 
「はい、えーとここは・・・」 

む、難しいな。最近の学校はレベルが高いですね。 
「わぁーすごくわかりやすいよ!執事さんて家庭教師もできるんだね!」 
「実は難しくて・・・よく理解できていません」 
「えー。なんか危ないな、大丈夫?」 

・・・早貴お嬢様は表情が豊かですね。特に笑顔が素敵ですよ 
「じゃ、最後はこれ」 
「これは・・・?」 

1 計算ドリルか。懐かしい 
2 自由工作ですか! 
3 え、絵日記ですか? 



このノートは・・・絵日記帳ですか。 
「毎日描いてるよ。それ」 
「お上手ですね」 
この走っている人は、舞美お嬢様ですね。 
似顔絵の様な絵ではなく、 
いわゆるマンガの様な絵で描かれたお嬢様達。 
早貴お嬢様は絵がお上手なのですね。 
「どう?に、似てる?」 
「とても良く似ていますよ。かわいらしい絵柄ですね」 
「ありがと・・・」 
この日はお庭のプールで皆さんが泳いで、 
また違う日は栞菜お嬢様が読書なさっている絵や、舞お嬢様と千聖お嬢様が鬼ごっこ中の絵。 
・・・ひと目でどの絵がどのお嬢様なのか良く分かります。 
そしてこれは、B館のお嬢様が引っ越された日の・・・ 
驚いたことにこちらもよく似ています。 

「あの・・・実はまだ執事さんを描いた事なくて」 
「そういえば僕らしき人がいませんね」 
「ねえ、今日のところに描いてもいい?」 

1 恥ずかしいので遠慮する 
2 僕でよろしければ・・・ 
3 僕が描いてもいいですか 



「僕でよろしければ」 
「いいの?わかった!じゃあこっち向いて」 

スケッチブックと鉛筆を取り出しさっそく書き始めている早貴お嬢様。 
・・・その真剣な眼差しに、最初は少し照れ臭かったけれど 
こちらも真面目に向き合わなければならないと思い、つい緊張して・・・ 
「かたいよ。顔」 
笑いながらスケッチブックを見せてくれました。 
「あははは」 
思わず笑ってしまったその顔。引きつってるよ、もう。 
僕ってこんな顔だったのか、あまり意識して鏡を見たことないから変な感覚だ。 
「今度はもう少し笑ってもいいよ」 
「は、はい」 
しばらくしてまたスケッチブックを見せていただきましたが、今度は笑いすぎた顔が。 
「執事さん緊張してない?」 
「は、はい」 
「じゃあリラックスできるポーズになって。そしたら緊張しないでしょ?」 

僕がリラックスできるポーズといえば 

1 やっぱりこのままにします 
2 のびをしてみよう 
3 寝るポーズならリラックスできそうだ 



いつも1日の終わりに必ずやるあれ。 
肉体的にも精神的にも、たまったものがするっと抜け落ちる気がするあれをしよう。 
「ん〜〜〜〜〜っ・・・」 
本当はまだするには早いけど 

「・・・!」 
僕が体をのばすのを見て何かを閃いたのでしょうか? 
早貴お嬢様はスケッチブックに鉛筆を走らせています。 
その走りだした鉛筆は止まることなく軽快な音を立てて・・・ 

「いまの顔すごく良かったから描いてみたよ」 

スケッチブックに描かれた僕の顔。 
・・・なんだかとても安心している様な、笑っている様な。 
見方によっては寝ている様にも見えます。 

「絵日記これにしようかな、ねえ、執事さんはこれでいいと思う?」 

1 これでいいと思います 
2 さっきの笑ってしまった顔がいいです 
3 これとは違う新しいポーズがいいかもしれない 



「僕はこれでいいと思います」 
「わかった。じゃあこれに決めた!」 
その下書きを見ながら絵日記に僕の顔を描いていく早貴お嬢様。 
「はい、できた。いい顔してるね」 

・・・夏休み最後の日付に描かれた僕の笑顔。なんだか恥ずかしいな。 
「ありがと、あとは文を書けば宿題は全部終わり。執事さんが教えてくれたからできたよ」 
「なんとか間に合いましたね。それじゃ、僕は戻ります」 
「・・・・・・」 

早貴お嬢様は立ち上がりドアの前に立っています。 
「あの、ドアをあけたいのですが・・・」 
「・・・・・・」 

この顔、それに雰囲気・・・ 
さっきいきなり鍵をかけた時によく似ている・・・? 
「早貴お嬢様・・・」 
「・・・だめ」 
「はい?」 
「行かせない。せっかく二人になれたんだもん」 
「あの・・・」 
「だめ、行かせない」 

1 説得してドアを開けていただきましょう 
2 先ほどと同じご冗談でしょうか? 
3 窓から脱出 



表情が変わりすぎでは・・・ 
「ご冗談ですよね?お嬢様」 
「・・・違う。本気だよ」 
その気迫に負けてしまいそうです。い、いったい僕はどうなってしまうのでしょうか? 
「寝て・・・」 
「は、はい?」 
「ベッドに・・・寝て」 
「しかし」 
「早く寝て!」 
あんなに笑っていらっしゃったのに、なぜそんな・・・ 
言われるがまま僕は早貴お嬢様のベッドに横になった。 
いい匂いがしたけどいまはそれどころじゃない。果たしてどんな事が待っているのか気が気ではないのだ。 
「・・・ちゃんと言うこときくんだね。それは執事としてかな」 
「は、はい・・・」 
「そうだよね」 
早貴お嬢様はベッドに近づき僕の顔の近くに膝をついて座った。 
「じゃあ次の命令・・・」 
怖い・・・いったい何をやらされるのだろう。 

「私とエッチしなさい」 

一瞬言葉の意味が分からず思考が止まったが、理解した途端にパニックになりかけた。 
「ま、ま、ま、待ってください!それは!!」 
「命令が聞けないの?」 

1 その命令だけは無理です 
2 どうしてそんな命令を・・・?わけを聞かせてください 
3 か、カラダが勝手に早貴お嬢様を!! 



