「絶対ぇおかしいってうちの学校。なんでこう適当なんだよ」 プール掃除をたった1人でやり、しかもくじ引きで決めるとか・・・バカだとしか言えない。 しかも最悪なことに見事にその当たりを引いてしまったわけで。 9月はまだ夏の暑さが居座ってて蒸し暑くて不愉快だ。 あのクソ校長いつか屋上から突き落としてやるからな。 まったく不運としか言いようがない。人を舐めるのもたいがいにしとけよ。 ・・・愚痴を言ってもプールは綺麗にならないし、仕方ない、やるか。 暑い・・・そんなにじりじり照りつけないでくれよ太陽 この俺に果たしてなにか恨みでもあるっていうのか? 1 さっさと片付けて早く帰りたいぜ 2 手を抜きながらやるか。どうせ俺一人しかいないしな 3 先客がいるぞ。誰だプールサイドに座ってる奴は よし、ここは俺のやり方でやるとしよう。 どうせ一人でやらなきゃならないんだし、やりたい様にやったって誰も文句は言わないだろう。 きちんとやるべき事さえやっていれば多少は羽目を外してもいいんだから・・・ 「あっちーなもう!」 どうせ汗だくになるだろうしこの格好でかまわないだろう。 更衣室から使ってない海パンを見つけてそれだけの姿になった。 「っしゃ、いくぜ!」 モップを持ち水を抜いてあるプールの底に飛び降りる。 自分自身を奮い立たせる様に軽く叫び声をあげながらぬるぬるした底をみがいて・・・ 簡単に汚れは落ちるがやはりなかなか広い。一人でやるのは思ったより大変みたいだな 1 やーめた、続きは明日だ。さて帰ろう 2 ちゃんと最後までやるか。暑いから全部脱ごうかな 3 あいたっ?!なんだ、今頭に何かあたったぞ! ¨ごつん¨ い・・・いってぇ〜〜〜〜!!! あ・・・頭が・・・目の前がぐらってしたぞ。 しばらくして急に頭が痛くなってきた。いったいなにが頭にあたったんだ? 「ぼ、ボール?」 バスケットボール・・・だ。 痛いはずだよ、こんな重いものが頭に当たったら。 でもなんでこんな物がプールに落ちてきたんだ。 「すいませんっ!こっちにボール飛んできませんでしたか?」 誰かの声がしたので頭をさすりながらプールから出ると・・・ 1 背が高くて整った顔立ちの生徒が 2 あれ。君は確か梨沙子の・・・ 3 う、梅田!またおまえか! 誰だ? 知ってる生徒かなと思ったが見覚えがない。Tシャツにジャージ姿で髪を後ろに結んでいる。 「あ、あった!僕が飛ばしたボール」 プールの底を見下ろしてボールを見つけたその生徒。 ああ、男子か。最近の子供は背が高いんだなぁ。 もしかしたらこの生徒はバスケ部なんだろうか? 「ごめんなさい、もしかしてあたりませんでしたか?」 1 見事に頭にゴールしたぞこのやろう 2 当たってないよ。安心しな 3 え・・・ちょっと待て。いったいどこから飛ばした? 「キミが飛ばしたのか?このボールを」 「はい」 このプールは校舎とは別の棟の上にある。 校舎よりは高くないとはいえそれなりの高さはあるぞ。 この生徒は果たしてどこから飛ばしたっていうんだ? 「僕、校庭でシュートの練習してたんです。なかなか入らなくてつい力入れちゃって」 「校庭だって?!」 「はい」 そういや、プール棟は校庭のすぐ外れに建っていた。 確かに下にはバスケットのゴールがあったよな・・・ それにしても重さのあるバスケットボールをここまで投げるなんてなかなかできないぞ。 うちの学校ってすごい生徒がいるんだな。 1 君はどこのクラスだ 2 プール掃除手伝ってくれ 3 彼女いるの? 「キミ、彼女っているの?」 「な?!いいいきなり何を言ってるんですか?!」 その顔を赤くさせている生徒。 