………頭が、いや体の隅々が重い、怠い。 熱は…九度近くか。こりゃ今日は無理だな。どこにも出かけられないだろう。 ついてないなぁ…せっかくの休日なのに起きたらこんなフラフラとは… 不本意だがこれはさっさと休養を取らないと大変だ。薬を飲んで寝るとしよう。 ¨ドンドンドン¨ …なんだ?こんな時間に。ああ、きっと新聞の勧誘だろ。最近無いと思ってたら… ¨ドンドンドン¨ …やかましいな。人が風邪で寝込んでるってのに。 ま、しばらく無視してたら帰るだろう。ほっとくか ¨ドンドンドンドンドンドン¨ あ、頭に響く。頼むから帰ってくれないか。これ以上ドアを叩いたら許さないぞ… ¨開けて〜¨ ………?! この声は聞き覚えがある!新聞屋じゃないみたいだぞ 1 それでも無視する。というか布団から出られそうにない 2 誰なのか聞いてみよう 人が弱っている時に何の用だ。 「……誰だ」 重い体を引きずりながら玄関にまでたどり着き、声を絞りだす。 ¨誰だなんてひどーい!¨ この声! 「梨沙子か?!」 ¨そうだよ。ねえ、約束忘れてないよね?¨ ……………約束? 俺、梨沙子と約束…したか? ¨とにかく開けて!¨ 悪いが今はお前をかまってやれる余裕は無いんだよ。 なんでよりによってこんな休みの日にお前が来るんだ。 1 帰れ!家には入れないぞ! 2 茶ぐらいは出してやるか、入りなさい 3 約束…思い出してみよう せっかく来たんだ。お茶ぐらいは出してやるか。外は暑いし… 「開けるのが遅い!」 ドアを開けると腰に手を当ててご機嫌ななめの梨沙子が。 「……どうしたんだよ…」 「………ねえ、まさか約束忘れてないよね…?」 俺の反応を見て不審に思ったらしく尋ねてきた。 「……約束?」 「あ〜〜!忘れてたでしょ!間違いない!忘れてたぁ!」 うるさいぞ、頭に響くだろ…! 「悪いが調子が良くないんだ…せっかく来てもらったんだがかまってやれないぞ」 「……やっぱりお兄ちゃんはりぃがキライなんだ。いっつもそうじゃん、約束するとそうやってさ…」 な、泣くな。泣かないでくれ。今は自分のことで精一杯なんだ 「中に入れ、暑かっただろ?麦茶出してやる」 「いらないっ!お兄ちゃんなんかキライだもん!」 1 早く梨沙子を入れてドアをしめよう 2 …待てよ、確か約束してたはずだ 3 梨沙子をなだめる 梨沙子はへそを曲げると大変だ。なだめなきゃ 「…梨沙子、わざわざ来てくれたんだ。上がっていきな」 「やだ!お兄ちゃんなんかキライだってゆったじゃん!」 俺をお兄ちゃんと呼ぶ梨沙子。 しかし血が繋がっているわけじゃない。 梨沙子が小さい時から近所に住んでて、その頃から知っていた。 たまに遊んだりしてて、梨沙子もいつしか俺をお兄ちゃんと呼ぶ様になった。 ……でもこういう性格なのは小さい時から変わらないな 「もう泣くなってば…」 「やだっ!」 「頼むから…」 ……頭がまた重たくなってきた。よ、よりによって、こんな時に…く… 「…お兄ちゃん?どしたの」 梨沙子は俺がいつもとちがうことに気付いたみたいだ。 1 なんでもない、と強がる 2 実は起きたら風邪ひいてた 3 お前がうるさいから頭が痛くなってきた 「実は起きたら風邪……」 急に力がぬけたみたいになり、膝をつきそうになってしまった。 「だいじょぶ?!うわっすごい熱、すぐ寝て!」 俺をベッドにまで追い立てる様に急かす梨沙子。 「悪いな…せっかく来てくれたのに」 「それより具合はどう?」 「な、なんとか大丈夫、と言いたいな」 「待ってて、おかゆ作ってあげるね」 俺の汗を拭きとり、そのまま台所に立つ。こういう時は手際が良いよな。 「お待たせ、できたよ」 「早いな」 「はい。あ〜んして」 なんか照れるな…普段は梨沙子にこうしてもらわないから 1 素直に従う 2 恥ずかしいから自分で食べるよ 3 …約束思い出したぞ …そうだ、今日は大切な日だったんだ。やっと思い出せたぞ。 「梨沙子……今日な」 「…お兄ちゃん」 「ごめん、約束破っちゃった」 「無理しないで。風邪ひいてるならしょうがないよ」 今度の休みの日遊園地に連れてくって約束だった。 だけど起きたらこんなひどい状態でしかも約束を忘れてた。 「…さっきは約束忘れてるみたいだったけど」 「ごめん…」 「お兄ちゃんってどっか抜けてるよね〜。しょうがないなぁ、今日はずっと看病してあげる」 梨沙子は普段は危なっかしいけどこういう時は立場が変わるというか。 なんだか調子が狂ってしまう。普段は俺が面倒見てるって感じなんだが… 「次に何してほしい?」 1 氷枕をお願いする 2 汗ふいてくれ 3 その胸で枕してほしい 熱のせいで余計に苦しくなってきた。 「梨沙子…氷枕お願いしていいか?