嫌だ。早貴お嬢様が汚れていく、そんなのは嫌だ。 
「なぜその様な命令をなさるのですか。よろしければ訳をきかせて下さい」 
「・・・理由・・・そんなの、ひとつしかない」 
僕にまたがる様に体を乗せてくる早貴お嬢様。 
「もう待つのはやめたの。待ってたら振り向いてくれないから」 
「お、お嬢様・・・」 
僕のネクタイを外し、シャツのボタンをひとつ外す。 
「執事さんには感謝してるよ。こうやって自分から行動できたんだから」 
そのしゃべり方も声も、そしてこの行動も、普段の早貴お嬢様の面影なんて無かった。 

「汗、かいてるね・・・」 
「は・・・ッ!」 
シャツの中に手を入れてつぅっと指を這わせてくる。 
「ん・・・」 
指に付いた汗を舐めているその顔・・・ 
「逃がさないから。貴方は私とひとつになるの」 

誰か・・・助けてください 
僕はこのまま早貴お嬢様と・・・越えてはいけない線を越えてしまうのでしょうか 

1 ・・・早貴お嬢様が望むのなら、僕を捧げます 
2 いけません!この様な事は!! 
3 で、電話・・・?! 



こんなの・・・嫌です・・・ 
早貴お嬢様、おやめください。貴女のそんなお姿は見たくありません! 

「いけ、ません・・・」 
「・・・?」 
「こ、この様な事は、いけません。早貴お嬢様」 
「ダメなの?」 
「・・・・・・はい」 

早貴お嬢様は僕にまたがったまま見下ろしている。その表情は依然変わらないままで。 

「どうしてか教えて。なんでエッチしちゃいけないの」 
「それは・・・ 

1 まだ僕は早貴お嬢様の事を知らないからです」 
2 実は先日腰を悪くしまして・・・」 
3 答えるのはともかく早貴お嬢様をなだめる 



お恥ずかしいですが、まだ僕は早貴お嬢様の事を知りません」 
「・・・」 
「絵がお上手だという事もさっき初めて知りました。貴女の事をまだ何も理解できていないのです・・・」 

お嬢様の表情がさっきよりもおだやかになってきた気がする。 
「ですから・・・貴女と、その、契りをかわすというのは、まだ・・・」 
「・・・じゃ、もっと私の事を知ってほしいな。考えてみたら知らなすぎるもんね」 

キュフフフ、と笑うお嬢様。良かった、久々にその笑い声を聴けました。 

「・・・あれ、なんで私、こんなところに」 
すると早貴お嬢様の急に声の雰囲気が変わった。なんというかしゃべり方が・・・ 
「・・・?!」 
そして僕を見下ろして 

「きゃあああ〜〜〜!!し、しつ、執事さんがなんでベッドに寝てるの〜〜?!」 
まるでカエルが飛び跳ねるみたいにぴょーんと跳ねてそのまま床に転げ落ちました。 

「いたたたた・・・」 
「だ、大丈夫ですか?」 
「う、うん・・・」 

「私、確か絵を描いてたんだよね。ん〜と、そのあと・・・」 
「覚えていらっしゃらないのですか」 
「あんまり・・・というか全然・・・」 

僕を帰さないとおっしゃりドアの前に立たれてからの記憶が無いらしいのです。 
「本当に覚えていらっしゃらないのですか?」 
「うん、ごめん。私、何かひどい事しなかった?」 
「えっ?!い、いいえ。いつも通りでしたよ」 
「・・・私、時々あるみたい。記憶がいきなり途切れるの」 

聞いた話によれば、早貴お嬢様は興奮なさったり嬉しい事があって気持ちが高まると・・・ 
いまおっしゃった様に記憶が途切れてしまうらしいのです。 

そういえばまるで別人でした。もしや気持ちが高まるとああなってしまうのでは? 

この事を伝えた方がいいのでしょうか 

1 ・・・伝えよう、ご本人のためになるはずです 
2 ・・・やめよう。僕の胸にしまっておこう 
3 話を変えて他の絵を見せていただこう 



やめよう。これを知ったらお嬢様はどう受けとめていいのかわからないかもしれない。 
僕だって、興奮したら記憶が途切れて、その間何をしていたかなんて誰かに聞かされたくない。 

「本当に何か変なことしてない・・・?」 
そのきらきらと輝く瞳を潤ませる早貴お嬢様。 
「はい、何も変なことなどありません」 
「うん、執事さんが言うなら信じるよ」 

僕に向けられたその静かに輝く瞳。 
「あれ?シャツのボタン開いてるよ。ネクタイも外れてる」 
「こ、これは・・・あ、暑いものですから」 
「そう。あ、もうお風呂の時間か。じゃあ私お風呂入るね」 
「は、はい!」 

・・・お風呂で以前、早貴お嬢様の一糸纏わぬ姿を見てしまったな。 
あれのせいで気持ちに後ろめたさがあるのだろうか。 
「執事さん」 
早貴お嬢様が急に戻ってきたのであわてて返事をした。 
「絵日記のモデルになってくれてありがと。私も緊張したらあのポーズしてみる」 

その笑顔と、さっきの興奮した状態の貴女。 
どちらが本当でどちらが仮面なのですか。あるいはそのどちらも貴女なのですか・・・