最近、目覚めがとても悪い。 必ずといっていいほど起きると顔にクモやその他の虫がひっついている。 こういういたずらをなさるのは舞お嬢様かえりかお嬢様かと思い尋ねてみたが… 「しらない。私虫嫌いなの知ってるでしょ、さわれないよ」 「そんないたずらしないんだよ。むしろよばいしちゃうんだから♪」 …どうやらこのお二人ではない様子。いったい誰なんだ、毎朝変な起こし方をして 僕だってあまり虫は好きな方ではありません。いたずらにしては少々趣味がよろしくないですね …しかし不思議なことに、なぜか部屋に入った形跡は無い。鍵を開けた様子も無いし、寝ている時に足音も聞こえない。 なんだか薄気味が悪いです…このお屋敷にはいったいなにがいるのでしょう 1 今夜は寝ないで見張ろう 2 違う部屋で寝たらどうかな 3 ……ん?窓の外に誰かいるぞ こうなれば一度寝ずに見張りをするといたしましょう。 ほぼ毎朝あらわれる(?)のですから今宵も必ず… というわけで今夜は寝ないで見張りです。 他のお嬢様にうかがってみましたが誰も僕と同じ目にはあわれていないとのことです。 まさか勝手にクモや虫が僕の部屋にだけ来るとは考えられません。何かよくない予感がします… ¨コン、コン¨ …気のせいかな?いま、窓から音がした様な。 何かがぶつかったのかもしれません。気のせいでしょう。 ¨コンコン、コンコン¨ ………やっぱり音がしました。 まるで扉をノックするかのような、規則的な音でした。 なんか振り向いてはいけない様な、でも振り向かなくてはならない様な… 1 怖くなったのでそのまま寝よう 2 こ…怖いけど窓を見てみよう! 3 あれ、今度は扉をノックする音が 怖かったけど思い切って窓の方を向いた。ノックの主を確かめるために…… 「?!」 ひ、人だ!! 僕が振り向いたのを見て、にこ、と笑っている。 お嬢様のうちのどなたかと思ったけどあの顔は見覚えがない。初めて見るぞ。 『こんばんは。おじゃましてもいい?』 …しゃべったのか?おかしいぞ、僕は窓にはそんなに近づいてない、わりと距離はある。 しかも相手は窓ガラスの向こうからなのにやけにはっきり聞こえました。 『黙ってるってことはいいってことかな。おじゃまするね』 「ええぇっ?!」 その女の子はなんと窓をすりぬけてそのままこちらに歩いてきて 僕は夢でも見ているのか?見張るつもりなのにすっかり寝てしまったか… 『やっと姿が見える様になったのね。毎晩イタズラした甲斐があったな』 な、なんですって。まさかあんな起こし方をしたのは貴女だったのですか。 『最初にイタズラしたのがあなたでさ。反応が面白かったからずっと続けてたの』 …なんだか変な夢だな… 壁をすりぬけて入ってきたこのお嬢様、不思議な雰囲気だ。 1 失礼ですが貴女は人間ですか? 2 気になるので名前をうかがってみよう 3 体に触れてみる 「あの……」 『んっ?なーに』 「お、お体に触れてもよろしいでしょうか」 そのお嬢様はうふふと笑っている。 なんだかこの笑い方は他のお嬢様方とは違って少し艶っぽいというか… 『¨一応¨初対面のレディに向かって体さわりたいとか。健全なんですね』 「違います!そういうつもりではありません…」 おそるおそるその肉付きのよい肩に触れてみました。 …あれ…?触れているはずなのに、指には何も感じません。 『いつまで触ってるの?健全な執事さん』 「もっ申し訳ありません!!」 慌ててあたふたする僕を見てくすくすわらっているお嬢様。 待てよ… さっきは壁を擦り抜けた、そして体にはさわれない、つまり実体はない。 ま……まさかこのお嬢様は!! 1 いますぐ成仏してください!! 2 あ、足は?もし足がなかったら…確認するまでは決め付けちゃいけない 3 扉が開いた!!誰ですかこんなときに! このお嬢様は…いわゆる幽霊。そう思ってしまいました。 だけどまだ確認していない部分があります、そう、足。 幽霊には足がないらしいですからもし無かったら…いや、あるはずですよね。 『私はそういうのじゃないから安心して』 あった!ありました!足が! 「良かった…貴女は幽霊ではなかったのですね」 『当たり前でしょ。まぁ、人間じゃないけどね』 「いったい貴女は……」 『…知りたい?私がなんなのか…』 1 はい、教えてください 2 やっぱり幽霊なのでは 3 …寝よう。やけに長い夢だな、早く醒めなければ 「はい。教えてください」 幽霊ではなく人間でもないとしたらいったい貴女は何という存在なのですか。 『私はねぇ〜〜〜…』 言葉を伸ばしてなかなかその先をおっしゃろうとしない。わざと間延びさせてるみたい… 『…ホントに知りたい?』 「知りたいですよ。お願いです教えてください」 『……ん〜〜〜、ごめん。たぶん言っても信じないと思うから言いたくない』 「いえ、信じます。失礼ですが貴女は悪戯がお好きな少々困った方ですが、悪いお方ではないと思います」 『………じゃ、教えてあげる。私はね…』 今までの通り頭ではなく、耳に聞こえてきたその言葉。 ……名字と、お名前…? 『また気が向いたら教えてあげる。ばいばい執事さん』 「待ってください、僕がお聞きしたいのは…!」 体が光り、一瞬にしてそのお嬢様は僕の部屋から消えてしまいました。 気が付いたらもう朝になっていました。 …あれはやはり夢だったのでしょうか。とても不思議な雰囲気のお嬢様でした。 白いワンピースをお召しになり、わりとしっかりした体格。少々気の強そうな、そして艶のある顔立ち… え…と、確かお名前はなんとおっしゃいましたか… 不思議な雰囲気でしたのに日本人の様な名字とお名前だったのでやけに親しみがあるというか。 「…あっ」 ふと枕元に紙の切れ端があるのを見つけた。 そこには… 「なるほど…こういう字なのですか」 あれはきっと夢ではなかったのですね。 また、お会いできる日を心よりお待ち申し上げております。 村上愛お嬢様…