・・・ふと目が覚めた。時計を見たら真夜中。 寝るのが早かったからだろうか?お嬢様達にお休みのご挨拶をしてからすぐに床に入ってしまったっけ。 しばらくそのままでいたが目が冴えてきて、気晴らしも兼ねて部屋から出る事にした。 さすがにこんな時間では起きているのはこのお屋敷に僕一人だろう。起こさない様に足音を立てずにゆっくりと廊下を渡る。 「・・・・・・?」 ふと、窓の向こうに何かが見えた気がした。 ・・・いや気のせいだろう。目は冴えているが寝呆けているのかもしれない。 『こんばんは』 ・・・この声は?耳ではなくて頭の中に響いてくる・・・ 待てよ、こういう声は確か以前にも聞いた様な。 『おーい』 窓の向こうにさっき見えたのは、あの人。 あの人は・・・確か・・・ 1 えっと、め、愛お嬢様でしたよね 2 夢か・・・部屋に戻ろう 3 なぜ窓の向こうにミニラが?! 「愛お嬢様!」 『よしよし、ちゃんと名前覚えてたね。偉いよ』 初めてお会いした時と同じ様に壁を擦り抜けて入ってくる。 ・・・な、なな、なんですかその格好は?!! 『ん?顔、赤いよ。なんかヘンなものでも見た?』 「めっ、めめ、愛お嬢様!なななんですかその、み、みず、水」 いけない。見てはいけない。血が変な場所に集まってしまいそうです! 前は清潔感のある白いワンピースをお召しになられていたのに、い、今は! 色は同じ白なんですが肌を隠している面積がまるで違いますよ。み、水着ですかそれは? 『・・・ねえ、どう?』 「はい?な、何がでしょうか」 『私見てると興奮しちゃう?ねえねえ聞かせて』 ・・・見ないでください。あ、貴女の目には何か得体の知れない力があるんですよ・・・ め、目を逸らせなくなるではないですか。 1 はい、とてもお似合いですよ 2 今日はちょっと刺激的なんですね 3 すごく・・・おっきいです、と胸元を見ながら 「今日はちょっと刺激的なんですね」 声が上ずっているのが自分でもわかった。その僕を上目気味に見上げてにやにやなさっている愛お嬢様。 『どぉこ見てるの?執事さん』 「うわあっ?!」 急にその胸元を僕に近付けてきたので思わず大きな声が出てしまった。す、擦り抜けたとはいえ顔にくっつくかと思いましたよ な、なんという・・・た、谷間、ですか。貴女という方は!も、もう! 『あはははは。そんな声出したら誰か起きちゃうよ』 ・・・品が無い例えですが、まるで匂いを嗅ぎ取れるくらいに近いです。 『ねえ。触ってみたいでしょ』 「えッ?!め、滅相もありません!」 『普通なら触れないけど、私の体はちゃんと触れる様にもできるんだよ』 「ほ、本当ですか」 『なんだ、触りたいんじゃん』 「い、いえ、そんなつもりでは!!」 え・・・えりかお嬢様より大きいのでは・・・?!比べるのは失礼ですが確実に大きいです! 1 か、からかわないでください! 2 あっ誰か起きてきちゃった!! 3 おっぱいを触りたいです!おっぱい最高です!触らせてください! 「か、からかわないでください!」 これ以上見てはいけないと思い顔を背ける。 『無理しなくていいよ。私と貴方しかいないんだし』 なんだろう・・・目を見ていると吸い込まれてしまいそうになります。 いったい貴女は何者なのですか。愛お嬢様・・・ 『私が何なのか知りたそうだね。いいよ、教えてあげても』 「本当ですか」 『・・・どうしようかな。執事さん次第、って感じかな』 1 教えて下さいお嬢様 2 ・・・敢えてお聞きしない。嫌な予感がします 3 ゴジラの所に帰りなさいミニラちゃん もやもやしたままなのはすっきりしません。だからお聞きします 「はい、教えて下さいお嬢様」 『いいよ。教えてあげる。私はね・・・』 なんだ?!背中から何か出てきたぞ!あれは・・・まるでコウモリの様な黒い翼・・・ 『¨サキュバス¨って聞いたことある?』 「い、いえ」 『ん〜簡単にいうとエッチな悪戯が好きな悪魔ってとこかな。つまり、私は悪魔』 あ・・・悪魔ですって?! このお屋敷にはそんな方までがいらっしゃったのですか!! いまさらだけど、大変な所に来てしまいました。なぜこう様々な出来事は夜中に起こるのでしょうか? 『いまのとこ私が見えるのは貴方しかいないみたいだし、しばらくは悪戯させてもらうから』 「い、嫌ですよ!勘弁していただきたいです」 『ダメ。でも安心して、私ね、満月にならないと実体化できないんだ。月が普通の状態なら実体が無いままだし』 「いったい何の安心ですか・・・?」 この方も悪戯がお好きですね。どうしてこう僕は悪戯をされるのでしょうか? 1 逃げましょう、このお嬢様は危ない香りがします 2 お乳をさわらせてください 3 出ていけこの悪魔め!