熱が…」 「たいへん、すぐやらなきゃ!待ってて!」 やべぇ…だんだん目が回り始めたぞ。思ってた以上に熱は俺の体を蝕んでいる 「はいっ、これ!」 「サンキュー……」 ……はぁ…はぁ… すぐには熱がひかないが、さっきよりは楽になったぞ。ありがとう梨沙子。 「梨沙子、ごめんな。せっかくの遊園地、連れてってやれなくてさ…」 「我慢する。もうりぃだって小学生じゃないんだからワガママ言わないもん」 「…そっか、そうだよな。もう今年で中学二年生だからな」 …梨沙子、大きくなったな。初めに会ったばかりの時は小さかったのに。 まだ俺が教師になる前だったな。そりゃ俺だって歳を取るわけだ。梨沙子も… 色々な部分が大きくなった。特にそのむちむちした太ももや、胸とか… どうしたんだ俺?梨沙子をそういう目で見てるなんて。熱のせいでおかしくなったか…? 「他にしてほしい事はない?お兄ちゃん」 1 そうだ薬飲まなきゃ 2 着替えたいから着替えを持ってきてほしい 3 …顔を、見せてくれないか 「……顔を、見せてくれないか…」 「…? いいけどどうして」 「よく見たいんだ。おっきくなった梨沙子の顔」 「ヘンなの。いいよ、お兄ちゃんのお願いだし」 前から予測してた通り整った顔立ちに成長したな。 …ついこの間まで小学生だと思ってたのにもう中学生か。さっきも思ったっけ。 なんだかやけに大人っぽい顔立ちになったな。梨沙子は昔から普通の娘とはちがう雰囲気だと思ってたが… ……やっぱりヘンだぜ。さっきから何意識してるんだ。梨沙子は妹みたいな奴なんだ、変なこと考えちゃいけない。 「もういいの?」 「………」 「お兄ちゃん?おーい、どうしたの?」 1 悪いな、もういいよ 2 もうちょっと見せてくれないか 3 …お前、キスってした事あるか? 「……梨沙子、お前、キスってした事あるか?」 俺が何を言ったのかよく分からないらしく、固まってしまった。 ……いや、わかるから固まってしまったのか。そうだろうな。 「な、無い。無いよ、あるはずないでしょ」 「ホントか?お前もてるだろ」 「う〜〜〜っ…」 梨沙子は昔から男子に人気あったからな。俺といる時でもよく誘われてたし。 「そうか。最近の子は早いって聞いてたけどそうでもないのか」 「う……うん…」 梨沙子が照れてるのでちょっと意地悪してみたくなった。 1 …俺としようか 2 可哀想だからやめとくか。それより看病してほしい 3 好きな子いないの? 梨沙子とはあんまりこういう話をしなかったな。まぁ妹とこんな話をするのもヘンだって思ってたし… 「好きな子っているか?」 「い、いないっ!」 分かりやすい奴…昔から嘘は下手だった。 「お兄ちゃんなんでそんな話するの?!普段はあまりしないじゃん!」 「聞いたっていいじゃないか。嫌なのか?」 「嫌だ!嫌だ!」 ころ、お兄ちゃんを叩くな。風邪で弱ってるんだぞ。梨沙子、痛いだろ 「んもう意地悪!りぃもう帰るからね!」 「そんな怒るなって。悪かったよ」 梨沙子ももうそういう年頃だしな。いつまでも妹じゃない 「ホントに帰るからね!」 怒って立ち上がった。ちょっとやりすぎたか? 1 待って、お前が帰ったら俺死んじゃう 2 ダメだ。待ってくれ、いかせないぞ 3 またすぐ戻ってくるだろう ダメだ。待ってくれ、いかせないぞ梨沙子。 「バイバイお兄ちゃん」 「待ってくれよ。いかないでくれ」 そのまま帰ろうとしてる、ここは止めなくてはいけない。 「待って〜〜梨沙子〜ぉ」 情けない、年下の子を怒らせて帰らせるだなんて。 「待ってくれったら!」 ベッドから出なきゃ。仕方ない、梨沙子を止めるためだ。 ……あ、れ、ヘンだな。地震か?床がゆらゆらしてうまく歩けないぞこりゃ。 「お兄ちゃん?!」 やば、さっきより熱が上がってきたかも。 「しっかりして!」 「…目の前にいるのに…梨沙子がうまく見えないよ…」 ふぅー、と深いため息をつく梨沙子。 「しょうがないなぁ。まだりぃが看病してあげなきゃいけないみたいだね」 「ごめんな。せっかく約束してたのに」 「いいってば。風邪ひいちゃったんだししょうがないもん」 …大人になったな。連れてけってワガママ言うかと思ったけど。 「ちゃんと薬飲んで」 「はーい」 次はちゃんと約束守るからな。 「しっかり寝なきゃダメだよ。わかった?」 「うん…なぁもうひとつお願いあるんだ」 「なぁに?」 「添い寝してくれ」 ………痛った〜〜〜。 いま、火花が散ったぞ。グーで殴るなよ。 「いいかげんにしないとホントに帰るよ」 「いまのは笑って流してくれよ。梨沙子は冗談が通じないな〜」 …これじゃどっちが世話してるんだか。 「寝ていいよ。ここにいてあげるから」 梨沙子の笑顔は なんだか、見てると安心するよ