ふ〜〜。ようやく一日が終わった。 
だけどまだまだやらなきゃいけない事がある。明日に残すと面倒だからやってしまおう。 

いろいろ細かい仕事が多いな。まずは・・・どれから手を付けようか 

そうだ、テストの採点からやってしまおう。 
えーと・・・ 

うん、よし。皆なかなか勉強してるな、俺のクラスは優秀で助かるぜ。 

・・・! 

なんだこりゃ?この生徒の答案ほぼ真っ白じゃないか。まるっきりやってないな。 
というか名前すら書いてない。なめてるのか? 
赤ペンでその答案にバツをつけていくうちにある言葉が目に飛び込んできた。 

¨裏返しにしてみてください¨ 

蛍光ペンで書かれたその文が気になり、めくってみると 

1 なんだこりゃ?電話番号が書いてあるぞ 
2 顔写真が貼ってある 
3 名前が書いてあるぞ・・・ 



ピンクの蛍光ペンで書かれたその番号。これは携帯だな。 

いったいどういうつもりなんだこいつは?テストは空欄だし、裏にこんな記入をするし。 
・・・これは、かけてくださいって事か。やれやれ、賢いイタズラではないな。 
どういうつもりか知らないが注意しなくちゃならない。とりあえず学校の電話でかけてみることにした。 

¨プルルルルルルル・・・¨ 

・・・出ないな。しばらく待たなきゃだめか? 

¨ガチャッ¨ 

お、出た。 

¨はいもしもし?¨ 

この声は・・・あいつか! 

1 矢島!お前何やってるんだ! 
2 ・・・熊井? 
3 中島じゃないか、どうしたんだよ 
4 つ、嗣永・・・?! 



¨せんせぇ?せんせぇでしょ?やったぁ〜電話もらっちゃったぁ〜!ウフフフフ¨ 

この声は・・・嗣永?!何やってんだよ! 
「おい嗣永、お前何を考えてるんだ。真面目にテストをしないで裏に電話の」 
¨わぁ〜い。嬉しいなぁ〜♪ウフフフフ¨ 
「話を聞けよ。いいか、先生は真面目に勉強しない生徒は好きじゃないぞ」 
¨えぇ〜冷たいじゃないですかぁ〜。わざわざテストを犠牲にして番号書いといたのにィ¨ 
「なんでわざわざ空欄にする必要があるんだよ・・・」 

まったく、たまに嗣永は俺にこうやってちょっかいをかけたりしてくる。 
¨えぇえ〜〜ん。せんせぇのせいでテスト0点ですぅ〜¨ 
「わざとらしい真似をするな」 
¨もう留年ですぅ〜、えぇえ〜ん、えぇえ〜ん¨ 

うるさいな。受話器からキンキン響いてくるぞ。 

¨こぉなったら責任取って一緒に帰ってもらいますから!¨ 
「は・・・?」 

1 うるさい奴だ。電話を切る 
2 わかったわかった、わかったから帰れ 
3 お前いまどこにいるの 



「お前いまどこにいるの」 

一緒に帰ってもらいますから!とか言ってきたのでおそらく学校の中だとは思うが・・・ 

¨一緒に帰ってくれますかぁ?だったら教えますよ¨ 
「あのなぁ〜」 
¨いやなんですかぁ。いいもん、明日みんなにせんせぇのせいで留年だって言ってやるから¨ 

こいつ・・・しょうがない奴だぜ。ったくもう 

「ああわかったよ、一緒に帰ってやるから場所を言え」 
¨ありがとぉございまぁ〜〜す♪え〜っとねぇ・・・場所はぁ〜・・・¨ 

お前のおかげで予定が狂ってしまった。まぁいいか、早く帰してまた学校に戻ってからやろう。 

¨・・・や〜めた。せんせぇ、さがして♪¨ 
「おい、ふざけんなよ嗣永」 
¨せんせぇなら見つけられるよね?じゃあ待ってるから!¨ 

あっ!切りやがった。こいつ人を振り回して 

1 教室かな 
2 職員室の前かもしれない 
3 まさか校庭とか 



言うとおりになるのもあまり好きじゃかったが早く用事をすませてしまおう。 
さてどこにいるかだが・・・案外すぐ近くにいそうだな。例えば職員室の前とか 

「きゃぁあっ!見つかっちゃったぁ!」 
「・・・すぐに見付かったな。嗣永」 
「んもぉ〜これから隠れようとしてたのにぃ〜。せんせぇってばぁ〜」 

・・・なんかやけに嬉しそうじゃないか。こっちはぜんぜん嬉しくないぞ。 
細かい仕事を明日に持ち越すはめになるかもしれないんだから 
「ま、いっか。早く帰ろっ」 
「おっおい嗣永・・・」 
俺の手を握りそこから走ろうとしたのでよろけてしまった。 
「まだ荷物まとめてないんだよ!おい」 
「いいじゃないですかぁ明日取りにくれば。ね?」 
「ね?じゃないだろ、おいっ待て、嗣永!」 