ふふ、かわいい反応だな。このぐらいの男子生徒はまだ可愛らしさがあっていいな。 梨沙子の友達の岡井君も可愛かった。 ・・・いや、変な意味じゃない。男子生徒を変な目で見てるわけじゃないぞ。 「いるね。ここはもしいなきゃ軽く流してるとこだぜ」 「・・・い、いたって別にいいじゃないですか。それにまだ彼女じゃ・・・」 1 もっと詳しく聞きたいな 2 その前に名前を知りたい 我ながら趣味が良くないな。会ったばかりの生徒に女のことを聞くなんて。 しかし好奇心というやつは一度芽生えたら言うことをきいちゃくれないんだ。 「言わないから教えて。先生はこう見えて口かたいから」 「そんな変な格好でプールを掃除してる人は信用できません」 「いいから教えてってば。まぁ言いたくないならいいけど」 「いやですよ」 きっぱりと答えたな。その目、真っすぐで意志が強そうだ。 この子はちょっと気が短そうな印象だな。 1 じゃ君の名前教えて 2 やっぱり彼女のことを聞きたいな 3 他の生徒が来たぞ 階段をあがってくる音がした。やれやれまた客か。 「くまいちょーどしたの〜?ボール見付かったの?」 あれ!?この声、聞いた覚えがあるぞ。まさか! 「先輩!」 その男子生徒が立ち上がって声を出すと同時に、いま聞こえた声の主がやってきた。 「つ、嗣永?!」 「あっせんせぇ。なにしてんのこんなとこで」 嗣永もジャージ姿だ。これはどういう・・・ 「せ、先輩、あ、あの、その」 「見付かったの?ボール」 「は、は、はい」 なんだこの子。嗣永を見たら急にしどろもどろになっちゃった。 顔・・・真っ赤だぞ。汗もそんなにかいて。 まさか、嗣永がこの子の彼女なのか? 1 とりあえず様子を見るか 2 嗣永、いっしょにプール掃除する? 3 ひどいぞ嗣永!彼氏がいながら俺と遊んでたなんて! 「油売ってないで早く下に戻るよ!まだ練習中だから!」 「は、はい、先輩」 「ほら早く!先生怒ってるよ〜。怒られちゃうよ」 その生徒、くま・・・何とかと呼ばれた子の手を引っ張り、嗣永がプールから連れ出す。 「じ、自分でいけますから!」 「さっさとする!男の子なんだからきびきび動きなさいっ」 へえ、あの嗣永も後輩を相手にしっかりしてるんだな。意外だぜ 「僕は一人でいけますよぉ〜〜〜〜!」 まるで逃げる様に嗣永の手を振り払い、その生徒は階段を掛け降りていった。 「やれやれ、まったくくまいちょーってば世話が焼けるんだからぁ」 腰に手を当てて少し不機嫌そうにつぶやく嗣永。 1 なんだいまの子は? 2 お前何やってんだこんなところで 3 ふざけてプールに引きずり込む 「なんだいまの子は?」 「後輩ですぅ。バスケ部の」 そういや嗣永は確かバスケ部に入ってたっけな。 こいつのことだから幽霊部員かと思いきや、なかなか真面目に打ち込んでるみたいだ。 「なんて名前だよ」 「熊井友理奈ですぅ」 「ゆりな?なんか女の子みたいな名前だな」 「いやみたいなんです、名前で呼ばれるの。だから名字で呼んであげてるんですよぅ」 なるほど。だから、くまいちょーって呼んでたのか。 ・・・気になるな。嗣永の前であんなに真っ赤になってた。 もし苦手だとしたらあんな顔を赤くするのは不自然だ。 となると・・・まさか・・・ 「じゃあ私も戻りますね。せんせぇ、暑いからってそんな格好だとつかまっちゃいますよぅ」 ウフフフフフと笑いふざけて俺のその部分をぎゅっと握り、そのまま走っていった。 「い、いたたた、あのバカ、少しは加減しろよ・・・」 あの熊井って生徒、気になるな。今度機会があれば話でもしてみようかな 「いってぇ〜。うわ、赤くなってる・・・」