退魔してくれるわ! まさか悪魔だったとは。 不思議な雰囲気、引き付けられてしまいそうなこの感じ、これも悪魔の力なのでしょうか? よくある物語では悪魔に魅入られた者は魂を奪われるとかありますが・・・僕もそうなるのか? どうせ魂を奪われてしまうのならば、奪われてしまうのならば 「あの、愛お嬢様」 『執事さんどうしたの』 「さ・・・さわらせて頂いてもよろしいでしょうか。そ、その、豊かなお胸を」 『やっぱ触りたいんでしょ。やっと素直になったわね』 愛お嬢様がご自分の手を胸元にあてると、心なしかその部分だけ・・・ お体の他の部分は透けているのにそこだけはっきり見えます。 『いいよ。触っても』 ご、ごめんなさい・・・!いきます、触ります! いや、触れるはずがない。先ほどおっしゃっていたじゃないか、満月でなければ実体化はできないと。 そうだ。触れるわけが ¨むにゅっ¨ さ 触れ る わけが・・・ ¨むにゅ、ぷに、ぷにゅ¨ あれぇ?指先につたわるこのやわらかい感触はなんでしょう? 『うふふ、なんでびっくりしてるの?まだ満月じゃないけど、満月の日は近いでしょ。全身じゃないけど実体化はできるの』 なんというやわらかさだ! いいやなんという事だ、め、愛お嬢様のそこを! 『・・・うふふ、いい顔してるね。そういう顔好きだよ』 思考も体も固まってしまい何もできない僕にぎりぎりまでお顔を近付けてくる。 『ねえ。おっぱいだけで満足してないでしょう』 「ぁ・・・い・・・」 『・・・他の場所も触りたいよね。いいよ、触らせてあげても』 なんだかもう完全に愛お嬢様のペースですね・・・ 『どこがいい?全身は無理だけど、一部ならできるよ』 「あ、あの」 『いまさら遠慮しなくていいって。どこがいいの』 1 もう一度おっぱいをお願いしたいです! 2 お尻を触らせてください 3 あ、あの・・・唇を・・・口付けをしたいです ・・・恐ろしい。もう他の事など頭に入りません。これが悪魔の力なのでしょうか 「く、唇を・・・」 『へぇ〜。私とキスがしたいんだ?そうでしょ』 ああ、またそうやって意地悪な笑顔をなさるんですから。 『いいよ。待っててね』 先ほど胸元に触れた時と同じ様に、今度は人差し指でその唇に触れるお嬢様。 なぞる様に端から片方の端まで指先を動かすと、その透けていたはずの唇が・・・! 「う、うわぁ・・・」 思わず息を飲み込んでしまった。な、なんと・・・ 『はいお待たせ。さ、いつでもいいよ』 んっ、と唇を口付けする時の様にすぼませる愛お嬢様。その目を閉じて・・・ 1 その唇、いただきます! 2 まず触れてから口付けしよう 3 待って嫌な予感が。やめた方がいい! その唇を僕のものにしたいです、愛お嬢様! ¨・・・チュッ¨ ついに触れてしまいました。貴女のその艶やかなふっくらとした唇に。 ああ・・・熱い・・・ 唇が焼ける様に熱いですよ。まるで燃えているみたいに ・・・おや、何か目の前がやけに明るい様な・・・ 『大変だよ執事さん、早く消さないと火傷しちゃうよ』 「うわああああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜?!」 燃えている。僕の唇が。その火は小さいけれど確実に僕の一部を炙っている! 「熱い!熱い熱い、熱い〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」 あわてて洗面所に駆け込み顔に何度も水をかけ続けた。パジャマがずぶぬれになっても 「はぁ・・・はぁ、びっくりした・・・」 確かに唇に触れたはずだ。なぜ発火したんだ?愛お嬢様にお聞きしなければ 愛お嬢様は先ほどの場所で階段の手すりに腰掛けていた。 『びっくりした?安心して、火傷はしてないはずだよ』 「いったいどういう事なんですか?!びっくりしましたよ!」 『こういう事』 愛お嬢様が指を鳴らすと、なんとその伸ばした指から火が・・・ 『体から火が出るから気をつけてね。さっきは加減したから大丈夫だよ、熱かっただろうけど』 こ、これ以上この方に関わってはいけない気がします。 『もうそろそろ朝か。じゃあ、ひとまずここでさよならするね』 「ご・・・ごきげんよう、愛お嬢様」 僕に背中を向けたお嬢様でしたが、顔だけをこちらに振り向かせて・・・ 『気が向いたらまた遊んでね。執事さん♪』 そう言って指を鳴らすと、もう次の瞬間にはそこから影も形もありませんでした。 こ、これからは、夜中に目が覚めても部屋から出ない方がいいかもしれない・・・ 襲われてしまう。 ・・・いや、よく考えたら部屋にいても襲われるか。 じゃあ僕は果たしてどこにいればいいのでしょうか・・・? 心が休まりません