なかば無理矢理校舎の外に連れ出されそのまま校門を出てしまった。 
「さ、帰りましょ」 
「お前なぁ・・・」 

仕方ない、か。付き合ってやるか・・・ 

「ウフフフフ♪せんせぇと一緒だぁ〜〜」 
「くっつくな。他の生徒に見られる。それに暑い」 
「なぁ〜に言ってるんですかぁ。嬉しいくせにぃ♪」 

・・・人懐っこい笑顔だな、こいつは。それがうっとうしいが。 
「せんせぇって背が高いですねぇ〜」 
「お前が小さいだけだろ」 
「せんせぇってカッコいいですよねぇ。ねぇねぇ、います?」 
「いるって・・・何が」 
「ニブい人ですねぇ〜。彼女ですよ、か・の・じょ」 

思わず吹き出しそうになってしまった。なんでそんなことを聞いてくるんだ。 
「ねぇねぇどうなんですかぁ?いるの?いないの?」 

1 い、いるよ 
2 正直に今はいないと言う 
3 寂しいから慰めてとからかう 



「今はいない」 
「・・・ふぅ〜〜ん。そうなんですか〜〜ぁ」 

なんだよそのにやにやした顔。なんか腹立つなぁ。 
「好きな人とかいないんですかぁ?ほら、中澤先生きれいじゃないですかぁ」 
「なんでそこで中澤先生が出てくるんだよ」 
「年上はダメですかぁ、じゃ歳が近い人とか。吉澤先生とか村田先生は?」 

嗣永、なんでこんな事を聞いてくるんだろう。 
「・・・そういう対象として見てない」 
「へ〜〜〜〜〜ぇ・・・」 

・・・なんだよ。またにやにやしてる。怪しい奴だな。 

「せんせぇ。もうひとつお願いがあるんですけどぉ」 
「なんだよ。何か食わせろって?」 
「せんせぇのおうちにいきたいな♪」 

思わずすっ転びそうになってしまった。こ、こいつ、いくらなんでも・・・ 

1 まだ教師を続けたいからお断りだね 
2 付き合いきれない。ここで帰そう 
3 ・・・本気か?と聞いてみよう 



「おうちにいきたいですぅ」 
「お前・・・本気か?」 
「だめなんですかぁ・・・?」 

ちょっと寂しそうに俺を見上げる嗣永。やめろ、そんな顔をするな。やめてくる 

「・・・ダメだ。このご時世、教師への風当たりは強い。何かあったら守ってもらえないんだ」 
「どうしても・・・?」 
「ごめん、無理だよ嗣永」 
「じゃあケータイの番号教えてくださぁい」 

家には招いてやれないが携帯くらいなら大丈夫かもしれない。 

「やったぁ!作戦成功!せんせぇの番号もらっちゃったぁ」 
急に顔つきが明るくなってはしゃいでいる嗣永。 
「は?さ、作戦って・・・どういう・・・」 
「いきなり番号教えてくださいって言っても無理だと思ってぇ。だから最初にもっと無理なお願いしてから聞いたんですぅ」 

や、やられた・・・!うかつだったぜ、俺とした事が。 

「こらっ返せ!」 
「もうもらっちゃったもーん♪じゃあねせんせぇ。また明日ぁ〜!」 

くそ、番号をメモした紙をとられた。逃げ足は早いなあいつ。 
はぁ〜〜やっちまった、もし誰かにばれたら大変だぜこりゃ。 
それほど時間はかからず嗣永と別れたが今さら学校に戻る気もしないので帰ることにした。 


 ¨ヴヴヴヴヴヴ・・・ヴヴヴヴヴヴ・・・¨ 

うるっさいなぁ、これで今日何度目の電話だよ。確か家に帰った直後が最初で・・・ 
¨せんせぇ。せんせぇ!いまからお風呂はいりまぁーす¨ 
「いちいち報告しなくていい!いい加減にしてくれ!」 
¨ウフフフフ♪じゃあまた明日ねっ、せんせぇ¨ 

まいったなぁ。 
しばらくの間生活のリズムを狂わされそうだぜ。 

¨ねぇねぇ今から寝るよ。どっちが先かなぁ?ウフフフフ¨ 

決めた。明日番号変えてやる。変えてやるぞ・・・